−小泉さんがトラックで運ぶのは、タイヤではないと伺いましたが。
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杉崎運輸 レース部・小泉 仁さん |
小泉 仁さん (杉崎運輸株式会社 レース部) :
そうですね。私が運んでいるのはサービスで使用する機材です。うちの倉庫に、横浜ゴムの機材が一式置いてあるので、依頼に応じてサーキットに持ってきます。
いま倉庫の中には、SUPER GT用の機材とスーパー耐久用の機材、カート、ラリー用の機材が置いてあります。他にも、サインガードやテントを一式。基本的には、各サーキットにあるタイヤメーカーのガレージに入っていないものを持ってきます。
タイヤを運ぶのにも気をつけていると思いますが、私が扱っている機材も機械ものなので、ベルトで固定したり発泡スチロールをつめたりして、壊さないように運んでいます。
−ちなみに、SUPER GT鈴鹿700kmではどんな機材を運んできたのでしょうか?
小泉さん :
今回は、バランサーを3台、チェンジャーを2台、コンプレッサーが1台、それにタンクが1つです。普段はバランサーは1台なのですが、やはりタイヤ数が多いので今回は3台持ってきました。鈴鹿のガレージはサポートレースが使うので、その分持ってくる機材も多くなりますね。
−サーキットの現場では、どんなお仕事をされているのでしょうか?
小泉さん :
タイヤを運んできたスタッフたちと一緒に、テントの設営や機材の設置です。その後はサービス作業を手伝っています。
最近トレーラーを新車にしましたが、今回のクルマは2段仕様になっていて、機材を降ろした後は1階部分をスタッフの休憩場所にできるようにしました。鈴鹿はガレージが狭いので、タイヤを運んできた運転手たちの休憩場所がないのです。それで、横浜ゴムとKパワーズと話し合って、2段仕様のクルマにしました。
−ADVANカラーのトレーラーは、運転していても注目されると思うのですが。
小泉さん :
その通りですね。赤黒のADVANカラーは、やはりネームバリューがありますから運転には特に気をつけています。
追い越しをされるときは、相手の速度がゆっくりになることもあって、注目されていることを感じますよ。だからこそ、下手な運転はできないですね。
−サーキットによっては道が狭かったりして大変ですね。
小泉さん :
サーキットの中で特に気をつけているのはツインリンクもてぎですね。あそこはパドックに入るためのトンネル幅が、狭いので神経を使います。
サーキットへの道中で考えるとオートポリス。ヘアピンになっているコーナーは、反対車線に出ながら曲がっていかないとキツイです。
−なかなか、大変な仕事だというのがよく分かりました。
小泉さん :
だから、ということなのか、なかなか若手がいませんね。レースの仕事は特殊だし、本当に好きじゃないとできないと思いますよ。手積み、手卸しが基本だし、なんだかんだとレース中はひっきりなしに動いてますから。
我々は運転手でもあり、サービスのスタッフでもあるんです。でもここまで続けられているのは、やっぱりクルマが好きだから。それに、ADVANユーザーが優勝するのを見ると嬉しくなります。ここで働いてるスタッフは、どんな荷物を運んでいようと、どんな仕事をしていようと、みんなADVANの仲間ですからね。