今シーズンは長年使用してきたスリックタイヤからA050にタイヤを履き替えて新たな挑戦。序盤戦こそ苦しんだものの、終わってみればシリーズ7勝という強さで全日本9連覇を達成。
だがこの圧倒的なリザルトの裏側で、谷森雅彦選手自身序盤戦での悩みは大きかった。
「ポイントになったのは第4戦になります。
開幕戦でボクが負けて、第2戦に勝てて第3戦は違う人が勝って、三つ巴で迎えた第4戦の九州。そこで1本目雨が降って3番手だったんですけど、2本目ドライになってそこで逆転できた。
三つ巴から一歩抜き出ることが出来たのがターニングポイントだったと思うんです」
SCクラスはスリックタイヤとタイヤウォーマーの使用が認められている。これがSCクラスを戦う上で大きな魅力となっている。
だが今シーズン谷森選手は、新たな試みに挑んでいた。これまで使っていたスリックからADVAN
A050へとタイヤを変更。
「スリックタイヤ自体を使う人が少ないということもあった。去年もマージンがあったのでADVAN A050で挑戦してやろうということでやってみました。
改造車になってからはスリックタイヤを使ってきて、一時期S3クラスの時にADVAN
A048を使っていたこともありましたが、スリックタイヤの魅力が大きくて戻りました。
今年ADVAN A050を使ってみて、それにセットアップを合わせてきたらスリックタイヤとの差も詰まってきて良いタイムが出るようになって、勝てるようになりました」
マテリアルの変更は、もちろんドライビングに大きな影響を及ぼす。
「前半戦はスリックのクセが抜けなくて、体がツッコミ重視みたいな格好でADVAN
A050のうまい使い方ができなかったんです。だけど中盤戦からはナンバー付きの選手たちに教えてもらったりして、だいぶ使えるようになった。
正直、前半戦は苦しかったですね。ことしチャンピオンが獲れるだろうか? という思いはありましたね。でも前半戦で諦めるわけにも行かないので、セットアップなり人間なり進化する部分が大きかった。このままじゃダメだということで、九州ではいつも参加しなかった金曜日からセットアップで詰めて、そこから良くなりましたね。
それ以降はコースに合わせて少し変更するくらいでセットを合わせられるようになってきました」
おおむたで行われた第4戦から最終戦まで、怒涛の6連勝。
圧倒的な速さでコースを駆け抜ける、谷森選手の強さが蘇った。
「ハードにブレーキングして、ハードに加速するっていう体になっていた。それまでは、スリックタイヤの利点をうまく活かす走りが出来ていたと思うんです。でもADVAN A050でそういう走りをしたらダメージが強いっていうか、優しく使うっていうか。クルマのパワーも大きいので、うまく使いきれなかったというのはありましたね。ハンドルの切り方一つにしろ、ブレーキにしろ勉強させてもらってだいぶ変わったと思うんですけど。
それとバネレートに関しては4kg/mmくらい柔らかくしたりとか、大分セッティング変わりましたね。今のセッティングもいい感じで出来ているので、もう少し詰めて行きたいと思います」
9連覇を達成して、何回までチャンピオン獲得の目標を設定しているのだろう?
「とりあえず来年10連覇したいですね。11回は獲っている人がおるんで。ADVANで11回獲っている人を抜きたい気もあるんですけど。ちょっとそこまでは分からないです。とりあえず来年の10連覇ですね」
新たな試みで挑んだ2010年。2011年に向けた課題も見えた。だが谷森選手はもう一度強く言い切った。
「このクラスで10連覇を目指します」