今回の「Rally Hokkaido」でラリーフィールドに帰って来た選手と言えば、実に17年ぶりの出場を果たした大西康弘選手の存在が話題を集めた。
かつては名門タスカ・エンジニアリングの一員としてギャランVR-4などを駆ってラリー界にその名を轟かせ、「青森三羽ガラス」の一人として活躍した名選手である。
そんな大西選手が最新のランサー・エボリューション]で参戦。スタート前には「クラッチの踏み方から思い出さなきゃならないんだ」と笑っていた大西選手だが、いざスタートすると17年という長いブランクを全く感じさせない走りを披露。難しいコンディションのステージも危なげ無い走りで速さを見せ、終わってみればAPRCクラスの総合6位、プライベーター勢の最上位でフィニッシュを果たした。
−17年ぶりの復活ですが、再びラリーをしようと思った理由とは?
大西選手 :
ラリーを長いことやってきて、それを止めてずっと過ごしてみて、本当に一番好きなスポーツはやっぱりラリーなんだということにハッキリと気がつきました。それならば今やらないと、これから歳をとると出来なくなってしまうんじゃないかと思って、「今しかない」という思いで現役復帰を決めました。
−17年前と今のラリーを比べて、変わったところ、変わっていないところとは?
大西選手 :
そうですね、ラリーそのものは昔も今も同じなんだと思いました。ドライバーというのは、クルマや自分の気持ちやテクニックや、いろいろなものを使って自分自身の限界にアタックしていきます。それは格闘技のような面もあるんだな、と思って三日間を走っていました。
逆に昔と違ったところは、まずはスピード。当然のことでしょうが、クルマもドライバーのテクニックも17年の間に進化していて、ハイスピードになっています。
でも歳を重ねた分、自分自身はとても冷静でした。昔もそういう冷静さを持っていたら、もっと強かったのかもしれませんね(笑)。
−他の選手たちの戦いぶりを見て、どんな印象ですか?
大西選手 :
昔も今も、みんなラリーが好きで戦っていますよね。そこは何も変わっていない。
僕のように一度止めてからラリーの素晴らしさに改めて気がつくのではなくて、今を大切にしてみんな一所懸命走ってくれれば良いですよね。僕だって今続けているみんなに少しでも近づけるように、トレーニングなどを重ねて頑張っていきたいと思います。
−17年ぶりの参戦で、タイヤの進化を感じた面はありますか?
大西選手 :
タイヤはですね、もの凄くしっかりしていました。昔のタイヤは、路面の悪いところではもうちょっと弱い感じがした。だから今は安心してどんなところでも踏んでいける。どんどん踏んでいっても、タイヤの限界はまだまだ上のところにあるという印象です。
奴田原(文雄)選手があのハイスピードで走っていても、タイヤはしっかり走りに応えていて、ノートラブルだったことがひとつの証でしょうね。
−最後に今後の予定を教えてください。
大西選手 :
もちろん、まだまだやります。取り敢えずは今年のRally Japanに出場したいと思っているのですが、APRCにせよ全日本選手権にせよ、とにかく今は走りたい。
今年は復活した年なので、来年に向けてどういう試合の場を選んでいくかしっかり考えて今年は過ごしたいと思っています。