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注目と人気を集める"美人すぎるラリースト"
 
IRCに参加するチームの中で、高い注目と人気を集めているのが、プジョースポーツ・トルコ。
日本でも人気のBセグメント・ハッチバックカーであるプジョー207をベースとしたS2000マシンで参戦している、トルコのプジョー販売会社が主体となっているチームだ。

[クリックで拡大画像を表示します]このチームが注目されている理由こそ、プジョー207・S2000で戦う「美人すぎるラリースト」にある。ドライバーはブルジュ・チェティンカイ選手、コ・ドライバーはチチェッキ・ギュネイ選手という、ともに29歳という美貌のラリースト・コンビがマシンを駆っているのだ。

ドライバーのブルジュ選手について、プロフィールをもう少し詳しく紹介していこう。
1981年3月19日にトルコ西部のイスタンブールに生まれ、2005年にラリーへの参戦を開始。デビュー戦は同年8月に開催されたトルコ・ラリー選手権の「Hitit Rally」、デルタスポーツ・チームからフィアット・パリオを駆って参戦して完走を果たした。
この年は同選手権3戦に加え、イスタンブール・地方ラリー選手権にも3戦にチャレンジ。こちらではレディース部門のタイトルを獲得した。

翌2006年にはトルコ・ラリー選手権にシーズン前半はISOKチームからフォード・フィエスタSTで参戦。後半に入ってデルタスポーツ・チームからフィアット・パリオS1600での参戦となり、その緒戦「イスタンブール・ラリー」では総合9位のシングルポジションを獲得、S1600の中では4位に輝いた。続く「Hihit Rally」も総合9位/S1600の4位で終えると、9月9日から10日にかけて開催された「Yesil Bursa Rally」で総合8位、そしてS1600マシンのトップを獲得。最終的にはレディース部門を制した。
またイスタンブール・地方ラリー選手権にも前年に続いて参戦、こちらはシーズンを通じてISOKチームからの出場で3大会中2戦でシングルポジションにつけた。
さらにこの年は地元・トルコで開催されたWRC(FIA世界ラリー選手権)にフォード・フィエスタで初参戦を果たしている。

[クリックで拡大画像を表示します]2007年はグループN車両のフォード・フィエスタSTに戻ってトルコ・ラリー選手権に参戦、この年からチチェッキ選手とのコンビが組まれた。グループN車両ということで総合上位への進出は果たせなかったが、全戦を完走する安定した戦いぶりで、シリーズのレディース部門を前年に続いて制覇。
またこの年は、ベルギー・ラリー選手権にも遠征してキャリアを重ねた。

2008年も参戦体制は前年と変わらず。開幕戦でN3車両の中で3位の成績をおさめると、第3戦のイスタンブール・ラリーではN3車両のトップでフィニッシュ(この大会はチチェッキ選手ではないコ・ドライバー)。第4戦でもN3車両の2位を獲得、第5戦で再びN3クラストップを奪うと総合でも10番手に食い込む活躍を見せるなどして、3年連続でシリーズのレディース部門を制するとともに、3クラスでもタイトルを手中におさめた。
また、この年はフォードフィエスタ・スポーツ・トロフィーにも参戦してシリーズ2位の活躍を見せ、これらが大きな飛躍の原動力となった。

2009年、カストロール・フォード・チームTRから、グループA仕様のフィエスタSTで参戦。開幕戦をクラス2位で終えると、第2戦からはチチェッキ選手とのコンビになり、第3戦でグループAクラスの優勝を飾る。確実に表彰台の一角を占める安定した戦闘力を見せたブルジュ/チチェッキ組は、タイトル獲得を賭けた最終戦でグループN仕様のランサーエボリューション勢に割って入る総合5位でシーズン2勝目を飾り、堂々のグループAクラスチャンピオンと、4年連続のレディース部門制覇をなし遂げた。
そして同年、トルコ選手権と並行してイタリア・グラベル・ラリー選手権に参戦。チームはTwister Corse、マシンはプジョー207のS2000仕様であった。

[クリックで拡大画像を表示します]2010年、ブルジュ/チチェッキ組はプジョースポーツ・トルコ・チームで前年のチャンピオンカーであるS2000仕様のプジョー207のシートを獲得した。
チームは国営のトルコ航空を筆頭に、石油メージャーの1社として知られるトタルのトルコ現地法人、プジョーとシトロエンを中核とするPSAグループに属する物流会社・Gefcoなどのサポートを受ける。そして装着するのはADVANラリータイヤ、P-WRCでモンテカルロなどを制して強さを見せたプロトタイプを源流とするADVAN A053をグラベル用のメインタイヤとして使用している。
また、このチームにはハヤーティ・ヤズシュ副首相から、トルコという国を世界中にPRすることへの協力を委ねられている。全世界にテレビ中継されるマシンにはトルコ国旗があしらわれ、スタートやフィニッシュ時にはクルーが誇らしく国旗を掲げているのは、このためでもある。

