Your browser does not currently have the Flash Player version 8 that is required to view this site.
Please click here to download the latest Flash Player version.
HOME / MOTORSPORTS / ADVAN FAN / Vol.95 News Index
ひとつ前に戻る
サーキットなどモータースポーツ競技会の会場へと運ばれてきたレーシングタイヤ。
戦いに向けてレーシングタイヤは各チームへと渡されていきますが、そこでは“サービス隊”と呼ばれるスタッフたちがチームが持ち込んだホイールにタイヤを組み込む作業にあたります。

競技会のパドック、その一角に設けられたタイヤサービスガレージが“サービス隊”の前線基地。カテゴリーによって増減はありますが、SUPER GTの場合は15人程度のスタッフが作業にあたっています。

このページでは、競技を支える“サービス隊”の仕事とスタッフの思いをご紹介します。
 
 
 
SUPER GTなどのレースシーン、その最前線で戦いを支えているADVANのサービススタッフ。
数多くのADVANで戦うチームが安心して全力を出し切れるように、クオリティの高いサービスでタイヤを管理し、引き渡しています。
タイヤサービスガレージで作業にあたるスタッフ、その核となるベテランの一人が仕事の内容と、サービス業務にかける“思い”を語ります。

有限会社菅原興産
菅原達雄 さん
−タイヤサービスというのは、一言で言うとどんな仕事なのでしょうか?

菅原達雄さん (有限会社菅原興産) :
我々がやっているのはサーキット走行タイヤのサービスです。サーキットを走るユーザーが望むことを、横浜ゴムの代わりにする、ということですね。
基本的にはリム(アルミホイール)とタイヤを組み込む作業です。新品タイヤをフィッティングしたり、逆にユーザーが持ち込んできたタイヤをリムに組んだり、別のリムに組み替えたり、という作業です。

普段はスポーツランドSUGOにあるガレージで仕事をしています。鈴鹿へはサービスの手伝いできました。
小さなレースの場合は、各ガレージに機材がすべて用意されています。 タイヤを交換するにはチェンジャーという機械を使いますが、大きなレースの場合はガレージにある機械だけでは間に合わなかったりサイズが合わなかったりするので、トラックで補充の追加機材も運んできています。
SUPER GTはリムの幅が広いので、専用のチェンジャーが必要です。


−鈴鹿700kmレースはタイヤの本数も多く、忙しそうですね。

菅原さん :
ええ。普段の300kmレースでは、一度全てのタイヤを組めば仕事は終わるんですが、700kmの場合は走行後のタイヤがサービスへ戻ってきて、新しいタイヤに組み替えて渡すという作業があるんです。
いつもはレースを見ていますが、今回はその余裕がないですね。


−タイヤを組む時に気をつけていることはどんなことですか?

菅原さん :
それぞれのチームが使用しているリムはいろいろと種類があるため、表から組むリムもあれば裏から組むリムもあるんです。リムとタイヤによって、簡単に入るものと入りにくいものもありますし、タイヤとリムを壊さないように組むということに一番気をつけています。
ただ、これは経験を積まないと分かりにくいですね。


−サービスの作業をしているスタッフはどれくらいいるのですか?

菅原さん :
14〜5人ほどですが、実際にチェンジャーを使って組む作業を担当しているのは7〜8人です。タイヤレバーが飛んでしまったり、怪我をする可能性があるからです。やはり経験を積んだ人に作業してもらっています。
サービスの仕事を始める人には、一番最初はタイヤのADVANマークをスプレーで入れる作業や、エアーのバルブコアやバランスウェイトをはがす作業をやってもらいます。
次はセパレーターやバランサー。そうやって様々な作業を覚えてもらいながら、チェンジャーの使い方も学んでもらい、実際に作業してもらいます。


−他にも、作業ではどのように安全を確保しているのでしょうか?

菅原さん :
タイヤにエアーを入れる作業は要注意です。機械でエアーを入れるので誰でもできる作業ですが、リム側に僅かでも亀裂が入っていると、ビードがリムに上がる瞬間に破裂する可能性があるのです。
ですから安全のため、金網のケースの中でエアーを入れています。


−様々なタイヤと接する機会の多い仕事ですね。

菅原さん :
そうですね。だからなのでしょうか、地方レースの時にはアマチュアドライバーにいろいろなアドバイスを求められることがあります。内容は主に、空気圧やタイヤの使い方についてですね。そういう時のために、SUPER GTのように大きなレースの時にはタイヤ設計者の方たちと話をして、いろいろ教えてもらっています。
自分が組んで渡したタイヤが勝ったら、やっぱり嬉しいですよ。逆に負けてしまった時には、何が原因で負けてしまったのか、すごく気になりますね。


−一言、サービスの現場からのメッセージをお願いします。

菅原さん :
機会があれば、是非実際に目の前でレースを見てほしいです。タイヤというものがどれだけ酷使されているのか、分かると思います。
例えば10トントラックに装着されているタイヤも過酷な仕事をしていると思いますが、スピードとしてはせいぜい最高で100km/hぐらい。サーキットでは200km/hオーバーのスピードから急ブレーキをかけてマシンが一気に曲がっていく。それに耐えているタイヤを見ると、タイヤの凄さというものが分かってもらえると思います。
レースの勝敗だけでなく、マシンの挙動に対して踏ん張っているタイヤの姿も、実際に感じてほしいですね。
 
 
当たり前のことですが、どんなモータースポーツもタイヤ無しには戦うことが出来ません。
最高のポテンシャルを持つレーシングタイヤを、質の高いサービスで確実にユーザーへと渡している“タイヤサービス隊”。その隊長役を担うスタッフは、作業環境全体を常に見渡し、安全で確実なサービスを実現しているとともに、さらなるサービス品質の向上につとめています。

ケー・パワーズ株式会社
松澤 浩 さん
−松澤さんはサービス部隊の“隊長”として、どんなお仕事をされているですか?

