2010年のWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)は、前戦の第4大会・ベルギーから第7大会・チェコまで2週に1大会を開催するタイトスケジュールに突入した。
ベルギーはWTCC初開催となるゾルダー・サーキットが舞台となったが、続くポルトガル大会もコースは初めてのサーキットが使われる。ポルトガルでは2007年から4年連続の開催となるが、2007年と2009年はポルトでの市街地レース、2008年はエストリル・サーキットでのレースが行われてきた。
今年の舞台となるアウトドモーロ・インテルナシオナル・ド・アルガルヴェは2008年にオープンした新しいサーキットだが、既にスーパーバイク世界選手権や、FIA
GT選手権などのトップレースが4輪/2輪ともに開催されている。
およそ2億ユーロ(2008年10月のレートで約250億円)をかけて造られた施設は、収容観客数が約10万人。最高級ホテルなども併設されており、世界選手権に相応しいサーキットである。
つまり、ベルギーのゾルダーに続いて2大会連続で初開催コースとなるわけだが、今回はBMW
Team RBMの二人に注目してみたい。
まずは前戦・ベルギーの第2レース(第8戦)で今季3勝目を飾り、選手権ランキングでは3位につけるアンディ・プリオール選手。WTCCの発足初年度から3年連続でチャンピオンに輝いた実績を誇るが、ここ2シーズンは栄冠から遠ざかってしまっている。
それだけに今季こそはタイトル奪還が望まれるところ。ポルトガル戦に向けては次のようにコメントしている。
「これまでに2回のテストをポルティマオ(アルガルヴェ・サーキット)で行っているが、雨に見舞われたりもしてデータを完璧に採れてはいません。
コースは登りの低速コーナーが多く、これはBMWの特性には合わないのです。しかし、もちろんチャンピオン獲得に向けて、良い仕事をしていくつもりです」
思った以上に慎重なコメントであるが、冷静な分析はプリオール選手らしいとも言えるだろう。
一方のアウグスト・ファルファス選手は、プリオール選手とは対照的に彼らしいコメントを出している。
「ポルトガルは僕の出身地であるブラジルと同じポルトガル語を話すし、太陽もブラジルと同じように燦々と照りつけているから、僕にとっては故郷のようにリラックス出来る場所なんだ。
ポルティマオ(アルガルヴェ・サーキット)のコースは、ツーリングカーには最適だと思う。そして僕は2回の決勝で素晴らしいレースを素晴らしい戦いをすることが出来ると確信しているよ。
コースは起伏があってパッシングの機会も多いだろうけれど、BMWにとって先行車を追い越すことは決して簡単ではないだろう。でも僕はタイトル争いのポジションを上げるために、出来るだけ多くのポイントを獲得することを目指していくよ」
イギリス出身のプリオール選手と、ブラジル出身のファルファス選手。
同じBMWを駆る選手ながら、このコメントを見てもおわかりいただける様にそれぞれの個性はその走りにも反映されている。
こうした世界トップレベルの個性的なドライバーが演じるファイティングバトル、それがWTCCの大いなる魅力であると言えるのではないだろうか。
さて、補正(カンペンセイト)ウェイトについてポルトガル戦は下表の通りとなる。
前回が今季初登場となったガソリンエンジンを搭載するセアト・レオンTFSIを除き、全ての車種がベルギーと同じ重さに設定された。