2010年のWTCCは、第2大会(第3戦&第4戦)としてカレンダーに組み込まれていたメキシコ戦が開催中止となってしまった。第3大会の開催を控えた現在(4月23日)の時点でもメキシコの代替大会については特にアナウンスは無く、このまま全11大会で2010年シーズンが戦われる可能性も高い。
さて次戦の舞台は、1976年のWRC(FIA世界ラリー選手権)開催以来、昨年33年ぶりの世界選手権モータースポーツイベントとしてWTCCが初開催されたモロッコ。
昨年のマラケシュを舞台とした市街地レースは大いに白熱した展開となり、第1レースではロブ・ハフ選手がシボレー・クルーズでの初優勝を飾り、第2レースでも同じくクルーズを駆るニコラ・ラリーニ選手が自身のWTCC初優勝を勝ち取った。
このように昨年はシボレー勢が2レースをともに制したモロッコだが、今年もやはり開幕戦・ブラジルの第1レースでトップ3を独占したシボレー勢の活躍が期待されることとなる。
特に昨年の第2レースで最後までラリーニ選手を猛追したのは、当時セアトのエースドライバーだったイヴァン・ミューラー選手。シボレーへの移籍を果たした今季、開幕戦で優勝して実力を遺憾なく見せつけたミューラー選手、モロッコが2勝目を飾る舞台となる可能性は充分に高い。
また、アラン・メニュ選手はブラジル戦終了後にイギリスでテスト走行を行った。ここではウェットコンディションのマシンセットアップを詰めており、仮にモロッコが生憎の空模様となってしまった場合には強みとなるだろう。
一方、ブラジルの第2レースでワン・ツー・フィニッシュを飾ったセアト勢。今季はメーカーとしてのマニュファクチャラー登録はなされていないが、ディーゼルエンジン車はインディペンデントトロフィーの対象外とする規定が設けられたことにより、選手権をシボレーやBMWと競い合うこととなっている。
補正ウェイトが適用されない開幕戦、その第2大会でワン・ツー・フィニッシュという戦績を残したことは、やはりセアトのターボディーゼル車が今季も高いパフォーマンスを持続していることの証明であると言えるだろう。
ブラジルでは思うようなレースを展開出来なかったBMW勢。今季はアウグスト・ファルファス選手とアンディ・プリオール選手の2人にマニュファクチャラー登録での参戦を絞っているが、ともに開幕戦では表彰台に届かない結果となってしまった。
開幕戦終了後に行われた欧州メディアの取材に対して、チームマネージャーのバート・マンペイ氏は「シーズンのスタートは厳しいものとなったが、精査して戦いを続けていく」と語っており、長いインターバルの間にマシンのブラッシュアップなどが進められていることに期待したい。
選手権シリーズに引けをとらない激戦が繰り広げられているYOKOHAMAインディペンデントトロフィー。
ここに新たにスイスを本拠とするマウラー・モータースポーツから、3台のシボレー・ラセッティが参戦してくることが発表された。ドライバー陣はラルビ・タドラオイ(33歳)/ユーゼフ・エル-マニッシ(34歳)/イスマイル・スバイ(29歳)の3選手で、ともに地元・モロッコの出身。モロッコ人ドライバーと言えば昨年のモロッコ戦でデビューを飾ったメルディ・ベナニ選手がWTCCの先輩にあたるが、デビュー戦となった第1レースでYOKOHAMAインディペンデントトロフィーを制する強さを見せたことは記憶に新しい。
今年もモロッコで地元勢が活躍を見せてくれるか、大いに注目したい存在である。