波乱のレースとなったオーストリアのザルツブルグリンクから一週間のインターバルをはさみ、2012年のWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)はシーズン後半戦のカレンダーへと突入する。
その皮切りとなるのはポルトガルのアルガルヴェ、このコースでWTCCが開催されるのは一昨年以来2回目のこととなる。2010年7月4日、アルガルヴェで初めて開催されたWTCCは、ヨコハマタイヤにとってWTCCへのワンメイクタイヤ供給100戦目という記念すべき大会であった。
この大会、第1レースで優勝を飾ったのはセアトのティアゴ・モンテイロ選手(右写真)。今シーズンはサンレッド・エンジニアリング製のエンジンを積むSR・レオン1.6Tを駆るモンテイロ選手、残念ながらここまではリタイア率がやや高めで表彰台を獲得するには至っていない。
しかし、モンテイロ選手と言えばその出身地はポルトガル。そう、次のアルガルヴェは母国開催であり、2年前に優勝を飾っていることからも期待が集まる存在となる。
先のハンガリー戦では地元のノルベルト・ミケリス選手が優勝を飾ってサーキットは大興奮に包まれたが、WTCCではこれまでにも地元で好成績をおさめる選手が多く現れている。やはりアウェイよりはホームでの戦いの方が有利、というのはサッカーに限った話では無いようだ。
モンテイロ選手については、2008年のエストリル戦でも地元優勝を飾っているだけに、今年のアルガルヴェもまずはその戦いぶりに注目したい。
ところでアルガルヴェは、先のザルツブルグリンクと同様にタイヤへのシビアリティが高いコースだ。2年前は第1レースをモンテイロ選手、そして第2レースを同じくセアトを駆るガブリエレ・タルクィーニ選手が制しているが、ともにレース後にはタイヤマネージメントに気をつかった旨のコメントを発している。
ただ、僅かに2年前とは言え、この間にマシンは大きく変貌した。車種こそセアトはレオン、シボレーはクルーズで変わらないものの、前者は当時のディーゼルターボエンジンから、後者は2,000ccの自然給気ガソリンエンジンから、ともに1,600ccガソリンターボエンジンへとスイッチしている。これによりエンジンパワーとトルクが増大しており、タイヤへの負担は増している。
時期的には2年前よりもおよそ1ヶ月早い開催となることから多少は暑さという面では条件が良いかもしれないが、いずれにしてもザルツブルグリンクに続いてアルガルヴェも、タイヤマネージメントを含めたレースの組み立て方が勝敗を分ける鍵になりそうだ。