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HOME / MOTORSPORTS / ADVAN FAN / Vol.113 News Index
  ひとつ前にもどる  
谷森雅彦選手特集
 
2011年は8つのクラスでADVAN勢がシリーズチャンピオンに輝いた、全日本ジムカーナ選手権。多くのドラマが今年も見られたシリーズだが、最後のそのドラマの主役となったのがチャンピオンに輝いた選手たち。ADVAN勢からチャンピオンを獲得した選手たち、そしてタイヤエンジニアが、2011年の戦いを振り返る。
 
Rd. 開催コース 成 績
第2戦 名阪スポーツランド(Cコース) 優 勝
第3戦 TS-タカタサーキット 5位
第4戦 スポーツランドスナガワ 優 勝
第5戦 スポーツランドSUGO(西コース) 優 勝
第6戦 ツインリンクもてぎ(北コース) 優 勝
第7戦 モビリティおおむた 2位
第8戦 本庄サーキット 優 勝
 
2009年にN4クラスでシリーズチャンピオンを獲得している岡野博史選手。'10年にはマシンをランサー・エボリューション]にスイッチ、そして今季は同じエボ]ながらN4クラスからPN3クラスへと移籍してシリーズチャンピオンに輝いた。
PNクラスは競技人口の減少傾向に歯止めをかけることなどを目的に発足した新しいクラスで、改造範囲が非常に狭い、ノーマルに限りなく近い状態の車両で競われるもの。さらに今季からはタイヤについて新たな規定が設けられ、全周にわたる縦溝を有しているもののみが使用可能とされた。ADVANで言えばA050ではなく、NEOVAが戦いの武器となるのだ。

岡野選手には、まずこうした背景を踏まえてPN3クラスへ移籍した理由からお聞きした。

「去年の12月にJAF(日本自動車連盟)からPNクラスで使えるタイヤに関する発表がありましたが、既に地区戦などではNEOVAのようなスポーツラジアルタイヤが主流になりつつあって、逆に全日本戦だけがちょっと特殊になっている面もありました。そういう流れをJAFも考慮して、競技人口の底辺拡大や全体の振興につなげたいという話を聞きました。
そこで、僕もそんな新しいクラスにチャレンジすることで協力して、ラジアルでもジムカーナを楽しく、全日本まで戦えるんですよ、ということを自らアピールして盛り上げたいな、という気持ちで移籍しました」

参戦車種は昨年N4クラスを戦ったのと同じランサー・エボリューション]。ただしN4とPN3クラスでは許される改造範囲が異なっているため、PN3車両の方がよりノーマルに近い。さらに前述の通り、タイヤは競技用に開発されたA050ではなく、スポーツラジアルのNEOVAである。
やはりこうした違いから、PN3車両に対しての違和感を最初は覚えたのだろうか?

「それはね、かなりありましたね(笑)。
やはりA050のような競技用のタイヤというのはグリップが格段に高いし、止まる、曲がるの次元も違う感じです。特にコーナーリングではNEOVAの場合、ブレーキングでしっかりスピードを調節して減速してやらないと、ステアリングの切り足しが効かなくなったりするので、そこが凄く難しいですね。
A050でもタイヤのギリギリのところで走らせていましたが、NEOVAを使うPN3では全体的なスピードは低いけれども、スイートスポットがものすごく狭くなりました。ここがN4からPN3に移って一番辛かった部分ですね」

名手・岡野選手をして、決して簡単では無かったというPN3クラス攻略。しかし、逆に違和感を覚えた面はあったものの、シーズンを振り返ってみると最も印象に残っているのは事実上の開幕戦となった名阪だという。

「これまで直接戦ったことの無い選手がほとんどの中で、自分自身もNEOVAで他の選手と走りを比べたことが無かったりして、不安な思いで臨んだ一戦でした。
当日は気温が低いこともあってマシンコントロールも難しかったのですが、実際に走ってみるとしっかり成績を残すことも出来ました。ライバルと、マシン、タイヤ、そして走らせ方を比べることも出来て、次につながる安心感が生まれましたね」

シーズンは最終戦もしっかり制して5勝を飾り、堂々のチャンピオンを獲得。改めてチャンピオンとなった今、PNクラスの楽しさと、来季の構想についてお聞きした。

「改造範囲が狭く、やれることが限られた中で戦わなければならないので、ドライバーの腕の差というのが重要になってきます。だからこし、やり甲斐のあるクラスだと思うんですよね。
2012年について、取り敢えず今の予定では、今季と同じ体制でPN3クラスを戦う予定です。PN3のマシンはロールケージの装着義務もありませんから、参加しやすいクラスであることは間違いありません。全日本戦は全国各地を転戦するので、ぜひ各地区で頑張っている選手のみなさんにも、地元で全日本が開催される時にはチャレンジしてほしいですね。
一年やってきてPNクラスの素晴らしさをアピール出来たと思いますので、来年も頑張っていきますからもっと盛り上がってほしいですね」
 
