2006年の十勝24時間レースで初めてスーパー耐久にインテグラで参戦、翌年からはランサー・エボリューションをドライブする伊藤俊哉選手(写真・中)。モータースポーツは19歳で始めて今年でちょうど40年になるという、経験豊富なジェントルマン・ドライバーだ。
「スーパー耐久はやはりスプリントレースとは違って耐久レースなので、車を作る人からパートナーとなるドライバー全員までがひとつにまとまらないと勝てないですね。ウチはRSオガワとしてはあくまでも20号車がエースカーなので、30号車は僕以外のドライバーをなかなか固定できません。この辺のスキルを統一しないと、車のセッティングも決まらないし、思った成績につなげられないというジレンマがありますね。
でも、大勢の人が関わるので、楽しく出来るのが耐久レース。勝ったときの喜びは大きいですし、レースをしているという実感がより強いようにも思います」
若いころにラリーを始め、その後はサーキットに転身してクラシックカー・レースやFJなどを経験してきた伊藤選手。着実なステップアップの先には、大きな目標が待っているという。
「僕の目標はル・マン24時間レースです。
これは夢ですが、その前に今年はニュルブルクリンク24時間に出場しました。さらにVLNシリーズにも何度か出場していて、2週間前の4時間耐久では24歳の若手と組んで半分ずつを乗って、クラス優勝という結果を残せました」
若手ドライバーに負けないエネルギッシュな走りを見せてくれる伊藤選手。
本業が産婦人科のお医者さんであることから「伊藤先生」と慕われているが、モータースポーツは自らにとってライフワークであると語る。
「僕は大学ではラグビー部と自動車部を掛け持ちしながら、テニスもやっていました。長く続けられるスポーツは何だろうと考えたときに、モータースポーツをライフワークとして選びました。来年は還暦を迎えますが、今でも若い人たちと一緒に戦っていられるので、その時の選択は間違っていなかったと思います。まだこれからも10年以上は出来るかな、と思っています(笑)
僕は産婦人科をやっていて、今回もレースを終えて帰ったら月曜の朝から水曜の夜9時まで当直を含めて連続で勤務する“耐久”が待っています。体力的には大変ですが、病院に行くと気持ちよく仕事ができる。モータースポーツという趣味をやっているからこそ、仕事も一層頑張ろうという思いになりますよね」