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2011年のGT300クラスに注目!
 
3月11日に発生した東日本大震災により、第1戦の岡山大会が順延された2011年のSUPER GT。ラウンド標記は変更されていないため、第2戦として開催された富士大会が事実上の開幕戦となった。

今シーズンのSUPER GT、中でもGT300について見ると年間エントリーは26台と前年並の台数を保っており、活況さに大きな変化は見られない。ただ、チャンピオンチームなどが残念ながら参戦を見送った結果、GT300の中で人気を集めていたフェアレディZやRX-7といったマシンの姿が見られなくなってしまった。

その一方では新しいマシンやチームの登場が嬉しい話題として注目を集めている。
一例を挙げると、昨年ヨーロッパで活躍を見せて今年はドバイ24時間レースでも優勝を飾っているBMW Z4 GT3が、遂に国内デビューを果たした。さらにシボレー・コルベットも登場、アメリカンスポーツらしい独特のエキゾーストサウンドをサーキットで響かせてくれた。

世界的に盛り上がりを見せているFIA GT2/GT3規定の車両が増えた事によって、外国車の占める割合が増加している点は2011年のGT300クラスにおける特徴と言える。ポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニ、アストンマーチンといったヨーロッパ生まれの本格スポーツモデルがバトルを繰り広げる様は、往年のスーパーカーブームを思い起こさせるものでもあり、新たなファン獲得への期待も高まる。もちろん迎え撃つ日本車勢も実力派揃いなだけに、魅力的なバトルを楽しめるシーズンとなりそうだ。

ドライバーについてはチーム移籍が多く見られた2011年だが、若手や外国人が増えた。また、鈴鹿やもてぎで採用されるノックダウン方式の予選を睨んで、実力派の選手を揃えたチームも見受けられる。

GT300クラスは多くのユーザーがヨコハマタイヤのADVANレーシングタイヤを選んでいるが、2011年はライバルに動きがあった。GT300から姿を消したメーカーがある一方で、14年ぶりに復帰したメーカーも登場。ヨコハマを含め4社がしのぎを削りあう構図となるGT300クラスだが、前年チャンピオンを獲得したADVANレーシングタイヤの優れたポテンシャルは多くのGT300マシンの走りを今シーズンも支えていく。
Cars Tokai Dream28
 
2005年、SUPER GTの発足初年度にヴィーマックでチームは参戦を開始した。
'06年には加藤寛規選手がチームに加わり、車両も由良拓也氏がデザインした紫電にチェンジ。車両のメンテナンスは由良氏が率いるムーンクラフトで、'06年、'07年にはシリーズ2位と毎年のようにチャンピオン争いに加わる強豪チームに成長した。

チームオーナーでもある高橋一穂選手と加藤寛規選手というコンビは3年間変わることはなかったが、'09年途中で高橋選手の代わりに吉本大樹選手が加入、'10年は加藤寛規選手と濱口弘選手というコンビに。
しかし2011年は、本業に専念していた高橋選手がチームに再合流。約2年ぶりに加藤寛規選手とのコンビ復活でチャンピオン獲得を狙う。

紫電に搭載されるエンジンはトヨタ製のV型8気筒・排気量4,400ccの1UZ-FEで、こちらはフォーミュラ3用のエンジンでもおなじみの戸田レーシングがメンテナンスを担当している。
昨年までは紺色のカラーリングをまとっていたが、今年は人気コミック「エヴァンゲリオン」とコラボレーション。カラフルなカラーリングに変身し、ドライバーのレーシングスーツもコミック風になった。
■高橋一穂 選手
「目標はもちろんチャンピオン。
レースはしばらく本業に専念したから休んでいましたけれど、1回も現場に来なかったんですよ。自分で走らないレースは見たくないんです。もちろん予選や決勝の結果は気になって携帯でチェックはしていましたけど。
元々レースをやめる気はなく、本業で自分を追い込んでいました。きついことにチャレンジすることが好きみたいで、由良さんには『究極のマゾ』だと言われていますよ(笑)。

今年レースに復帰することに決めてからは、トレーニングをしてきました。ロードランナーで走ったりビデオを見たり、走行会にも参加したりして限界で走ってみたりと。開幕戦は金曜日の習熟走行があったので、レースモードに入ることができました。
紫電は燃費がいいので長いレースが得意なんですが、全体的にレース距離は短くなってしまったし、得意な鈴鹿のラウンドがひとつ減ったのが痛いですね。
紫電は今年が最後の年になるのでドッカーン(と突き抜けて走るレース)を2回ぐらい、そして1回は優勝したいですね」
GSR&Studie with TeamUKYO
 
「初音ミク」というキャラクターがレースカーに登場したのは2008年のこと。4年目となる今シーズンは、昨年同様グッドスマイルレーシングが主体となり、BMWのチューニングショップであるStudieとジョイントして参戦車両をBMW Z4 GT3(E89)に替えての参戦となった。

Z4 GT3はFIA GT3規定の車両で、V型8気筒・排気量4,000ccのエンジンを搭載する。
この車両の開発を担当していたドイツのシューベルト・モータースポーツが使用して、今年のドバイ24時間レースも制覇しているセミワークスカーであり、ポテンシャルの高さは言うまでもない。車両のメンテナンスは、昨シーズンまで長年RX-7の実戦部隊として活躍していたたRSファインが担当する。