Rd. 開催コース 成 績
第2戦 名阪スポーツランド(Cコース) 3位
第3戦 TS-タカタサーキット 優 勝
第4戦 スポーツランドスナガワ 優 勝
第5戦 スポーツランドSUGO(西コース) 3位
第6戦 ツインリンクもてぎ(北コース) 優 勝
第7戦 モビリティおおむた 優 勝
第8戦 本庄サーキット 3位
 
2001年に全日本選手権へとステップアップを果たした平田裕三選手。今季、自身初のシリーズチャンピオンを獲得したが、シーズン途中で装着タイヤをADVANに変更。ADVANを装着しての初戦となった第6戦のもてぎで優勝を飾り全クラスの中でチャンピオン獲得一番乗りを決めると、続くおおむたでも連勝して速さを見せた。

「それまではチーム員の中にも装着している選手のいるメーカーのタイヤで戦ってきましたが、より可能性のあるところを探っていく中で、良いタイヤということでADVANに決めました」

ADVANを装着した理由をこう語った平田選手。しかし、シーズンの真っ最中に、戦いの大きな武器であるタイヤを変更するということは、一大決心が必要だったことは想像に難くない。

「それはタイヤをシーズン中に替えることには、戸惑いもありました。やはりタイヤの特性などに違いはあると思いましたから、果たしてADVANを使ってタイムを出せるのか、自分がしっかり使えるのかどうかというところは、不安な部分でしたね。
時期的にはスナガワのあたりから、替えてもいいかなと考えていました。そこで、地区戦に中古のADVANタイヤを使って参戦してみたのですが、そこで最終的にADVANに替える決断をしました」

それまで使っていたタイヤと、新たな武器として手に入れたADVAN。その違いはどこにあるのだろうか。

「ADVAN A050は、高速コーナーに強いという印象です。僕自身がもともと高速コーナーが得意なので、タイヤの性能が上がっている分だけ、それを活かせるような走りを心がけました。逆に低速コーナーではあまり無理をしないようにして、メリハリをつけた走りを実践しています。
マシンのセッティングについては基本的に以前のままで、ドライビングで合わせている感じですね」

ツインリンクもてぎでの第6戦で早々にチャンピオンを獲得した平田選手。王座を決めたその走りを支えたのは、ADVAN A050だった。最終戦を終えて振り返ってみても、やはりこの一戦が最も印象に残っているという。

「今年の戦いでは、やはりもてぎでチャンピオンを決めたときのことが最も印象に残っています。2本目では路面温度がかなり高かったんですけれど、タイヤと自分の走り方がとてもマッチしていました。ADVANを装着した初戦で勝つことが出来て、チャンピオンも獲得できて、最高でしたね」

チャンピオン確定後も、続くおおむたを制して、ADVAN A050のポテンシャルを余すところなく引き出した平田選手。タイヤを替えたこと、そして速い段階で適応できたことが今季の勝因という分析を語ってくれたが、チャンピオンに輝いた今の心境と、来季に向けた豊富を最後にお聞きした。

「まず、改めてADVANにした選択は正解でしたね。
今年は復帰して1年目でチャンピオンを獲れるとは思ってもいなかったので、最高の一年ですね。ただ、来年以降がちょっと怖いかな、と(笑)。
現時点での考えとしては、来年もヴィッツでもう一年やろうと思っています。その時はまた、チャレンジャー精神でマージンを取らずに全開で勝負していきたいと思っています」
 
Rd. 開催コース 成 績
第2戦 名阪スポーツランド(Cコース) 優 勝
第3戦 TS-タカタサーキット 16位
第4戦 スポーツランドスナガワ 4位
第5戦 スポーツランドSUGO(西コース) 8位
第6戦 ツインリンクもてぎ(北コース) 優 勝
第7戦 モビリティおおむた 優 勝
第8戦 本庄サーキット 優 勝
 
ゴールラインを切って多くの関係者が待ち構えるパドックへ向かうマシン。1本目で3番手タイムとなっていた黄色いインテグラ、王座獲得のためにはもうひとつ最低でも順位を上げていなければならなかった。パドックに入ってマシンを停めたとほぼ同時に、誰かが叫んだ。
「トップタイムだー!!」
2本目での鮮やかな逆転劇。後続のライバルもこのタイムを破ることは叶わず、堂々の終盤3連勝を飾った朝山崇選手が2007年以来4年ぶり、N2クラスでは初の全日本チャンピオンに輝いた。

