関東以西では次々に桜の開花宣言も出される中、4月4日(日)に横浜市のパシフィコ横浜において「2010年・TEAM
SHOW 新体制発表会」が開催されました。
TEAM SHOWとは俳優・哀川翔さんが率いるチーム。2008年に公開された映画「SS
-エス・エス-」への出演をきっかけにラリーへの興味を深めた哀川さんは、TEAM
SHOWを結成。
哀川さん自らライセンスを取得して同年10月には全日本ラリー選手権に参戦。さらに11月には北海道で開催されたWRC(FIA世界ラリー選手権)の一戦であるRally
JAPANへのチャレンジを実現、有力選手もリタイアを余儀なくされる過酷な戦いを走りきって、クラス優勝を飾りました。
2009年、活躍の舞台は海を越えてアメリカへ。コロラド州で開催される伝統のヒルクライムイベント「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」への参戦を果たしますが、この時にコ・ドライバー役をつとめたのがADVAN-PIAA
Rally Teamの奴田原文雄選手。
哀川さんが初めて全日本ラリーに参戦した時から親交を深めてきた奴田原選手は、チームのドライビングコーチとして哀川さんのドライビングスキルアップを支えてきたのです。そしてパイクスでは哀川さんが駆るマシンのナビシートに乗り込み、素晴らしいコンビネーションでクラス5位完走という結果を残しました。
【LINK >> 奴田原文雄のアジア・モータースポーツ漫遊記 =番外編・パイクスピーク参戦記=】
全国放送のテレビ番組でもラリーへの想いを熱く語り、今や俳優とラリースト、二つの顔を持つに至っている哀川翔さん。
2010年、TEAM SHOWは再び北海道で開催されるWRC「Rally JAPAN」を頂点に、APRC(FIAアジア・パシフィック・ラリー選手権)「Rally
Hokkaido」、さらに全日本ラリー選手権に参戦することが発表されました。
中でも「Rally JAPAN」では、哀川翔さんと奴田原文雄選手がそれぞれTEAM SHOWとして参戦する2台体制を構築。マシンは日本初登場となるフォード・フィエスタR2仕様となり、大いに注目を集める存在になりそうです。
発表会では、まず哀川さんが今季への意気込みについて、
「ラリーを始めて今年で3年目に入りますが、一戦ごとに土を踏みしめて走っている、という感触が自分の中で感じられるようになってきています。
奴田原さん曰く『そろそろクラッシュかな』ということですが(笑)、自分としては目標をあくまでも"完走"というところに置いています。今年も一戦一戦を頑張っていきたい、そう思っています。」
このように力強く語ってくれました。
そんな哀川さんの走りをコーチ役として見守ってきた奴田原選手は、
「ドライビングを見ている限りは、もう3年とか4年ラリーをやって来ている感じです。改めて今の時点でラリーを始めて丸二年しか経っていないと聞いて驚きました。
哀川さんはとにかくドライビングテクニックの吸収が早い。特にラリーは、サーキットレースと違って練習の場が非常に少ないのです。だから実戦が練習を兼ねているような部分がある。とにかく走りきって自らのスキルを上げていかなければならないのです。その中で完走という目標をしっかり掲げられていますが、実は完走するというのがなかなか難しい。その点、確実に一戦一戦を走りきってスキルアップを果たしていることは凄いと思います。」
哀川さんの2年間での成長ぶりをこのように評しました。
ところで「Rally JAPAN」ではチームメイトであると同時に、同じクラスを戦う"ライバル同士"にもなる哀川さんと奴田原選手。もしも、二人でトップ争いをする展開になったときは、チームオーダーが出されたりするのでしょうか?
この質問にはお二人で顔を見合わせて苦笑いしながら「それは・・・、チームの方針に従うということで(笑)」と回答。
今回の挑戦で使うフォード・フィエスタはFF(前輪駆動)車なのですが、長く4WDでラリーを続けてきた奴田原選手は
「私がFF車でラリーに出るのは17年ぶりのこと。翔さんに負けちゃうかもしれません。」
というコメント。実に久しぶりとなる奴田原選手の実戦における"FFドライビング"も必見です。
最後に哀川さんは、ラリーというモータースポーツの魅力について、次のように熱く語られました。
「ラリーはスタートしてからゴールにたどり着くまで、そこには自分がこれまで感じることの無かった快感があったり、自己との戦いというレベルでのスポーツがラリーです。
どうしてここで(アクセルを)踏めないんだろう、というような自分との葛藤があり、これが次のラリーへと進んでいく原動力にもなっているような気がします。
5戦、6戦とやっているうちに『表彰台に立ちたい!』という夢も見るようになり、これを自分の新たな目標値として『60歳になった時に表彰台に立つ』という夢を描くことが出来るようになりました。
これは(ラリーという)良いスポーツに出会ったな、そんな感じが今はしています。」
ADVAN Motorsports Websiteでは、今後もお二人のチャレンジをレポートして参りますので、どうぞご期待ください。