ドライバーは昨年までSUPER GTのRX-7をドライブし、スーパー耐久ではBMW Z4(E86)を操る谷口信輝選手、そして昨年も“ミク号”をドライブした番場琢選手が初めてタッグを組む。
さらに、元F1ドライバーの片山右京氏がスポーティングディレクターを担当することも、大きな話題を呼んでいる。
■谷口信輝 選手
「BMW Z4はスーパー耐久でもドライブしているので全く違和感なく乗れました。スーパー耐久の車両よりもパワーがあって、クセもなく乗りやすいですね。ドイツで走っていたクルマだから初期トラブルもなさそうだし。RX-7の方がコーナリング性能は良かったですけれど、パワーはZ4の方があってトルクも低回転からモリモリとあって力強いです。
開幕前にテストを満足にできなかったので、まだ性能の上がりしろというものはあると思います。だから、燃費やタイヤとのマッチングもこれからという感じですね。あとは、ピットワークとかコース上だけじゃない部分での時間短縮も、考えていかないといけないですね。

RSファインというチームは代表の河野さんたちとも気心が知れた間柄です。チームスタッフの中で僕は年長者ということでいろいろ意見は聞いてもらっていますが、天狗にならないように気をつけないと。
相方の番場選手は性格が良さそうだし、仲良く楽しくやっていきたいですね。一緒に走ってもっとスキルアップしてくれればうれしいし。

目標? それは聞かなくても分かるでしょ(笑)」
Team SG CHANGI
 
シンガポールに建設中のパーマネント・サーキット、SGチャンギがメインスポンサーとなり新たに誕生したチーム。
SGチャンギはF1やSUPER GTの開催を希望しているが、サーキット施設だけではなくアカデミー(レーシングスクール)を併設する予定。ドライバーのステップアップの場としてSUPER GT、フォーミュラ・ニッポンをセレクトした。またエンジニアやメカニックの派遣や、国際交流も視野に入れているという。

ドライバーは昨年までRX-7をドライブしてきた折目遼選手が初めてファーストドライバーとなる。その相棒はスイス人ドライバーで、全日本F3選手権を卒業して今年はフォーミュラ・ニッポンにも参戦するアレキサンドレ・インペラトーリ選手。

車両はフォーミュラ・ニッポン用のV型8気筒・排気量3,400ccのRV8Jエンジンをミッドシップに搭載したレクサスIS350。フォーミュラ出身の折目選手とインペラトーリ選手にとって、違和感のないマシンになっているようだ。
なお車両のメンテナンスは4号車BMW Z4同様、RSファインが担当する。
■折目 遼 選手
「4年間SUPER GTでRX-7に乗って慣れ親しんできましたが、今年は心機一転ですね。
チームはRSファインで河野さんと一緒なので、気持ちは去年までの延長で戦える環境です。ISというクルマはちょっと重いんですが動き出すと速いです。旋回中もエンジンの回転数を下げないで走る感じはRX-7と大きな差はありません。ただミッドシップということもあってフォーミュラの動きに近いですね。それは乗ってすぐに感じました。
僕はフォーミュラ出身だし、アレックス(インペラトーリ選手)もずっとフォーミュラに乗ってるので早く対応できたと思います。そういうことは有利な点でしょう。

これまで4年間セカンドドライバーをやってきたのが、今年はファーストドライバーということで自分の技量を発揮していかないといけません。新しいチームメイトだし新しいクルマだし、いろんなことが評価される一年になると思います。
1戦1戦あせらずにこなし、まずひとつ勝つことが目標ですね」
JLOC
 
JLOC(ジャパン・ランボルギーニ・オーナーズ・クラブ)は、イタリアのランボルギーニ社が公認する日本のオーナーズクラブで、SUPER GTの前身である全日本GT選手権として開催されていた1994年から参戦を続ける老舗チーム。
参戦車両もカウンタックに始まり、ディアブロ、ムルシエラゴ、そして'08年にはガイヤルドへと進化。SUPER GTだけでなくル・マン24時間へのチャレンジも続けている。

SUPER GTには今年も昨年同様3台のガイヤルドで参戦。
86号車は坂本祐也選手と青木孝行選手、87号車は余郷敦選手と織戸学選手、88号車は井入宏之選手と関口雄飛選手というドライバー体制を敷く。
車両のメンテナンスは86号車が5ZIGENで、87、88号車はランドエヌが担当する。

ガイヤルドRG-3は、FIA GT3規定の車両であるガイヤルドGT3がベースで、V型10気筒・排気量5,000ccのエンジンをミッドシップに搭載。
海外のGT3シリーズではおなじみのトップランナーだが、SUPER GTでは未勝利。チームは'06年第1戦(車両はムルシエラゴ)以来の優勝を狙っている。
■織戸 学 選手
「心機一転、名門のJLOCでランボルギーニに乗せてもらえることになりました。
今までの経験を生かしていい結果を出したいです。そしてランボルギーニのイメージを変えたい。チームには3台のガイヤルドがあるわけですが、どこが勝ってもいい。早くガイヤルドに1勝をもたらしたいです。

実際乗った印象はストレートスピードはイメージより遅いという感じ。ストレートエンドまでは速いんですがそこから先は去年まで乗っていたISと並ぶ感じ。
ISとガイヤルドはエンジンのレイアウトは同じミッドシップだけれど、性格は違いますね。こっちの方がエンジンパワーもトルクもあって楽な印象です。

ヨコハマタイヤも、既にフロントタイヤをモディファイしてくれて、いいフィーリングがあります。今すぐというわけではないけれど、早くクルマを理解してクルマとタイヤを作りこんで勝ちたいです。
例年のようなテストがないので甘くはないと思いますが、結果を残していい意味で注目を集めたいですね」
[UPDATE : 13.May.2011]
           
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