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FUJI SPRINT CUP =GT300=
開催日
2012年11月16日-18日
開催場所
富士スピードウェイ (静岡県)
天候/路面
土曜日 : 雨/ウェット
日曜日 : 晴れ/ドライ
決勝周回数
Race1 : 22周
Race2 : 22周
(1Lap = 4,563m)
参加台数
24台
(ヨコハマタイヤ装着車 20台)
>> Report (レポート)  >> Result (競技結果)  >> Detail (カテゴリー紹介)
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今回は特別戦ということもあり、シリーズ戦とは異なる性能調整が実施されており、GT300ではシーズン中に猛威を振るったポルシェ911GT3R、そしてアストン・マーティンV12ヴァンテージGT3には50kgの追加が、そしてJAF GT車両の多くにリストリクター径の拡大が許されている。
そのため、いかに高速コースで知られる富士スピードウェイであろうと、今年開催されたシリーズ2戦とは異なる展開となることが大いに予想された。


しかしながら、予選ではやはりと言うべきか、意外にもと言うべきか上位のほとんどがFIA GT3車両で占められることに。
2戦ともポールポジションこそ「HANKOOK PORSCHE」に譲ったものの、2番手は「マネパ ランボルギーニGT3」の青木孝行選手と織戸学選手が、そして4番手は「ENDLESS TAISAN 911」の横溝直輝選手と峰尾恭輔選手が2戦ともに獲得。5番手には第1レースで「GSR初音ミクBMW」の片岡龍也選手、そして第2レースで「S Road NDDP GT-R」に関口雄飛選手がつけることになっていた。


予選が行われた金曜日は天候にも、アタックの条件にも恵まれたものの、土曜日になると天候は一転。あいにくの雨模様となってしまい、しかも低い気温の中で第1レースが行われることとなった。気温、路面温度とも10度はもちろんのこと、今年最低である。

そんな中、オープニングラップのうちにひとつポジションを上げたのは、「ENDLESS TAISAN 911」の横溝選手で3番手に。
逆に「マネパ ランボルギーニGT3」の青木選手はペースを上げられず、大きく順位を落としていた。だが、横溝選手もコースに踏み留まるのがやっとで、6周目から順位を落とし続けたのに対し、ひとり気を吐いたのが「S Road NDDP GT-R」の千代勝正選手だった。オープニングラップのプリウスコーナーで追突を食らってコースアウトするも、雨を得意とするGT-Rの特性を生かし、8番手から順位を上げ続ける。そして、7周目には3番手に浮上する。

ところが、その千代選手に迫ってきたのが「ARTA Garaiya」だ。
先に触れたリストリクター径の拡大を活かし、ストレートでも遜色のない速さを見せ、コーナーでは千代選手を攻め続ける。対してABSやトラクションコントロールの威力で、必死にガードを固めていたものの、最終ラップの最終コーナーで姿勢が乱れてしまい、そこでインを刺されて逆転を許すこととなった。
続く5位は「GSR初音ミクBMW」の片岡選手が、6位は「GREEN TEC & LEON SLS」の黒澤治樹選手が獲得した。


第2レースの行われる日曜日は、すっかり天気も回復して青空も広がるように。
温度は気温、路面温度ともに12度と低めながら、前日の雨で濡れた路面も決勝レースの頃には完全にドライコンディションとなっていた。

誰よりも鋭いスタートを切ったのが「S Road NDDP GT-R」の関口選手で1コーナーにイン側からアプローチ。織戸選手の「マネパ ランボルギーニGT3」と「MUGEN CR-Z GT」と3ワイドになった直後に接触し、揃って順位を落としたばかりか、背後にいた「ENDLESS TAISAN 911」の峰尾選手、そして「エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電」の加藤寛規選手も接触。
この2台は何とかコースに踏み留まったが、6番手スタートだった「triple a vantage GT3」の吉本大樹選手を間に挟んだばかりか、「ENDLESS TAISAN 911」の左リヤには大きなダメージが。ADVANコーナーで吉本選手の先行を許し、なおかつ修復を命じるオレンジボール旗が出されて万事休す。

一時は「HANKOOK PORSCHE」が逃げのムード濃厚だったが、4周目を境に吉本選手のペースが上回るようになり、じわじわと差を縮めていく。
そして8周目のADVANコーナーでインを刺し、吉本選手がついにトップに浮上。9周目の100Rでは加藤選手も3番手に。
一方、ペースの上がらない「HANNKOOK PORSCHE」が3番手争いの先頭を走るがゆえに後続が追いついて、一時は7台が縦列渋滞。いち早く抜けてきたのが「GSR初音ミクBMW」の谷口信輝選手で、続いたのが「GREEN TEC & LEON SLS」の竹内浩典選手。だが、15周目に竹内選手は追い上げてきた織戸選手にかわされていた。

