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HOME / MOTORSPORTS / ADVAN FAN / Vol.119 News Index
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2007年に発足したIRC(インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ)。
スポーツ専門テレビ局であるEURO SPORTS」がWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)と同様にシリーズ全般のプロモーターをつとめており、日本でも衛星放送を通じて視聴が可能であることから注目度が高まっている国際ラリーシリーズだ。

このIRC、2011年は日本から参戦した新井敏弘選手がプロダクションカップのチャンピオンに輝いたことは大きなニュースとなった。
スバルWRX STIのR4仕様車を駆った新井選手は、もちろんヨコハマタイヤのADVANラリータイヤを装着しての参戦。マシンとタイヤもともに短い時間で戦闘力を大きく高め、終盤戦ではスペックで勝るS2000規定車両の中に割って入りシングルポジションを獲得して存在感を見せた。

2012年、新井選手にとって2年目のIRCチャレンジとなる今年も、スバル×ヨコハマタイヤの強力なタッグが参戦をサポート。
マシンはR4規定仕様のスバルWRX STIで昨年と同様だが、メンテナンスはトミ・マキネンレーシングが担当。コ・ドライバーは昨年に続いてディール・モスキャット選手を起用する。
タイヤはヨコハマタイヤの海外向けラリータイヤで、グラベル(非舗装路)ではADVAN 053、ターマック(舗装路)ではADVAN A006Tを使用。ウエットコンディションでは状況に応じてハンドカットを入れて対応する。

参戦イベントは4大会を予定しており、今週末のツール・ド・コルス(フランス)を皮切りに、7月のサンマリノ、10月のサンレモ(イタリア)、そして11月の最終戦・キプロスと、ターマック戦とグラベル戦に交互に2大会ずつ出場するかたちだ。

なお、IRCにスバル×ヨコハマタイヤのタッグでは、もう一人の若手ドライバーも参戦する。フィンランド生まれの25歳、ヤルコ・ニッカラ選手で、WRC参戦の経験も有している。昨年はヨコハマタイヤを装着したランサー・エボリューションIXでIRCに参戦し、スコットランドではSS11で多くのS2000勢を抑えて4番手タイムを叩き出すなど速さを見せた選手。
新井選手も次世代のトップドライバー候補と認める期待の若手は新井選手のチームメイトとして参戦するが、こちらも注目していきたい存在だ。
 
2012年のIRCは、全13戦のカレンダーが組まれている。
既に5月に入った時点でカレンダーは3大会を消化しているが、第5戦が当初予定されていたハンガリーから、イタリアのサンレモにスイッチされるという変更も生じている。

IRCのシリーズは、元々各地域で長年開催されてきた伝統ある大会がカレンダーに組まれているという特徴がある。
例えば新井選手とニッカラ選手にとっての今季初戦となる「ツール・ド・コルス」は、皇帝ナポレオンの生誕地としても知られる地中海に浮かぶコルシカ島を舞台に、1956年から開催されているラリー。コーナーが連続するテクニカルステージが特徴で、「1万のコーナーを持つラリー」という別名でも世界的に知られている。

こうした各大会の個性を活かしているのもIRCの大きな特徴。同じく国際ラリーシリーズであるWRC(FIA世界ラリー選手権)が統一されたフォーマットに沿って開催されているのに対して、IRCは各大会毎の独自色が尊重されている。ゆえに「ツール・ド・コルス」では、往年のスタイルを復活させるかたちで島の広範囲にステージを設け、移動サービスも行われることになっている。