「N2クラスに移って4年経ちましたが、かなり苦労も続きました。だからチャンピオンを決めた今は、この1年というよりも4年間のことを思い出しますね。
2008年にN1からN2に移りましたが、最初の2年くらいは箸にも棒にもかかりませんでした。K-oneさんでインテグラに乗せていただけることになったのですが、やはりN1でチャンピオンを獲っているから期待されていたと思います。それが酷い成績が続いてしまったので、かなり心苦しい日々が続いていました。
ずっと小さいクルマばかりに乗っていたので、『僕って、大きいクルマには乗れないのかなぁ……』と、自信までも失いかけてしまいました。それでもめげずに一所懸命やってきて、3年目となる去年でようやく光明が見えてきて。一勝することが出来て、やっと自信を取り戻せてきたんです」

3年目に入って大きく変わったことのひとつは、マシンのセッティングだと朝山選手は続けた。ヴィッツに比べてセッティングにシビアだというインテグラ、これを苦しみながら着実に煮詰め、ドライバーとしてのセッティング能力も高めていき、戦闘力を向上させていったという。

「去年の後半に優勝をして、JAFカップにも勝てて、手応えを感じられていたのは事実です。
だから、これは理屈も何も無いんですけれど、ヴィッツでチャンピオンを獲得したのが4年目のことだったので、自分の中では『インテグラでも4年目で結果を出したい』という思いがあって、今年はチャンピオンを獲りにいく年にしようと最初から思っていました。
そして名阪で勝てて『よしよし』と思っていたのですが、その次から失敗しちゃって……」

現在は故郷の愛媛県に住む朝山選手、マシンについては小清水昭一郎氏が率いるレーシングサービス・コシミズに面倒を見てもらっているという。前半戦、思うように結果が出ない状況を受けて、徹底した検証作業が行われることになった。

「結果を言うと、セッティングがちょっとズレてきちゃっていたんですね。先程、セッティングの能力を高められたという話をしましたが、実はまだまだ自己流に過ぎなかったんです。タカタ以降で撃沈が続いて、それまでは勝ったこともあっていろいろ大目に見ていただいていたこともあったと思うのですが、さすがに『ちょっとなんかおかしいんじゃない?』という話になりまして」

見直しは細部に及び、小さいコーナーに特化していたセッティングは大幅に見直され、コース設定などに応じて臨機応変な対応が出来るようにセッティングのバリエーションも用意されることになった。こうした作業が功を奏して第6戦のもてぎ、第7戦のおおむたを連勝。勝ち星を3としてチャンピオン獲得の権利を持って最終戦の本庄へと挑むことになった。
その最終戦では必勝体制で、朝山選手自身のこだわりだったリアスポイラー・レス仕様にダメ出しがされ、高速コース対策としてスポイラーが装着されてもいた。

「愛媛県から埼玉県の本庄に向かう間は、もう楽しくてしようが無かったんですよ。だって、チャンピオンになれる権利を残しているんですから、それはドキドキするし楽しいじゃないですか。
本番の走行では外周のコーナーを回ったときに『楽しい〜』と思いましたね。2本目では集中できていたので、ゴールラインを切ったらその先にみんなが待ち構えていたのを見て、『あっ、今回はチャンピオン争いだったんだ』という感じで。我ながら冷静というか、ボケているというか(笑)」

チャンピオン争いの主役であることさえ忘れてしまうほどに集中した走りを披露した朝山選手。2本目での見事な逆転劇でシーズン4勝目を飾り、文句無しで悲願のN2クラスチャンピオンを確定させた。大勢の関係者、そしてライバルからも祝福を受けた朝山選手。優勝の興奮も冷めやらぬ本庄のパドックで、改めてその心境をお聞きした。

「チャンピオン、やっぱり格別ですね! 僕の中では、大きいクルマにも乗れるということをきちんと証明できたので、とても嬉しいです。
僕は今でもN1クラス出身の代表選手という思いを勝手に持っているんです。N1クラスなど小さいクルマの選手は金銭的な問題もあって、なかなか大きいクルマに移れない人も多いのが事実。だからこそ、僕がN1クラスで戦っている選手のためにも、きちんと結果を出さなければいけないと思っています」

N1、そしてN2とチャンピオンの称号を手中におさめた朝山選手。ちょっと気が早いかもしれないが、来シーズンの活動について、最後に聞いてみた。

「実際のところ、来年については現時点では未定です。続ける方法を模索はしていますが、転職したこともあって参戦予算の問題も決して小さくありません。
でも、ジムカーナを辞めたくはないんです。全日本とか地区戦ということに拘るのではなく、ジムカーナそのものはオッサンになっても辞めるつもりはありません!」
 
