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JGC Round 9
開催日
2012年10月14日
開催場所
イオックスアローザ (富山県)
天 候
晴れ
路 面
ドライ
参加台数
150台
(ヨコハマタイヤ装着車 50台)
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全日本ジムカーナ選手権は、泣いても笑ってもついに最後の戦いとなった。コースは富山県南砺市にあるイオックスアローザスキー場駐車場を利用したイオックスアローザスポーツランドだ。今シーズン唯一のフルパイロンコースとなる。
当日は天候も良く、気温もこの季節としては比較的暖かく気持ちのいい過ごしやすい気候となった。ただし、路面温度が30℃前後のため、ADVAN A050ユーザーは高温向けのG/Sコンパウンドと、低温向けのG/2Sコンパウンドのどちらをチョイスするか大いに悩むことにもなった。

このコースは毎年コースを半分に分け、前半は中速セクション、後半はテクニカルセクションという設定を採用している。それは今年も変わることがなかった。特にテクニカルセクションではゴール直前に360度ターンが連続して2カ所設定されていて、さらに最初のターンは路面を改修した新しい舗装路面との境目にパイロンが置かれていたため、旋回中にグリップが変化するという難易度が高い設定となっていた。

その罠にかかってしまったのが、PN3クラスでは「パイロンキング」として名高い岡野博史選手だ。第1ヒートでは、最初の360度ターンでまさかのパイロンタッチをしてしまう。
そういった難しい状況の中、トップタイムをマークしたのが、地元金沢からエントリーしてきた角岡隆志選手だ。ジムカーナ歴12年という角岡選手は、ミラージュでジムカーナを始め、その後MR-2、RX-7、そして現在のランサーエボリューション]と、FF、MR、FR、4WDとすべての駆動方式を乗り継いできている。

「どんなクルマでもちゃんと乗れるようになりたかったんです」と角岡選手。
「ジムカーナはワンミスが命取りになるじゃないですか。そういうシビアなところが面白いですね」と語っており、まさに今回はミスをしないドライビングを実現できたと言えるだろう。「4WDはセッティングも運転も大変です」と苦笑するが、PN3クラスとしては初、自身としては全日本通算3勝目となる優勝を獲得した。
「ラッキーだけです。ただ、コースのどこがグリップしてどこが滑りやすいかということは地元なので分かっていました。それが良かったのかもしれませんね」と自己分析する角岡選手。来季のさらなる活躍が期待される。

SA1クラスでは、最終戦で全日本初優勝を遂げた選手がいた。CR-Xで参戦している深谷洋選手だ。第1ヒートはすでにチャンピオンを決めている斉藤邦夫選手がトップタイムをマークするが、第2ヒートに入ると深谷選手が自己タイムを0.8秒縮めるベストタイムをマークし、斉藤選手を逆転。斉藤選手も再逆転を狙って激しくアタックするが、わずかにタイムダウンしてしまい、深谷選手が嬉しい全日本初優勝を遂げた。
「ジムカーナは10年ほど前に始めました」という深谷選手は、埼玉・群馬シリーズをはじめ、関東ミドルシリーズ、関東ジムカーナ選手権でチャンピオンを獲得してきた。全日本戦ではこれまで3位が最上位だったが「関東育ちなのでパイロンは得意です。今年は開幕戦からずっとサイドブレーキの調子が悪くてダメだったのですが、今回はようやく直ったこともあって、納得できる走りをすることができました」と、本来の実力をしっかりと発揮。2位には斉藤選手、3位には仙台から遠征してきている合田尚司選手が入賞し、ADVAN装着車が表彰台を独占した。

そして"チャンピオン強し"を印象付けたのが、SA2クラスですでにチャンピオンを決めている柴田優作選手だ。第1ヒートは最後の360度ターンでドライブシャフトを折ってしまいリタイアに。代わって昨年のチャンピオン森嶋昭時選手がトップタイムで折り返す。
ドライブシャフトを折ってしまった柴田選手にとって第2ヒートは万事休すかと思われたが、すぐさまドライブシャフトの交換作業を開始し、あっという間に修理を完了。無事に第2ヒートをスタートすることができた。ドライビングも見事だった。一発勝負ながらも見事にベストタイムをマーク。しっかり優勝をもぎ取り、今季8勝目を挙げた。森嶋選手は2位に入り、ヨコハマタイヤ装着車がワン・ツー・フィニッシュを決めることとなった。

