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HOME / MOTORSPORTS / ADVAN FAN / Vol.139 News Index
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2014年は全国の6サーキットを転戦して競われるスーパー耐久シリーズ。FIA GT3車両から街中でお馴染みのコンパクトカーまで多彩な車種が競い合うが、その中で勢力を拡大しているのがST4クラスの86勢である。
S2000やインテグラ、シビック、ロードスターなどと長丁場を戦う86、その実力について「埼玉トヨペット GreenBrave」番場琢選手にお聞きした。
2011年のSUPER GT、GT300クラスで谷口信輝選手とともにシリーズチャンピオンを獲得したことも記憶に新しい番場琢選手。スーパー耐久では2013年の富士で初めて埼玉トヨペットの86をドライブし、鈴鹿、オートポリスの3戦に出場。オートポリスではAドライバーをつとめ、2014年は開幕からAドライバーとしてチームを牽引していく。

そんな番場選手に、まずはスーパー耐久における86のポテンシャルについてお聞きした。

「まず、86という車そのものはライバルと比べてエンジンパワーが若干物足りないというのが現状です。具体的には同じST4クラスのS2000やインテグラなどとの比較ですが、ストレートの加速がちょっと厳しい部分を、高いブレーキ性能とコーナーリング性能でカバーしているのです。

ステアリングを握っている自分の心理的には、自らのスキルで車をねじ伏せてタイムを絞り出しているという感じ。もっとも、厄介なことにイケイケで攻めればタイムが出るというわけではなく、あまりにイケイケ過ぎると全然ダメになってしまうんです。でも、やっぱりある程度は攻めていかなければならないわけで、とても繊細なものをドライバーに求めてくるんですね。
だから、乗っていてとても楽しい、それがスーパー耐久の86というマシンです」

市販車のキャラクターも大きくレースに反映されやすいスーパー耐久。86のキャラクターとして、得意なコースと不得意なコースはあるのだろうか。

「やはりコースとの相性はありますよね。エンジンパワーが必要とされるところは難しいし、逆にオートポリスのようにコーナーリング性能を引き出せるところは得意とするコースですよね。
開幕戦のツインリンクもてぎ、ここはどちらかというと難しいかな(苦笑)。ブレーキングは抜群にいいのですが、コーナーを立ち上がってからのストレートがちょっと辛い。他車とのバトルではコーナーで追いついても立ち上がりで離されることも多く、それの繰り返しになるとちょっと歯がゆい場面もありますね」
ツインリンクもてぎ、開幕戦の決勝日は生憎の雨模様となってしまい、5時間の決勝はウェットコンディションでのタフなレースとなった。Aドライバーとして臨んだ開幕戦、昨年に比べてマシンは大きく進化を遂げているという。

「今年は足回りを大きく変えていて、基礎となるセッティングが良いところまで煮詰まってきています。セットの方向性そのものはそんなに変わっていませんが、パーツの変更によってマシンの動かし方とかドライバーとしての走らせ方をアジャストしています。
また、コンビを組むのが服部尚貴選手なのですが、服部選手も僕もリアはドッシリさせたいタイプなので、お互いに満足出来るものに仕上がってきています」

ウェットレースに臨んだ開幕戦だが、ご承知の通り86はFR(後輪駆動)。一般論で言えばウェットで有利といわれるFF(前輪駆動)に対して、ウェットレースを苦手とするようなことは無いのだろうか?

「ウェットについて言えば、それはFFのほうがいいとは思います。でも、やはり雨の去年のオートポリスでのレースや、今年のもてぎでの公開テストを振り返ってみると、どちらも乗った感じは良かったんですよ。
古典的なFRならではのパワースライドでドリドリ、という感じではなくて、86というマシンのコーナーリングパフォーマンスがとても高いので、例えウェットでも『まだいける』という感じで良いタイムをマークできるんですよ」

決勝は5位フィニッシュとなった雨の開幕戦。実は昨年とチームの構成が大きく変わった中で臨んだ開幕だったという。

「今年から、メカニック、エンジニア、そして監督と埼玉トヨペットのスタッフだけで構成された完全なディーラーチームになりました。最初は正直なところ未知数な部分もあって、一般車のメンテナンスの延長という感じでレースに臨んだとしたら、かなり大変なのではないかと思っていました。

でも実際は全然違っていて、普通のレーシングチームより真剣なところも感じられる。知らないことだらけなので、逆に一人一人のモチベーションあとても高くて、勉強して身につけていこうという思いが強いんですね。
拠点や担当こそ違ったとしても、埼玉トヨペットというひとつのグループの人々が集まっているので、みんなで何かを作り上げていこうという思いを感じるんですよ」
さて、スーパー耐久はヨコハマタイヤのワンメイクとなっているが、今年はセットアップが最適化されていることもあって、タイヤのポテンシャルを存分に引き出せていると語る番場選手。

「最初にも話したように、今年のマシンは足回りがとても決まってきています。耐久では多くのガソリンを積んでスタートし、それを消費すると重量も軽くなってきて、ラップタイムが速くなるというのが戦いのセオリー。ところが去年は、せっかく軽くなってきてもタイヤの性能をうまく使えていない面があったのです。

しかし今年は、例えば開幕戦の予選で見ても、新品タイヤをつけた予選が2分11秒フラットくらいでしたが、その前の練習走行でも60周くらい走ったタイヤで2分11秒台半ばをマークしています。つまり周回を重ねてガソリンが減って軽くなると、一方では周回を重ねているのでタイヤが減っているのにもかかわらず、マシンとタイヤのマッチングが良いのでタイムがとても安定しているわけですね。

このようにタイヤの良いところもうまく引き出せるようになってきているので、ライバル勢は手ごわい面々が揃っていますが、チーム力でまずは早い段階で一勝を掴めるように頑張ります!!」
TOYOTA 86/SUBARU BRZ with YOKOHAMA =Super Taikyu=
スーパー耐久はヨコハマタイヤがワンメイクタイヤに指定されており、オレンジオイルを配合した「エコレーシングタイヤ」が各クラスのマシンに装着されている。

ドライ路面用のスリックタイヤと、ウェット路面用のレインタイヤがそれぞれ一種類ずつ用意されており、ともに車種や駆動方式を選ばないパフォーマンスの高さを見せている。
特に耐久レースということでピット作業時間短縮のため、状況によってはタイヤ交換を見送ったり2本のみ交換とすることも多いが、ADVANレーシングタイヤの優れたライフ性能を引き出したチームが、戦いを優位に進めるケースも珍しくない。
【>> 次回(5月9日掲載予定)は、86/BRZワンメイクレースをご紹介!!】
[UPDATE : 2.May.2014]
             
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