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今年も北海道の十勝地方を舞台にして「Rally Hokkaido」が開催された。
このラリーはAPRC(FIAアジア・パシフィック・ラリー選手権)の第2戦と、全日本ラリー選手権の第3戦という、ふたつのチャンピオンシップがかけられた国際ラリー競技会である。

APRCとはアジア地区と南半球の環太平洋地区を転戦するシリーズで、ラリーの最高峰であるWRC(FIA世界ラリー選手権)に次ぐ位置づけとなるエリアチャンピオンシップ。
詳しくは今季の開幕戦・マレーシアラリーの模様を奴田原文雄選手がレポートした記事、「奴田原文雄のモータースポーツ漫遊記2010 =マレーシア編=」に掲載しているのでそちらをご参照いただきたい。

昨年までは7月の開催となっていた「Rally Hokkaido」だが、今季は2ヶ月ほど時期が早められた。北海道は今年、ゴールデンウィーク前後にも遅い降雪があり、既にカレンダーが5月後半に入ったラリーウィークになっても、北十勝の山中に設けられたSS(スペシャルステージ)の脇には残雪が見られた。
その一方では例年よりも一週間ほど遅く開花した桜が葉桜の状態で咲いており、まさに北の雄大な大地にラリーが春の訪れを告げたといっても良いだろう。
 
 
競技は十勝の中心都市である帯広市の郊外にサービスパークが設けられ、ここには隣接して1.20kmのギャラリーステージも用意された。またサービスパーク周辺では多彩なイベントが催され、週末を通じて多くのラリーファンや市民で賑わった。

ステージは十勝北部に設定され、陸別町のダートサーキットコースと林道を組み合わせたものや、本別(ほんべつ)町や足寄(あしょろ)町には全長20kmを超えるロングステージも設定。また帯広の隣町、音更(おとふけ)町にも林道ステージが設けられ、ラリー初心者でも気軽に参戦出来るギャラリーステージとして人気を集めた。
 
 
これらの各町など十勝地方の自治体には「Rally Hokkadio」を支えるボランティア組織も生まれ、地域が一体となってラリーを支えた。
開幕に先立って20日(木)の夜には地元が主催するウェルカムパーティを帯広駅前で開催。地元政財界の方々とラリーに出場するクルーやスタッフが交流を深め、会場は和やかな歓迎ムードに包まれた。

大会が始まると、道内外から訪れた熱心なラリーファンはもとより、地元の市民が年に一度の"お祭り"を楽しんだ。それはギャラリーステージやサービスパークのみならず、リエゾンに設定された一般道路でも沿道で待ち構えて、やって来るラリーマシンに声援を送った多くの人々の姿に象徴される。
特に22日(土)には帯広駅前の目抜き通りがリエゾン区間となったため、沿道には多くの市民がやって来て盛り上がりを見せた。

こうして地域が官民一体となって大会を盛り上げた結果、週末を通じて36,250人という「Rally Hokkaido」史上最多の動員を記録、今年の大会も大成功のうちに幕を閉じた。
 
大会は21日(金)の夕方に行われたセレモニアルスタートで開幕。
APRC勢で期待を集めたのは、柳澤宏至選手/中原祥雅選手組と、炭山裕矢選手/加勢直毅選手組というランサーエボリューション]で参戦するCUSCO World Rally Teamの2台だ。

柳澤選手はアジア・パシフィック・ラリー選手権、炭山選手はアジアカップへのチャレンジとなっている今季、惜しくも開幕のマレーシアでは両者ともにリタイアを喫してしまっていた。
それだけに地元・日本での雪辱を果たすべく、並々ならぬ意気込みで臨んだ両者。柳澤選手は戦いに先立って行われた記者会見で
「今年はランサーエボリューション]で走行回数もこなしたし、シェイクダウンでも良いタイムが出ています。優勝を狙って頑張ります」
と、その決意を力強く語っている。

金曜日、セレモニアルスタート直後に行われたSS1・オビヒロ1(1.20km)では、国内初登場となったSUPER2000マシンと同タイムで3番手につけた柳澤選手。炭山選手は7番手のタイムで、翌日からのロングステージを含めた戦い本番に備えた。

22日(土)は25.12kmのシピリカキム、25.25kmのクンネイワを3回ループする。これにギャラリーステージとなる2.73kmのリクベツと、1.20kmのオビヒロをそれぞれ2回ずつ走る、合計10のSSが設定された。
シピリカキム・リバース1を4番手、クンネイワ1を5番手であがった柳澤選手は、リクベツ1で3番手のタイムをマークして調子を上げていく。一方の炭山選手はクンネイワ・リバース1のスタート直後にブレーキトラブルが発生したが、しっかり走りきって両者ともにセクション1を終えた。

リピートステージとなるセクション2に入ると、全日本選手権車両も走行しているため路面は深いワダチが掘れてコンディションは難しくなっている。そんな中で、SS5・シピリカキム・リバース2を柳澤選手が3番手、炭山選手は5番手であがった。
この後も堅実な走りを続けた両者、終盤の林道ステージでは雨が降って路面が滑りやすくなったが、ここもアクシデントやトラブル無く走りきって、この日の締めくくりとなるSS10・オビヒロ2、SS11・オビヒロ3に臨む。

多くのギャラリーがコースサイドで見守る中、SS10でステージベストを奪ったのは炭山選手。さらにスポット参戦の新井敏弘選手をはさんで総合3番手に柳澤選手がつけ、APRC登録選手のワン・ツーをCUSOCO勢が奪った。

DAY1-Bを終えてのポジションは、新井選手が総合トップ。APRC登録勢ではランサーエボリューション]が上位を占め、ガウラブ・ジル選手がトップ、2番手に田口勝彦選手、そして柳澤選手、炭山選手と続いた。

23日(日)のDAY2は、6.29kmのオトフケ1から。
この次のステージ、12.73kmのSS13・アショロ1はコースの大半が霧に包まれてしまっていた。この影響で柳澤選手はペースダウンを余儀なくされてしまい、DAY1-B終了時点でAPRCトップのジル選手と13.5秒差だったものが、24.5秒差と開いてしまった。

だが、10.78kmのSS14・ホンベツ1で一気にチャージ。対するジル選手は走行中に姿勢を乱して車体をヒットさせてタイムダウン。両者の差はここで6.8秒詰まり、柳澤選手がジル選手にプレッシャーをかけていく。また炭山選手もジル選手を上回るタイムで柳澤選手に続いて速さを見せる。

そしてSS15・オトフケ2。ここでジル選手はリアサスペンションにトラブルを抱えて大きく後退、対する柳澤選手はAPRC勢の2番手、炭山選手も4番手と好走してトップの田口勝彦選手を追いかける。
SS16・アショロ2では遂に柳澤選手がAPRC勢のベストタイムをマーク、終盤の猛チャージが加速。SS15終了時点で9.9秒あった田口選手との差は、SS16を終えて8.5秒差に詰まった。

残すは10.78kmのSS17・ホンベツ2と、1.20kmの最終SS18・オビヒロ4。

全力で逆転に向けて力走した柳澤選手だったが、惜しくもSS17で田口選手の先行を許してしまった。しかし大勢のファンが待ち受ける最終SSまでしっかり走りきった柳澤選手は総合3位、APRC登録勢の準優勝でフィニッシュ。

総合5位・APRC勢4位となった炭山選手とともに開幕戦の雪辱を果たし、地元・日本のファンから大きな声援をセレモニアルフィニッシュで集めていた。
 
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