富士スピードウェイは1,475mという世界的にも屈指のストレートを有する高速型のサーキットコースです。ここではストレートのタイムと最高速を確保するために、他のコースと比べて低いダウンフォースセッティングがマシンに施されます。そのためタイヤについては、低速のテクニカルセクションとなるセクター3でのグリップ確保と、100Rに代表される高速コーナーでの高いコーナーリング性能を両立させることが開発のポイントとなります。さらにトップスピードは280km/hにも達しますので、十分な高速耐久性を確保することは、安全なレースを足元で支えるタイヤにとって必要とされる部分ですね。
富士でのSUPER GTは5月の大型連休以来となりますが、この間に実戦やタイヤテストを通じて、よりハイグリップなコンパウンドと高いコーナーリング性能を有する構造へと、タイヤは大きく進化しています。
少し具体的にお話しすると、ダウンフォースの低いセッティングになっているマシンは、特にセクター3のテクニカルセクションで如何にグリップを確保するかという課題が生じます。そこでタイヤの働きも重要ですが、チームにとっては足回りのセットアップなどでメカニカルグリップをどれだけ稼げるかも勝敗を左右する大きな要素になるでしょう。
その上で、周回を重ねてタイヤが摩耗してグリップダウンしてしまうと簡単にポジションも落としてしまうコースなので、グリップの持続性がタイヤにとっては重要だと考えています。
チームとしてはスティントの後半まで安定したラップタイムを刻める決勝セッティングを見いだすこと、ドライバーはタイヤマネージメント能力も高いものが要求されますね。
ところで長い歴史を有する富士ですが、2005年の大改修を境に現在の「新富士」と、それまでの「旧富士」では、タイヤ開発のポイントも変わってきています。
「旧富士」では優れた高速耐久性と、グリップ性能の持続性が開発のポイントでした。特に最終コーナーを如何にアクセルを踏み続けてストレートを立ち上がってこられるか、という点がレースにおいてはポジションアップの鍵になっていましたね。
しかし現在の「新富士」では、こうした要素に低速テクニカルセクションでのグリップ確保という新たな課題が加わっており、タイヤとしてはより総合的な性能を必要とされるコースに変化してきているという印象がありますね。
■第6戦(富士)・使用タイヤサイズ
[GT500] Fr) 330/710R18 Rr) 330/710R17
[GT300] 280/710R18、280/650R18、280/680R18、330/710R18