第4大会(第7&8戦)のベルギーから続いていた隔週開催スケジュールも、ようやく今週末のチェコ・ソルダー戦で一区切りを迎えるWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)。
このチェコ戦を終えるとWTCCは恒例の夏休みに入るため、8月の開催は一戦も無く次は9月初旬のドイツ・オッシャーズレーベン戦というカレンダーである。
前戦イギリス・ブランズハッチでは、優勝の最有力候補だったシボレーのアラン・メニュ選手が2戦ともにノーポイントというまさかの結果に終わってしまった。この結果、チャンピオン争いでもトム・コロネル選手(セアト)とアウグスト・ファルファス選手(BMW)に抜かれてランキング8番手に後退を喫してしまった。
しかし、メニュ選手こそ結果を残せなかったものの、シボレー勢は第1レースでワン・ツー・フィニッシュを飾るなど得意とするブランズハッチで好走を見せた。これによってマニュファクチャラー部門のランキングでは1位を守り、2位のセアト・カスタマーズ・テクノロジーとの点差を"5"から"17"へと拡げることに成功している。
さて、今週末の戦いの舞台となるブルノであるが、ここはETCC(ヨーロッパ・ツーリングカー選手権)の時代からBMWが得意とすることで知られるコース。このことは昨年のブルノ戦プレビューでも記しているが、昨年の大会も2レースともにBMW勢が優勝を飾って強さを見せている。
もっとも、今季はマニュファクチャラー参戦体制を縮小しているBMW、実はアンディ・プリオール選手/アウグスト・ファルファス選手ともにWTCCのブルノでは勝ち星が無いという意外な事実にも突き当たる。しかしプリオール選手についてはETCCの最終年度となった2004年シーズン、ここブルノでも1勝を飾ってシリーズチャンピオン獲得をなし遂げているだけに、6年ぶりの優勝に期待が高まるところだ。
また、ファルファス選手は残念ながら今季未勝利でここまで来ているが、ブルノはWTCCとして2006年から昨年まで8戦が行われているうち、実に6戦でBMWが優勝を飾っている相性の良いコース。
ファルファス選手自身にとってはBMW移籍初年度となる2007年の第2レースで獲得した2位がブルノでの自己最上位となっているが、悲願の優勝に向けて熱い走りを見せてくれることは間違いないだろう。
選手権争い同様に、シーズン中盤に入って面白い戦いを見せてくれているYOKOHAMAインディペンデントトロフィー勢。
イギリスではコリン・タルキントン選手(BMW)が2レース続けて総合の表彰台に立つという快挙をなし遂げ、ランキング争いでも一気にポジションをジャンプアップさせて2番手に躍進した。
トップを守るのはセルジオ・ヘルナンデス選手(BMW)だが、タルキントン選手との得点差は"12"にまで縮まり、戦いはますますヒートアップの様相を色濃くしている。
ヘルナンデス選手はBMW Team Italy-Spainから参戦していた昨年、ブルノ・第2レースで優勝を飾っており、二年連続で表彰台の真ん中に立てるのかが注目点。対するタルキントン選手はブランズハッチで見せた巧みなレース運びを、BMWと相性の良いブルノでも実践出来るのかが見どころとなる。