Rd. 開催コース 成 績
第2戦 名阪スポーツランド(Cコース) 優 勝
第3戦 TS-タカタサーキット 11位
第4戦 スポーツランドスナガワ 優 勝
第5戦 スポーツランドSUGO(西コース) 4位
第6戦 ツインリンクもてぎ(北コース) 優 勝
第7戦 モビリティおおむた 2位
第8戦 本庄サーキット 2位
 
2009年に悲願の初タイトルを獲得して以降、今年で3連覇を実現した柴田優作選手。最終戦でしっかり準優勝を獲得してチャンピオンを確定させた直後に、喜びの声を聞いた。

「月並みな表現ですが、いまはとにかく安心したというのが一番ですね。
同じADVANを履くワカ(若杉将司選手)やタツロー(小林達朗選手)がとても速くなってきているので全く気を抜けない状態ですし、なによりも一番のライバルである山野(哲也)さんが相変わらず速いですし」

激戦が続くN3クラス、やはりシリーズは柴田選手とライバルの山野選手を軸に展開していく。
震災の影響で開幕戦が中止となった今季だが、柴田選手は新車のエキシージSを投入。事実上の開幕となった第2戦では、名阪での初優勝を飾って柴田選手が幸先良いシーズンインを果たした。その後、第4戦のスナガワで2勝目を挙げ、前半戦を終えて柴田選手が2勝、山野選手1勝、小林選手も1勝としてシーズンを折り返す。

そして迎えた第6戦は、柴田選手の地元である栃木県のツインリンクもてぎが舞台。セッティングを北ショートコースに照準を合わせて臨んだ一戦は、1本目から柴田選手が圧倒的な速さを見せ、2本ともに唯一の1分33秒台をマークして貫祿勝ちをおさめた。

「今シーズンを振り返ると、やはり地元のもてぎで勝てたこと、あそこが一番大きかったですね。
地元で勝ったということはマインド的に大きいですし、あの一戦でシーズンの後半で僕と山野さんのどちらが有利になるかの分かれ目でしたから。その分かれ目であることをお互いに理解している中で戦って勝てたということが、後半戦の自信へとつながりましたね」

もてぎを制してシリーズの主導権をガッチリとつかんだ柴田選手は、いよいよ最終決戦の場となる最終戦・本庄サーキットへと挑んだ。

「最終戦は、とにかく山野さんをあまり見ないようにしていました。ライバルを意識しないで、自分の最高のところをしっかり引き出していこう、と。そもそも使っている道具も違うし、走り方も違うわけですから、そんなに細かく比較してもあまり意味が無いようにも思えますし」

注目の対決は惜しくも山野選手に勝利を譲るかたちとなったが、柴田選手はしっかり2番手につけて3年連続となるシリーズチャンピオンを確定させた。激しい戦いにピリオドを打ち、栄冠を手中におさめた柴田選手。この一年を改めて振り返ってもらい、100点満点で自己採点をしてもらった。

「ドライバーとしては、まだ年々進歩している実感もあるので、合格点の90点はあげたいですね。ただ、ちょっと詰めの甘いところがあって、僕の中でどうしても許せない部分があったから10点のマイナス。それはSUGO戦で、あれは完全なセッティングのミスで、その原因はドライバーとしての僕自身の判断ミスだったんです」

最後に柴田選手の走りを支え続けている欠かせない存在である、後藤メカニック(写真・左)についても採点してもらった。

「メカニックは、本当に100点ですね。ミスなく仕事をこなしてくれ、僕の気持ちも全部理解してくれているので、本当に一年を通じて運転に集中することが出来ました。そして、勝ったときには一緒に喜べるから、嬉しさも倍になりますね。
今日はチャンピオンを決められたので今夜の晩御飯は、ご飯をどんぶり3杯まで許しちゃいましょう(笑)」

二人三脚で掴んだ3連覇。最後に来季に向けての構想をお聞きした。

「まだ未定ではありますが、いずれにしてもリア駆動が一番スポーツカーっぽくて好きですし、特にこのクルマ(ロータス)が面白いんですよ。運転するのも楽しいですし、セッティングを出していくのも面白い。だから、希望としてはまたロータスに乗りたいですね。ただ、それをノーマルのままでやるのか、改造車にするのかという選択肢はありますが。いずれにしても4連覇を狙っていきますよ」
[UPDATE : 28.Oct.2011]
         
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