終盤になると吉本選手と加藤選手による、かつて紫電のチームメイト同士だったふたりが激しいバトルを繰り広げ、観客の視線を釘づけに。ところが、その最中、3番手を走っていた谷口選手が突然ピットイン。左リヤのハブが損傷し、無念のリタイアを喫してしまう。
トップ争いは最終ラップまで続き、息もつかせぬ攻防となったものの、辛くも吉本選手が逃げ切りを果たして優勝。所属チームのA speedが今年限りの解散を発表しているため、最後のレースで有終の美を飾ることとなった。

そして加藤選手の「エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電」もまた、これがラストラン。加藤選手は「2位だけど、悔しさを上回る嬉しさ」を噛み締めていた。
3位は「マネパ ランボルギーニGT3」の織戸選手で、4位は「GREEN TEC & LEON SLS」の竹内選手。そして、最終ラップに「apr HASEPRO PRIUS GT」の新田守男選手が5位に浮上。スタートの出遅れで17番手まで落ちながら、しっかり挽回を果たすことになった。
 
Driver's Voice
千代勝正 選手
 【今回の成績 : 第1レース 4位】
雨で自信を持っていたんですけれど、1周目に後ろから当てられる感じで、スピンしちゃったんですよ、プリウスコーナーで。それで出遅れたのが痛かったですね。
その後のペースが良くて、すぐ3番手に上がったのですが、後半になってペースが上がらなくなってきて、気づいたらガライヤが追いついてきて。ラスト2周、きつかったんで、何とか抑えたかったんですが、最終ラップの最終コーナー閉めたつもりが、フロントが滑っちゃって空く形になっちゃったんです。そこに入られてしまいました。
悔しいけれど、いい勉強になりました。来年はもっと強くなって頑張ります。
吉本大樹 選手
 【今回の成績 : 第2レース 優勝】
アストン・マーティンは1速がロングなので、スタートで順位を落としてしまうだろうなと想像していて、実際ポジションを落としたんですけれど、前の方でクラッシュがあって。むしろスタートが決まっていたら、それに巻き込まれた可能性もあるので、運があったのかなと。
その後は早々に911(「ENDLESS TAISAN 911」)を抜いて、あとは(影山)正美さんとの戦いだったんですが、正美さんがすごく苦しそうだったから、前に出ることができました。その後も紫電がラストレースで速くて、たぶん加藤(寛規)さんもずっとプッシュしていただろうし、僕も予選のアタックぐらいの勢いでずっとプッシュし続けたので、周回数の割にはすごく疲れたレースでした。
もし、スタートで加藤さんが前に出ていれば、なかなか簡単には出られなかったでしょうから、スタートであのポジションにいたことがいちばんの勝因かと思います。
お世話になったA speedというチームが解散してしまうのは残念ですが、最後にこうやって最高の結果を出してレースを終えられたので、本当に良かったと思います。
加藤寛規 選手
 【今回の成績 : 第2レース 2位】
スタートは普通にうまくいっただけでしたが、前で混乱があって、僕も巻き込まれかけたんですが、うまく抜けられたんで、そこからは普通のレースを(笑)。ただ、やっぱり速いクルマが前にいなくなっちゃったので助かっただけで、そういう悔しさもあるんですけれど、紫電最後のレースということで、やっぱり嬉しいです。
悔しさより嬉しさの方が大きいです、今日ばかりは。前にいるのがアストン・マーティンとかポルシェじゃ、そりゃ抜けないですよ……。
織戸学 選手
 【今回の成績 : 第2レース 3位】
けっこういいスタートだったんだけれど、ギアがロングで加速が今イチなので、GT-R(「S Road NDDP GT-R」)とCR-Z(「MUGEN CR-Z GT」)が来て、3ワイドで1コーナーに入ろうとした時に寄って来られて、もうどうしようもなくなっちゃった。あそこで寄せてくる必要ないのになぁ。けっこう悔しい。
でも、その後のバトルは楽しめたし、最後のレースで表彰台乗れたので良かった。でも、万年3位だ!
 
