ニュルブルクリンクはドイツ中西部、ベルギーとの国境に近いアイフェル山地に1927年に設営された。ちょうど第一次世界大戦が終わり失業者が多かったころ、その労働力を使ってナチスが作らせたニュルブルクリンクというサーキットは1周約20kmのノルトシュライフェ(北周回路)、1周約5kmのズートシュライフェ(南周回路)から成り、現在はノルトシュライフェとグランプリコースから成る(ズートシュライフェの一部は現在では一般の道路として使用されている)。
グランプリコースはF1(フォーミュラ1)やDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)などのビッグレースや、ハードロックコンサート「ROCK
AM RING」が開催される近代的なもので、ニュル24時間レースでは、このグランプリコースとノルトシュライフェをつないだ1周25.378kmのフルコースを使用する。
特筆されるのはノルトシュライフェで、1周約20kmの中には世界のありとあらゆる路面コンディションがそろっているといわれるほど。このため、世界中のスポーティカーの開発にも使用され、雪の融けた春先から多くの覆面ロードカーがロードテストをしている様子がスクープされる。
さらには自動車メーカーばかりでなく、タイヤやショックアブソーバー、ブレーキといったパーツメーカーもこぞってテストを繰り返している。もちろん横浜ゴムも例外ではなく、ニュルブルクリンクのサーキット内に「ヨコハマ・テストセンター」を2010年に開設。ここを拠点にグローバル・フラッグシップブランドである“ADVAN”をはじめとした、高性能タイヤの開発を進めている。
またノルトシュライフェの面白い点は、その天候の変化にもある。
国境を越えた近くのベルギーにあるスパ・フランコルシャンというサーキットでは、天候が変わりやすく"スパ・ウェザー"と呼ばれる空模様が知られている。
ニュルの天候も似たようなもので、一部区間で雨が降っていても他の区間では晴天、一部区間ではヒョウが落ちて、一部区間では霧ということもしばしば。
実際、今年のレースウィークも晴天、曇天、雷雨、弱い雨、霧、ヒョウが観測された。6月中旬であっても昼間は25度を超えても夜中は10度を下回るなど、コンディションの変化は尋常ではない。