開催カレンダーは別表の通りだが、今季はターマックが9戦、グラベルが4戦。日本国内のラリーことは異なる壮大なスケールと圧倒的なハイスピードは、ターマック/グラベルいずれのステージでも見応えあるトップドライバーの走りを堪能出来る。
そして、その走りを支えるタイヤには当然ながら高いポテンシャルが求められるとともに、ワンメイク制が導入されていないコンペティションステージゆえに、タイヤ・ウォーズも白熱したシリーズとなっているのがIRCだ。
Round 開 催 日 開催国・地域 大会名称 路 面 参戦予定
Round 1 02月23日-25日 ポルトガル Rallye Acores グラベル  
Round 2 03月15日-17日 スペイン Rally Islas Canarias ターマック  
Round 3 04月06日-07日 アイルランド Circuit of Ireland Rally ターマック  
Round 4 05月09日-12日 フランス Tour de Corse ターマック
Round 5 06月14日-16日 イタリア Internazionale Di Sicilia ターマック  
Round 6 06月21日-23日 ベルギー Ypres Rally ターマック  
Round 7 07月06日-07日 サンマリノ Rally San Marino グラベル
Round 8 07月20日-22日 ルーマニア Rally Romania グラベル  
Round 9 08月31日-9月02日 チェコ Czech Rally Zlin ターマック  
Round 10 09月15日-16日 ウクライナ Yalta Rally ターマック  
Round 11 09月28日-30日 ブルガリア Rally Sliven ターマック  
Round 12 10月12日-13日 イタリア Rallye Sanremo ターマック
Round 13 11月02日-03日 キプロス Cyprus Rally グラベル
【路面】 Tarmac : 舗装路面、Gravel : 非舗装路面
 
IRCを戦うヨコハマタイヤのADVANラリータイヤは、先にも記したようにグラベル用がADVAN A053、ターマック用はADVAN A006T。ともに昨年のIRC、さらにそれ以前にもP-WRC(FIAプロダクションカー世界ラリー選手権)などで実績を重ねてきたタイヤで、特にA053は前身のプロトタイプ時代に奴田原文雄選手がラリージャパンやキプロスラリーで優勝を飾った際に、足元でその走りを支えたことでも知られている。

これらのタイヤは海外ラリーならではのハイスピードな走りをしっかり受け止めることが、ひとつのポイントになる。その上で日本とは異なる路面特性や、長いステージ距離に対するライフや耐久性といった項目でも、優れた性能が求められるところ。
ヨコハマタイヤでは長年の海外ラリー参戦経験で蓄積された経験とデータ、そして最新の技術を投入してA053とA006Tをさらにブラッシュアップ、IRCのプロダクションカップ連覇に向けてテストを重ねて万全の準備を整えて実戦に臨む。


一方、新井選手と新たにニッカラ選手もステアリングを握ることになったスバルWRX STI・R4。世界のラリーシーンを席巻してきたスバルWRX、その高性能を磨き上げつつ最新のR4規定に適合したマシンとなる。
R4規定とは、従来のグループN車両とSUPER 2000車両の性能差を埋めるために作られたもの。あくまでも市販車ベースに改造範囲を厳しく制限されたグループNと、大幅な改造が認められているSUPER 2000ではポテンシャルの差は明白だったが、これに対してFIA(国際自動車連盟)はグループN車両の軽量化や冷却性能向上、足回りの改造範囲拡大を認めることで、グループN車両の速さを高められるように措置した。

この新規定に対してSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)は、公認キットパーツをリリース。軽量化されたドアやリアゲート、ヒーターシステム、冷却導風穴が設けられたボンネット、サブフレームなどである。
これらの効果を具体的に見ていくと、重量では実にグループN車両から50kg以上の軽量化を実現。例えばヒーターシステムは機能を大幅に簡略化して窓の曇り止め程度とすることで、7.1kgから1.8kgにまで軽くされた。外板ではリアゲートの軽量化効果が大きく、ゲート本体で約6.5kg、さらにガラスもポリカーボネート化が認められているので約5.5kgが3.3kgにまで軽減。ゲートとガラスの合計では約17kgあったものが9kgを切るところまで軽くされ、リアオーバーハングの軽量化によって大きな効果を得ているのだ。
2年目となるスバル×ヨコハマタイヤのタッグによるIRCへの参戦。もちろん日本代表としてステアリングを握る新井選手は、二年連続のプロダクションカップ獲得が目標だ。

いよいよその戦いはスタートまでカウントダウンが始まった。既にコルシカ島には新井選手を筆頭にヨコハマタイヤのエンジニアも入り、5月9日の段階でレッキも終わり本番に向けての準備も着々と進められている。


>> 次のページでは、新井選手とマシン&タイヤエンジニアの対談をお届けします
[UPDATE : 9.May.2012]
         
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