今回、ADVANフォード・フィエスタR2を手がけたのは、北海道札幌市の三共自動車整備株式会社。
同社は哀川翔選手が駆るフィエスタSTも手がけているが、日本初登場となるR2の製作は、まず「時間との戦い」であった。
日本初上陸ということで注目を集めたフォード・フィエスタR2の製作にあたった、同社代表取締役の田村嘉朗さんにお聞きした。
−今回は日程的に大変だったようですが?
田村さん
「そうですね、今回は車が来たのが遅かったので、どうしてもタイトなスケジュールになりました。その中では良くできたと思います」
−車が日本に来たのはお盆前と聞いていますが?
田村さん
「イギリスから空輸されてきてから、登録の手続きや部品手配の都合で、どうしてもお盆過ぎからの製作開始となりました。休みも返上で、それこそメカニック達も不眠不休の日々が続きました。
結果的にはRally JAPANのスタート直前までバタバタすることになってしまいましたね」
−作り手から見たフォード・フィエスタR2とは?
田村さん
「フィエスタは旧型のSTを以前に作っているのですが、それもM-SPORTのキットだったのでR2と同じです。そんな経験もあるので、多少は慣れもありました。
しかし今回のR2はグループAベースなので、ワイヤーハーネスの加工などの仕事も多く、エンジンもオーバーホールする必要がありました。そういった作業もあったので、STの時よりも大変でしたね」
−マシン造りで、特に苦労したことは?
田村さん
「エンジンなんかは、マニュアルも無いので苦労しました。整備書も手に入らない状態の中、全くの手さぐりで作業を進めてきました。そこはこれまでの経験でカバーしてきた部分ですね」
−クルマ造りにあたって、何か独自のノウハウは?
田
村さん
「基本的にクルマにキットを組み付けていくのですが、今回は時間も無かったのできちんと仕上げることが第一。初めて走らせることが出来たので、これからは細かい改良も規則の範囲内で進めてみようと思っています。
今回はとにかく、走らせることだけで目一杯でしたね(笑)」
−フィエスタR2の戦いぶりを見ての感想は?
田村さん
「おかげさまで、良いパフォーマンスを見せられたと思います。
フィエスタR2は、ラリーマシンとして本当に良いクルマだと思います。ただ、ベースであるフィエスタがまだ日本に導入されていないので、そこは残念ですね。
日本車では現時点で似たようなクルマが無いので、色々な面をクリア出来れば日本の国内ラリーでも充分に楽しめるクルマだと思います。国内ラリーでもR2クラスが出来れば、WRカーやSUPER2000のベースとなったフィエスタですから、プライベーターでも充分に楽しめるマシンではないでしょうか」
−今回のRally JAPANを振り返るとどんな戦いでした?
田村さん
「奴田原選手も久しぶりのFF(前輪駆動)車をドライブして良い走りを見せてくれました。
私たちも良い勉強をさせてもらいましたし、素晴らしい戦いだったと思います」