TOPICS
■激闘を重ねた7年間に、ついに終止符が
 ラストランの紫電も2位で、有終の美を飾る


有終の美を飾ったのは、チーム解散の「triple a vantage GT3」をドライブした吉本大樹選手だけでなく、Cars Tokai Dream28の走らせる「エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電」もまたそうだった。
レギュレーションの変更により、紫電やガライヤ、ヴィーマックのような少数生産のJAF GT車両が来年から走れなくなるためだ。

日曜日のセレモニーではそういった車両をクローズアップする粋な計らいもあったが、ドライバーのみならずスタッフも含め、神妙な面持ちでいたのが印象的だった。

第1レースを走った高橋一穂選手(写真・右)こそ、雨の中、足を取られて満足な結果を残すことができなかったが、正真正銘最後となる第2レースで加藤寛規選手(写真・左)が激走。2位という結果を残すことになった。

「今回、ラストランということで、特別な思いもしながら走っていたわけですけど、まぁ良かったですよ。終わり良ければ、すべて良し。7年間、ホントにクルマを酷使して、ハンデもらっても、それでも頑張って速くして……。最後はうまく表彰台で終われたんで、今はホッとしています」と加藤選手が言えば、高橋選手は「有終の美を飾れて、本当に良かったです」と。

最後まで無冠で終わった紫電ながら、記録以上に記憶に残る名車だったのは間違いない。
 
ENGINEER VOICE
GT500の予選では「D'station ADVAN GT-R」がGT-R勢のトップでしたね。今回は予選用にスーパーソフトを用意して、安田裕信選手は好結果がおさめられたのですが、荒聖治選手は前に遅いクルマがいて、それとの間隔をはかりながらの走りで、タイヤを十分に温めきれなかったようです。それで少しロスして14番手になってしまいました。クルマのバランスやタイヤのパフォーマンスは問題なかっただけに、残念な結果でしたね。

2レース目の予選を走った、ビヨン・ビルドハイム選手とマリーノ・フランキッティ選手に関しては、最初の予選を走ったふたりと同じタイヤで走ったのですが、ビヨン選手については、安田選手とほぼ同等のタイムを出す事ができました。マリーノ選手に関しては、初めてのSUPER GTですし、初めての富士でもありますから結果には納得しています。

第1レースの決勝は雨に見舞われ、持ち込んだスーパーソフトとソフトの2種の中から、スーパーソフトを使ったのですが、低い水温にうまく対応できませんでした。雨が激しくレースも途中中断となったのですが、課題が残るレースとなりました。

第2レースはドライとなりました。路面温度が想定よりも低くなってしまったのですが、「D'station ADVAN GT-R」がバトルを繰り返して一時は表彰台も見えるところまで行く事で、タイヤのパフォーマンスは示せたと思っています。
「Weds Sport ADVAN SC430」に関しては、そもそも厳しいコンディションであった事と、ドライバーも初めてということで、仕方ない結果だったと思います。タイヤは2台とも持ってきたものの、ソフト目のものを使いました。

今年は前半なかなか開発に結果が伴わなかったのですが、後半徐々に結果に繋がってきたと思っています。ただ今回は、低温ということで厳しいレースになってしまったのですが、この結果も、今後の開発につなげていこうと思っています。また、今シーズンは、3位が最上位でしたが、来シーズンは表彰台の真ん中に、しかも複数回! そうできるよう開発を推進していきます。

GT300では、今回は予選で使ったタイヤをレースで使う必要がないことで、他メーカーさんはおそらく予選用のタイヤを用意されたところもあったと思います。我々は通常ミディアムとソフトの2種類を、GT300に関しては用意していました。ですから予選結果に関しては、想定範囲内でした。
雨の第1レースには、基本的にミディアムとソフトの2種類を用意して、大半のチームが深溝のソフトで臨んだんですが、それでも気温、路温が10度前後だった為、タイヤの発動が遅れてしまいました。そんな中「S Road NDDP GT-R」が、あと一歩のところで表彰台を逃してしまったのは惜しかったですね。

第2レースは66号車(「triple a vantage GT3」)がいい走りをして優勝してくれました。ヨコハマタイヤユーザーの上位陣がスタートで絡んでしまったのが痛かったのですが、それでも表彰台独占できた、といった結果には満足しています。特に2号車(「エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電」)が最後のレースで、加藤(寛規)選手が頑張って2位という結果を得られた事はとても良かったと思います。
タイヤは「ENDLESS TAISAN 911」と「triple a vantage GT3」と「GREEN TEC & LEON SLS」がミディアムで、それ以外はソフトを選んでいます。
 
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