全12大会(24戦)のカレンダーが組まれている、2012年のWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)。今シーズンの特徴として真っ先に挙げられるのは初開催コースが多いこと、実に全体の3分の1にあたる4大会が該当する。
そして、初開催コースでのレース、その1戦目となるのがスロバキアリンクである。2009年にオープンした最新鋭の国際サーキットは全長5,922kmという大規模なもので、このコース延長はシリーズを通してマカオグランプリに次ぐロングコース、常設型サーキットとしては開幕戦の舞台となったモンツァを上回る最長の数値となる。
開幕から3大会、6戦を終えての現状は、まさにシボレーの強さが目立つ展開が続いている。これまで優勝を完全に独占、前戦のモロッコでは2レースともに表彰台を独占して、ドライバーズランキングでもシボレー・ワークスの3選手が再びトップ3に君臨する展開となった。
2012年シーズンを制するための大きな鍵となる初開催コース、ここでも果たしてシボレーが強さを見せ続けるのか。ここで注目すべきは、昨年の上海天馬戦のプレビューでもご紹介したように、初開催コースを得意としているシボレーのアラン・メニュ選手(写真)の戦いぶりであろう。
その上海天馬戦、やはりプレビューで記したデータが裏付けられ、メニュ選手は第1レースで初開催コースでの7勝目を飾った。そして、これに続いたのが第2レースを勝利した同じシボレーのイヴァン・ミューラー選手、こちらは初開催コース5勝目である。
初開催コースでの勝利数でこの二人に続いているのは、シボレーのロブ・ハフ選手とセアトのガブリエレ・タルクィーニ選手で、ともに3勝。このデータからして、メニュ選手とミューラー選手が、初開催コースを得意にしていることがお分かりいただけるだろう。
ディフェンディングチャンピオンのミューラー選手がランキングトップに君臨しているものの、しっかりそれを追っているのがメニュ選手。得点差は24点、得意の初開催コースで勝ち星を増やして悲願のチャンピオン獲得に向けた大きな一歩を踏み出すのかが、まずは注目のポイントとなる。
さらにYOKOHAMAトロフィーの白熱したランキング争いも見逃せない。
主役となりつつあるのは、若手のホープであるセアトのペペ・オリオラ選手とBMWのステファノ・ディアステ選手。2007年以来となるタイトルを目指すディアステ選手と、初タイトルに向けて加速するオリオラ選手、年の差にして20歳離れている両者の初コース攻略はどちらに軍配が上がるのだろうか。