このように"トルコ代表"といっても良いプジョースポーツ・トルコと、ブルジュ・チェティンカイ選手/チチェッキ・ギュネイ選手のコンビ。注目度の人気の高さは、ともに29歳の美女コンビだからというのみならず、今季はやや苦戦を強いられているものの、これまで着実にステップアップを続けてきた実力派であるからこそなのだ。
さらにブルジュ選手、トルコ語・英語・フランス語・イタリア語の4ヶ国語を操り、トルコではテレビのニュースキャスターをつとめている。趣味もスノーボード、射撃、ダンス、バスケットボール、そしてチェスと多才。
一方、コ・ドライバーのチチェッキ選手もトルコ語・英語・フランス語・スペイン語の4ヶ国語を使い、趣味はスカッシュとファッション・デザインとこちらもなかなかの多才ぶり。しかもスポーツシーンにおける活躍の場はラリーに限らず、スノーボードでトルコ・ナショナルチームの一員として活躍するトップ選手の一人。8回のトルコ・アルパイン・スノーボード王座に輝いている。

これだけ才色兼備な二人なのだから、人気が出ないわけがないといった感じもするところだ。
 
国際ラリーを戦う"ADVAN A053"
 
IRCを戦うグラベル(未舗装路)用のADVANラリータイヤは、P-WRCのジャパンなどを制したプロトタイプを源流としているADVAN A053。高速型の海外ラリーに向けて生み出されたものであり、APRC(アジア・パシフィック・ラリー選手権)やCRC(中国ラリー選手権)などでも活躍を見せているタイヤだ。
IRCというシリーズはタイヤ開発の舞台として見たときにどのようなものなのか。ADVANラリータイヤ開発のまとめ役である横浜ゴム・モータースポーツ部技術開発2グループリーダーの島田淳はこう語る。

「世界各地の路面データを採ることが出来るので、タイヤ開発にとっては有益で重要なシリーズです。
ただ、SUPER2000マシン用のタイヤというのは初めての経験なのですが、当初はN車両に比べて重量は軽いし"足"も良く動くということだったのでタイヤ的には負担が少ないのかと思っていました。ところがフタを開けてみると全然違って、構造やコンパウンドもかなりしっかりしたものでないといけない、ということが判ってきました」

6月下旬にベルギーのイプルーで行われた大会に立ち会った横浜ゴム・モータースポーツ部長の佐伯光俊も、現地を訪れてIRCに抱いた思いを次のように語る。

「実際の戦いを見て、全日本ラリー選手権など日本国内のラリーとは全然違うと感じました。それはS2000などのマシンについてもそうですし、なによりもスピードが圧倒的にIRCの方が速い。世界と日本のラリーの違いを改めて目の当たりにした感じですね。
IRCなど国際ラリーはタイヤの善し悪しがはっきり見えてきます。日本国内だけで開発をしていると世界ラリーの基準との違いに気がつかなくなってしまうかもしれません」

今年からIRCへの本格参戦を果たしたADVANラリータイヤ。いよいよ路面やマシンに合わせての開発が本格化していくことになるが、ここで問題となったのが現地との"距離"。欧州を中心に各地を転戦するIRCだが、タイヤの開発や生産は日本が拠点。この地理的な問題について島田がこれまでの対応について語る。

「今季これまでIRCを戦ってひとつ見えてきたのは、タイヤについてはバリエーションを幅広く持っておかなければならない、ということです。当初は大会毎に開発したタイヤを現地に送っていたのですが、このやり方では時間がかかる。この方法では送った中でしか選択肢が無く、実際の競技になって必ずしも最適な選択肢があるとは限らない場合もあり得ます。
そこで本数は少なめでも良いので、どんどん新しく開発した仕様を現地に送っておいて、幅広い選択肢の中から現地で最適なものを選んで走ってもらう方法に切り換えました。そうしていかないと、今シーズン中にデータを集めることすらままならなくなってしまうと思ったからです。
6月上旬のイタリア・サルジニアからこの方法に切り換えたので、タイヤの開発スピードが向上しました」

開発スピードのテンポアップには、現地に立ち会った佐伯の指示も背景にあった。

「現地に行ってみて、『これじゃあ勝負にならんぞ』と。少量でも良いから航空便で飛ばして対応する必要を実感しました」

タイヤ開発は時間との戦い。ライバル勢も進化を続けていく中、地理的なハンデを克服して進化のペースをテンポアップさせたADVANの開発陣。
プジョー207のS2000で参戦するブルジュ・チェティンカイ選手組はメディアや主催者からの注目度も高く、必然的にADVANラリータイヤの戦いぶりにも熱い視線が注がれている。

IRCという世界舞台のラリー、その戦いに参加することの意義を、佐伯は次のような言葉で締めくくった。

「タイヤワンメイクで数年行われてきたWRC(FIA世界ラリー選手権)がフリーになるという話もありますが、将来的な展開としてユーザーがいるのであれば、IRCでもWRCでも、ADVANで戦ってもらって開発を進めていきたいと思っています。
最初にも話しましたが、世界のラリーと日本国内のラリーは別物と言っても良いほどに違いが大きい。しっかり世界のラリーをやっていかなければ、タイヤメーカーとしてラリータイヤの開発が間違った方向に行ってしまう可能性もあると思っています」

P-WRCをはじめ、海外のラリーでも栄光の歴史を刻み続けてきているADVAN。IRCという新しい舞台でも、ADVANラリータイヤは絶え間ない進化を続け、その速さや戦闘力に磨きをかけています。
 
       
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