松澤 浩さん (ケー・パワーズ株式会社) :
サービス部隊の全員が働きやすい環境を作るのが私の仕事です。
何の事故もなく作業を終えられることは大前提。さらに、「もっと頑張ろう、次の仕事も頑張ろう」という気持ちになれる環境作りを目指しています。
例えば「温測(温度測定)の仕事をしたい」とか、目標を持って仕事を出来るように。ただ流されて行くのではなく、やりたいんだ、という気持ちになってもらうことが我々の仕事。
勝つことも大事ですが、それに加えて働きやすい環境を作りたいと考えています。


−具体的には、どんなことでしょうか?

松澤さん :
一例としては休憩スペースを快適にするためにはどんな設備が必要か、とか、スケジュール管理などですね。
SUPER GTで横浜ゴムは20台ほどと多くのユーザーがいますし、仕事量はどんどん増えてきています。以前は木曜日にはサービスの設置だけで済んでいましたが、今はサービスの設置が終わるとそのままタイヤの準備を始めなければ、金曜日だけでは終われません。
作業人数も限られていますから、今後は機材関係のリクエストを出して、オートメーション化を進める予定です。


−突発事態にも的確な対応が求められますよね。

松澤さん :
そうですね。突発事故が起こった時も臨機応変に対応しています。
たとえば突然雨が降ってきた場合、作業しているドライタイヤに加えレインタイヤの準備も進めなければいけません。簡単にセットできるテントなどを余分に持ってきているので、それを設置して作業場を広げたりしています。
機材も突然壊れる可能性もありますから、多めに用意していますね。

タイヤ設計エンジニアからの出荷指示は我々のところに届きますが、チームの意向によっては現場で突然オーダーが変わったりすることもあります。なので最終的にサーキットに来てから、各チームのスタッフにマーキングタイヤ6セットがすべて組めるかどうか(6セット分のホイールが用意してあるかどうか)を確認します。これも、連絡を万全にしておかないと、チーム側では組む必要のないタイヤを組んでしまったら、ばらす作業が余計に増えてしまいますから、徹底しているところです。


−連絡作業を密にすることが大事なのですね。

松澤さん :
そうです。作業の効率化にもつながりますし、事故も起きにくくなる。
そういった部分を徹底しているからこそ、これだけの人数で20ものチームに対応できるのだと思っています。
 
 
サービススタッフはタイヤを組むだけが仕事ではありません。中にはレースが始まるとタイヤの進化・開発に必要となるデータを収集する作業にあたっているスタッフも多く存在しています。
そんな作業のひとつが“温測”。走行直後のタイヤ、その温度を計測してデータの収集にあたっています。
戦いの最前線で、タイヤの進化を支えるスタッフ。その横顔をご紹介します。

遠州トラック株式会社
和田充弘 さん
−和田さんの担当している「温測」とはどんな仕事ですか?

和田充弘さん(遠州トラック株式会社 春日部営業所 輸送部) :
その名の通り、走行後の温度を測る仕事です。タイヤ開発においての基本データが走行後のタイヤの温度。それを調査しています。
測るのは1か所だけじゃなく、1本のタイヤについて外側、真ん中、内側の3か所です。外側の方が温度が低く、内側の方が高いのですが、先に温度の高い内側をはかってしまうと、ゲージの温度が下がりにくいので、先に温度の低い外側から測っていくのがセオリーです。

どのタイヤから測るというのも決まっています。基本的に右回りのサーキットでは、コーナーでかかる負担の大きい左側が一番温度が高いので、左の後ろから、左前、右前、右後ろです。もちろん、ピットでチームスタッフが何か作業を始めたときにはその順番に関係なく、臨機応変に対応しています。


−温測の仕事をする上で大切だと思うことは何ですか?

和田さん :
それぞれのチームスタッフとコミュニケーションをとることですね。
温測パッドにはタイヤの内圧を書く欄もあるんですが、内圧は各チームのスタッフが測るので、たとえばお互いにあまり面識がなかったりすると聞きづらかったりします。
他にも、我々温測スタッフは一人が複数のチームを担当しているため、他のチームをチェックしている間にタイヤが交換してあったりドライバーが交代していることがあるので、チームとしっかりコミュニケーションを取っておくとそういった情報も教えてもらいやすかったりします。


−和田さんは、今は何チームぐらいを担当しているのですか?

和田さん :
私はNISMO系の24号車、3号車、46号車が基本担当です。さらに各レースのピット割によって、近くにいるチームは見るようにしています。
今は4〜5チームを見るのが普通ですが、昔は一人1チームを担当していました。私は温測の仕事を始めて8年ぐらいになりますが、仕事を始めたころはクルマに触るのもドキドキして、ちゃんと測ったのに数字を忘れてしまったり、左タイヤをはかったのに右タイヤの欄に書いてしまったり。そんな失敗も昔はやりました。
ADVANユーザーが結果を出してくれるのは嬉しいですが、自分が担当しているチームが勝つと特に嬉しいです。2007年に(担当していた)24号車が初優勝した時は、嬉しくて泣いてしまいました。
 
 
 
ひとつ前に戻る