−選手からのの反応はいかがですか?
三戸エンジニア :
「ウォームアップ性に優れるのが特徴だと、お褒めの言葉をいただきました。あと、昨年まで用いられていたタイヤと比べて、特に違和感なく乗れているというコメントもいただいています。
ただ、震災の影響で公式テストという場を踏まないまま、本番を迎えましたのでロングランがほとんどできていないという・・・」
小林エンジニア :
「でも、ライフに関しては、それほど心配していません。F3協会さんから頼まれたのかもしれませんが、過去には意識的に、かなりハードなコンパウンドを使って、ロングライフにしていたメーカーもあったそうです。でも、それだと、たとえばマカオに行って急に違う、ソフト系のタイヤを履いたら対応できない可能性もありますよね?
他社が供給していた昨年までは一般的なソフト系のタイヤを投入していたそうなんで、それ以上のライフがあればいい、そう考えて設計していますし、これからのレースを見ながらチェックしていく予定です」
−ワンメイクですから、ライフ絶対重視というわけではなく、それより安定した性能を、ということですね?
小林エンジニア :
「ただ、タイヤは基本的にセット数制限がありますから、予選で使って、レースで使ったら全摩耗していた、という状態では困るので、余裕を持って走りきれるだけのライフは確保しているつもりです」
−話は変わりまして、先ほどすごい愚問をしてしまったんです。安田裕信選手に、『GTでもヨコハマタイヤを使っているから、そのマージンはありますか』と。そうしたら、『構造もサイズも、みんな違うから関係ありません』って(笑)
小林エンジニア、三戸エンジニア :
(爆笑)
小林エンジニア :
「そうですね、ああいうGTカーと、フォーミュラカーのタイヤっていうのは違うものなので。まぁ、確かに同じメーカーのタイヤなので、傾向は似ているかもしれませんが、サイズが違いますからね」
三戸エンジニア :
「フォーミュラの方が、動きはクイックですから」
小林エンジニア :
「逆に言うと、ワンメイクで供給していますから、そういうことになってしまうと、『あそこだけヨコハマのドライバーだから、速いんじゃないか』って変な噂を立てられても困りますからね(笑)」
三戸エンジニア :
「ただ、コンパウンドの設計思想としてはカテゴリーを問わず、やっぱり社風があるような気が、僕はしています」
小林エンジニア :
「タイヤメーカーごと使う材料が、ゴムもそうですし、構造もそうですが、使っている材料はどうしても同じように、メーカーごとあるので、ある程度クセみたいなものは出てくるとは思いますけれど。ちょっと違い過ぎますよね(笑)。
スーパー耐久とSUPER GTで使っているタイヤだって、大きく違っていますし」
−その点、同じフォーミュラではどうでしょうか。ヨコハマタイヤはF4やSuper-FJにもタイヤを供給していますが。
小林エンジニア :
「カテゴリーごとタイヤの仕様は変えているのですが、ある程度はあります。基本的には安定した性能と品質、ワンメイクにはばらつきが少ない、それと中古タイヤで極端に性能が変わり過ぎない、そういうところに気をつけているつもりです」