2013年の全日本ジムカーナ選手権、その開幕戦となった鈴鹿サーキット・南コースで注目を集めたのはPN3クラスのマシンたちだった。
新たに設立されたこのクラスは改造範囲を厳しく制限されたPN車両のうち、エンジン排気量1,600cc超の2輪駆動車で、2012年1月1日以降にFIA/JAF公認またはJAF登録された新しいモデルを対象としている。
つまり、86/BRZこそがこのクラスの主役であり、ドライバーのテクニックとタイヤのポテンシャルが大いに試される舞台となるのである。
森嶋昭時選手は、改造範囲の広いナンバー付車両であるSA2クラスを長く戦ってきており、2009年にはFD2型・マツダRX-7でSA2クラスのチャンピオンを獲得。さらに2006年まではN3クラスでロータス・エキシージを駆っており、ピュアスポーツモデルでの参戦歴が長い。
そんな森嶋選手は、ジムカーナにおけるトヨタ86という車を、次のように評した。
「私が過去に乗っていたRX-7やエキシージと比べると、速さや加速感はエンジンパワーやウェイトの差もあるので小さいのが正直なところです。
一方で、PN車両は縦溝の入ったラジアルタイヤを使うことが義務づけられているので、ヨコハマタイヤではADVAN
NEOVA AD08Rを使うことになりますが、これが86のパワーとタイヤのバランスがちょうど良いところなのです。例えカタログ上のパワーが小さいとしても、ドライビングを存分に楽しめるという特徴がありますね」
FR(後輪駆動)使いとしてジムカーナ界で知られる森嶋選手。86は、そんな森嶋選手の“原点”を呼び起こしたという。
「パワーでのごまかしが利かない分、より繊細で丁寧なドライビングが求められます。
それは私が長年ジムカーナをやって来た中で忘れかけていたものというか、本当にドライビングの原点みたいなものを、86が体験させてくれたんですね。だから、初心者からベテランまで、経験や年齢を問わず、運転の楽しさを実感できる車だと思います。
中でも特にお薦めしたいのは、若いころにモータースポーツやスポーツドライビングに興味を持っていたけれど、例えば家庭の事情などでそこから一旦離れていたような人たちです。私と同じか、もうちょっと上の世代のそういう方々がスポーツドライビングをまた楽しみたいと思ったときに、86やBRZはベストな選択肢になりますね。
ジムカーナならタイヤはADVAN NEOVA AD08Rとの組み合わせになりますから、タイヤライフも長いですし、気軽に財布にも優しく楽しむことが出来るでしょう」