オーストリア戦は2012年シーズンにおいて、前半戦最後の戦い。つまり、ここが折り返しポイントとなるわけで、そろそろタイトル争いの行方も気になり始めるところだ。
特にYOKOHAMAトロフィー部門は、ハンガリー戦を終えて混戦模様がますます色濃くなっている。
ランキングトップに立つのは、17歳のペペ・オリオラ選手(左写真)。開幕戦のイタリアで優勝を飾ると、第3戦・スペイン、第5戦・モロッコ、第8戦・スロバキアと、各大会で確実に勝利を獲得してこれまでに4勝を挙げた。ハンガリーは優勝こそ逃したものの、2レースをともにYOKOHAMAトロフィーの3番手でフィニッシュしており、若いながらも安定感の光る戦いぶりを見せている。
このオリオラ選手に猛追してきたのが、ハンガリーで劇的な優勝を飾ったノルベルト・ミケリス選手。第1レース(第9戦)でYOKOHAMAトロフィーの2位、そして第2レース(第10戦)で堂々の総合優勝を飾り、YOKOHAMAトロフィーのランキングでもステファノ・ディアステ選手を逆転して2番手にポジションをアップ。
3番手にドロップしたディアステ選手は、序盤の3大会で各1勝を挙げているが、ここ2大会は表彰台の真ん中から遠ざかっている。その上でやや大きくポジションを落としてフィニッシュするレースが続いていることが、ミケリス選手にポジションを明け渡した要因と言えるだろう。
もっとも、17歳のオリオラ選手、27歳のミケリス選手に対して、38歳とベテランの域にあるディアステ選手は、2007年のインディペンデント・トロフィーを獲得している実力派ドライバー。どのように前半戦を締めくくるレース展開を組み立ててくるのか、興味深いところだ。
さて、年齢の話題で言えば、ランキング4番手のフランツ・エングストラー選手(右写真)を忘れることは出来ない。
御歳50歳の大ベテランは、昨年のドイツ戦で史上初の非マニュファクチャラー勢による総合優勝という金字塔を打ち立てたことも記憶に新しい。先のハンガリーを制したミケリス選手が2人目の快挙をなし遂げたわけだが、世界選手権の表彰台を勝ち取ったジェントルマン・ドライバーの雄は、「まだまだ若い者には負けん!」と言わんばかりに意気盛んである。
繰り返しになる部分はあるが、現時点のYOKOHAMAトロフィーはランキング順に、'90年代生まれのオリオラ選手、'80年代生まれのミケリス選手、'70年代生まれのディアステ選手、そして'60年代生まれのエングストラー選手と、見事に各世代を代表するドライバーが並んでいる。
最後にトロフィーを手中におさめるのは、一体誰になるのか。まずは戦いの軸となるこの4選手、誰か一人を「特に応援するドライバー」に選んでみると、よりYOKOHAMAトロフィー争いを面白く見ることが出来るだろう。