開幕の舞台となるのは伝統あるモンツァ・サーキット。ここ数年はブラジルでの開幕が恒例となっていたが、2006年以来となるイタリアでのシーズン幕開けだ。
ここでモンツァでの過去の戦いを振り返ってみよう。2009年を除き毎年開催されてきた地だが、過去12戦の優勝をマシン別に見ると次のようになる。
●シボレー×3勝、セアト×4勝、BMW×3勝、アルファロメオ×2勝
このように、モンツァについては特定の車種が圧倒的に得意としている、という傾向は見られないことがお分かりいただけるであろう。
その上でモンツァの特徴と言えば、WTCC開催コースの中でも群を抜くハイスピードレイアウトであることに尽きる。
さらにデータを紐解いていくと、特に第1レースについては興味深い傾向が読み取れた。それは過去6回行われた決勝第1レースについて、そのうちの5回がポール・トゥ・ウィンで優勝を決していることである。
予選方式やウェイト制度の変更はあったものの、一貫して第1レースがローリングスタート方式であることはWTCCの変わらない特徴。
ゆえに予選でトップタイムをマークしたポテンシャルを余すところなく活かせるハイスピードコースにおいては、スタートと同時にフォーメーションから一気に爆発的な加速を見せてレースの主導権をガッチリと握っていくというのが、第1レースの戦い方になるということだろうか。
一方、スタンディング方式の第2レースでは、時に大逆転劇が生じる。
2005年と2011年は2番手グリッドから、2006年はポールポジションからスタートした選手が優勝を飾っているものの、2007年と2008年は7番手スタート、2010年は5番手スタートからの逆転で優勝者が表彰台の真ん中を手中におさめた。
そして、この逆転劇が演じれた3大会は、いずれもスタート直後の多重クラッシュといったWTCCならではともいえる混乱に乗じてのポジションアップではなく、順当なコース上でのハイスピード・バトルにおけるパッシング合戦が繰り広げられた結果なのだ。
今シーズンからは予選方式が変更され、予選結果に応じたポイントも付与される。
昨年までよりも予選の重要性ははるかに高まったわけだが、開幕戦ということで補正(カンペンセイト)ウェイト制度も適用が始まらないことから、まずはハイスピードのガチンコ勝負で今年のタイトル争いの行方を占ってみたいところだ。