一方、こちらもすでにチャンピオンを決めているDクラスの小林キュウテン選手は、PN3クラスの岡野選手と同じ場所でまさかのミスコース。
「パイロンの位置はイメージで覚えていくのですが、イメージが似ている箇所があって、完全に信じきってミスコースしてしまいました」と第1ヒートはノータイム。だが、やはりそこはチャンピオンだ。第2ヒートは「ロガーでデータをしっかり分析してセッティングを合わせ込めました」とベストタイムをマーク。こちらも8勝目を挙げ、クラスが成立した8戦すべてで優勝する快挙を達成した。

もう1クラス、ヨコハマタイヤユーザーがチャンピオンを決めているN1クラスでは、やはりチャンピオンの平田裕三選手が優勝を決めた。
「ライバルの村井勝選手の地元で勝ちたかったのですが、それが達成できたのでうれしいです。単なる消化試合にならなくて良かったです(笑)」と笑顔で語ってくれた。来季はクラス変更も考えているそうで、どんな走りを見せてくれるか楽しみだ。

小林辰朗選手のタイトル獲得がかかっていたN3クラスは波乱の展開だった。今回優勝すれば文句なしのチャンピオンとなる小林選手は、第1ヒートをトップタイムで折り返し、タイトルに王手をかける。ところが、第2ヒートはわずか0.006秒差という僅差で2位に甘んじ、タイトル獲得を逃してしまった。

常に激戦が展開されるSA3クラスでも、シリーズランキング2位の天満清選手の逆転チャンピオンに期待がかかる。天満選手は第1ヒートを期待どおりにトップで折り返したが、第2ヒートは惜しくも逆転され2位。「ポイントは同点3位ですが、優勝回数の差でシリーズでは4位に落ちてしまいました」という結果となった。
 
Driver's Voice
角岡隆志 選手
 【今回の成績 : PN3クラス 優勝】
自分はジムカーナを始めてから12年間、ずっとヨコハマタイヤを使ってきましたが、今年からPN3クラスに移籍したので、開幕戦からADVAN NEOVA AD08を使用しています。
想像以上に高いコーナリングスピードを発揮してくれるのと、今回は地元だったので、特にタイヤのラバーが路面に乗る2本目はコースのどこがグリップしてどこが滑りやすいかというデータを持っていたのも勝因のひとつだと思います。ランサーでこれまでの最上位は2位だったので、ようやく勝ててうれしいです。
深谷洋 選手
 【今回の成績 : SA1クラス 優勝】
タイヤはフロントにADVAN A050のG/Sコンパウンド、リヤにG/2Sコンパウンドを装着しました。普通は前後とも同じコンパウンドにすることが多いと思いますが、自分はリヤタイヤを積極的に動かして姿勢を変えていきたいタイプなので、今回の路面温度だとリヤにG/2Sコンパウンドの方が自分の走りに合っているかなと思いました。この判断が勝因のひとつだったと思います。特にパイロンコースはリヤにG/2Sコンパウンドを使うとコースとのマッチングが良いのです。
来年はまたこのクルマでSA1クラスに挑戦します。
柴田優作 選手
 【今回の成績 : SA2クラス 優勝】
今回は森嶋昭時選手が速かったですね。自分は1本目にドライブシャフトを折ってしまいましたが、マシントラブルでリタイアしたのは生まれて初めてです。ターン中にちょっとしたギャップがあるのですが、そこを乗り越える時に折れてしまいました。そのため2本目だけの一発勝負となりましたが、なんとか100点の走りはできたと思っています。
タイヤは4輪ともADVAN A050のG/Sコンパウンドをチョイスしました。いつものようにスタートからフィニッシュまでまったく変わらない性能を発揮してくれて、最後まで安定したグリップ力を感じることができました。森嶋選手も2位に入ったので、ヨコハマタイヤのワン・ツー・フィニッシュが達成できて良かったです。
小林キュウテン 選手
 【今回の成績 : Dクラス 優勝】
今回は1本目にミスコースしてしまいましたが、あれだけ綺麗に間違えたのはジムカーナを始めてから初めてです(笑)。
タイヤは路面のグリップが低く、エアも落としてウェットのようなセッティングで走りました。マシン側のセッティングもウェットセッティングだったのですが、走行中にも前後バランスが変わらないようにブレーキバンラサーを調整しながら走りました。タイヤの性能をきっちり発揮させるためには、そういうことも必要ということですね。
タイヤウォームはいつもなら100℃くらいまであたためるのですが、今回は115℃まであたためてスタートしました。ギリギリまであたためて、スイートスポットをうまく使うような走りを心がけたのも良かったのだと思います。
平田裕三 選手
 【今回の成績 : N1クラス 優勝】
今シーズンは中盤戦で自滅してしまったので厳しい戦いとなりましたが、タイトル争いをした村井勝選手の地元である、ここイオックスアローザで勝ちたかったので、それが達成できて良かったです。
タイヤはADVAN A050のG/Sコンパウンドを4輪に装着してスタートしました。土曜日の公開練習でG/2Sコンパウンドを使ったら、ちょっとリヤが引っかかる感じがしたのでG/Sコンパウンドを選んだのですが、今日もターンがあったので、その意味ではチョイスは成功だったと思います。
 
