チーム2年目となる安田裕信選手を若きエースドライバーに据え、新たに速さと経験を兼ね備えたビヨン・ビルドハイム選手を迎え、新体制で2011シーズンに臨んだ「ADVAN KONDO GT-R」。
事実上の開幕戦となった第2戦富士では、雨の決勝で序盤にビルドハイム選手がトップに立ち、いきなり優勝かと思われたが、予期せぬ視界不良というトラブルで後退し7位に。その後岡山では9位も、セパン、菅生と連続して表彰台目前の4位を獲得。オートポリスでも5位を得るなど非常に安定した戦いぶりを見せたものの、惜しくも2007年から毎年必ず1回はマークしてきた優勝には手が届かなかった。
「確かに今季はこれといって大きく目立ったレースは出来なかったかもしれませんが、ことタイヤに関しては"凄く強くなったな"と感じたシーズンでした」と振り返るのは、KONDOレーシングの近藤真彦監督。
「もちろんコンディションによって一発が出なかったりだとか、雨で今ひとつだったりということはありましたが、通常のドライコンディションでの決勝を通じたアベレージなど、タイヤのパフォーマンスとしては、ここ3年くらいの中では一番良かったと思います。そういう意味でADVANのタイヤとしての完成度は高いものがあったと言えるでしょうね」と、手応えを口にする。
では、自身のチーム、ことさらふたりのドライバーについての評価はどのようなものだったのだろうか。
「ビヨン選手に関しては他メーカーの陣営から移籍して来て、初めて乗るGT-RやADVANのタイヤに彼なりに戸惑った部分がかなりあったように思います。しかし安田選手に関しては、もう若手じゃないと思っていますし、ニッサンの日本人ドライバーの中では僕は一番買っているドライバーです。
ただ、本山哲選手、松田次生選手といったニッサンの先輩ドライバーたちを思えば、ニッサンのGT500に乗る日本人ドライバーとして、あれぐらい走って当たり前かなと。とはいえ安田選手には一発もあるし、ヨーロッパのドライバーのような、"なにかやってくれるんじゃないか"と思わせる部分がある。
タイヤに関して今季は彼にすべて任せていますし、きっと彼は今ドライバーとして大事な成長期にあるんでしょうね」
では、来季に向けてのポイントはどこにあるのだろうか。
「やはりタイヤの開発をしっかりやる、というのがポイントですね。これまでインターミディエイトがうまく使えないことが多かったのですが、テストを踏まえて臨んだJAF
GPでは、うまくインターミディエイトのパフォーマンスを引き出すことが出来た。
そういった進歩、手応えを感じているので、来年、再来年とさらに良いタイヤを作って行くことが大事だと思います」
来るべき来季に向けて、「2012年は年に1回は、なんて言わず2回くらい優勝して、チームについてもタイヤについても周囲からうらやましがられるくらいの戦いを見せたいですね」と結んだ近藤監督。2011年の「ADVAN KONDO GT-R」は、跳躍を前にした足場固めのシーズンだったのかもしれない。