FEATURED DRIVER
■SA2クラス:松崎 充意 選手

今回の地元、金沢出身の松崎充意選手は、ジムカーナは24歳で始めたが、31歳の時に仕事の都合で活動を休止し、40歳で再びジムカーナの世界に復帰してきた現在49歳のベテランスラローマーだ。また、今回PN3クラスで優勝を飾った角岡選手の師匠的存在でもある。

「31歳の時は、本当はジムカーナを休止したくなかったんですが、どうしても仕事の都合で休まざるを得ませんでした。ただ、休む時には、必ずいつか復活してやるぞと誓ったんです。それで、40歳になった時にある程度仕事も一段落したので、またジムカーナに復帰しました」と語る松崎選手。

本当はダートトライアルもやってみたかったそうだが、資金的な問題もあってジムカーナに参加したという。

「当時はEP71スターレットでジムカーナを始めました。2年目には地区戦で優勝したりしたんですよ(笑)。ジムカーナは性別も関係ないですし、社会的地位も関係なく勝負ができるじゃないですか。単純に努力した選手が勝つ。それが面白いですし魅力ですね。1トン以上もあるクルマを、コースレイアウトに合わせて自在に振り回すのって、楽しくないですか?」

ジムカーナはレースと違って毎戦異なるコースを攻めてタイムを出さなければならない。それがまた魅力だともいう松崎選手。

「今年はトラブルもあって成績が振るわなかったですが、シーズンオフにはもう一度マシンセッティングとドライビングを見直して、来年ももう一度チャレンジしたいですね。これからも頑張りますよ!」

最後に心強い一言を聞かせてくれた。
 
TECHNICAL INFORMATION
イオックスアローザというスキー場の駐車場を利用した今回のコースは、他のコースと最も異なるところがコンクリート舗装という点だろう。本来ならば、路面温度が低くなるこの時期であればADVAN A050のG/2Sコンパウンドをチョイスするのが一般的だ。
だが、今回はG/2Sが最も性能を発揮する温度域よりも高い路面温度となってしまった。そのため、ほぼすべての選手がG/Sコンパウンドをチョイスすることとなった。

G/Sコンパウンドは非常にワイドレンジな温度域に対応できる能力を持っているだけに、その性能が今回のヨコハマタイヤ勢の活躍を支えていたのは間違いないところだ。惜しくも0.006秒差でタイトルを逃したN3クラスのような例もあるが、各クラスでしっかりとタイヤの性能を発揮できたのは、幅広い条件に対応できるADVAN A050のG/Sコンパウンドのポテンシャルによるところも大きい。
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