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2014年、国内でもっとも人気の高いモータースポーツカテゴリーであるSUPER GTは、大きな進化を遂げた。GT500に新しい車両規定が導入され、ニューモデルの登場も相まって戦いはますますハイレベルなものにステップアップ。GT300もバラエティ豊かなラインナップ、そして個性的なドライバーたちのバトルは、ますます魅力的なものになっていく。
既に開幕した今季のSUPER GT、その展望と魅力に迫る。
GT500とGT300、ふたつのクラスで戦われているSUPER GT。パワーや速さに勝るGT500は自動車メーカー同士が威信をかけて激戦を演じているが、2014年はGT500の車両規定が大幅に改定され、すべてニューマシンに改められた。

ドイツツーリングカー選手権(DTM)と車両規定を統一し、共通のモノコック、そしてカーボンブレーキなどパーツの多くが共有され、エンジンは排気量2,000ccの直列4気筒/直噴ターボが用いられることになった。」

ただし、レクサスとニッサンは駆動方式をFR(フロントエンジン・リアドライブ)としたのに対し、ホンダのみミッドシップエンジンを選び、なおかつレーシングハイブリッドを備えることに。最低重量にハンデを背負うも、バランスに優れるのはミッドシップの特徴でもある。

開幕戦には、レクサスRC Fが6台、ニッサンGT-Rが4台、ホンダNSXコンセプトGTが5台、合わせて15台が、GT500のスターティンググリッドに並んだ。

SUPER GTはタイヤがワンメイクではなく、メーカー同士の対決もある、近頃では希有なシリーズである。また、レースの結果に応じ、重量を加えていくウェイトハンデ制があるのが、SUPER GTの特徴でもあり、特定の車両、特定のチームだけが勝ち続けることはない。それがこのシリーズの魅力であり、高い人気を誇る最大の理由ともいえるだろう。
なお、GT500は今年からウエイトが50kgを超えると、燃料リストリクターによる調整に置き換えられることとなった。

ヨコハマタイヤがサポートするのは2チーム。
KONDO RACINGの「D’station ADVAN GT-R」、LEXUS TEAM WedsSpors BANDOHの「WedsSport ADVAN RC F」で、ドライバーはともにベテランと若手の組み合わせに。それぞれミハエル・クルム選手と佐々木大樹選手、脇阪寿一選手と関口雄飛選手を起用する。いずれのコンビも強力だけに、タイヤ開発に大きく貢献してくれることも期待されている。
GT300では、今年もFIA GT3規定の車両が大多数を占める。自動車メーカーによって開発、制作された車両は、販売された状態から改造は許されないものの、安定した高性能を、しかもレーシングカーとしては比較的リーズナブルに手にすることができる。
逆にJAF GTは改造を絶えず許されるものの、開発とそれに伴う費用はチームごととあって、近年は減少傾向にある。昨年も今年も、4台だけが姿を見せるのみだ。

ただし、先にも述べたとおりJAF GTは改造が自由で、駆動方式さえ改められるため、4台中3台がFRをミッドシップに変更している。その3台はしかもハイブリッドシステムも搭載し、それを燃費の向上だけではなく、むしろモーターのアシストを積極的に武器としている。
一方でFIA GT3はメーカー間の協定により、今年のアップデートは信頼性の向上だけに限定されている。あとはBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)による最低重量、あるいはリストリクター径の調整によって性能は大きく左右されるが、今年はどの車両も大きな変化はない。

GT300にも、GT500同様、タイヤ競争が存在する。ただ、大きく異なるのは、ヨコハマタイヤが最大のシェアを誇り、またこの10年で5回もチャンピオンチームをサポートしてきた。昨年は5連覇ならなかっただけに、今年は王座奪還への強い思いでスタッフ全員が、レースに臨んでいるのは言うまでもない。

ちなみに、開幕戦にはGT300に24台のエントリーがあり、うち19台がヨコハマタイヤを使用する。
JAF GTこそユーザーは、開幕戦でポールポジションを獲得した、新田守男選手と嵯峨宏紀選手の駆る「OGT Panasonic PRIUS」だけだが、FIA GT3には8車種すべてにユーザーが存在する。
ミッドシップもあれば、FRもあり、また搭載されるエンジンも自然吸気、ターボが混在しているが、それぞれに安定した性能を供給するのがヨコハマタイヤの自慢でもあり、また最大のポリシーだ。

ちなみに、岡山国際サーキットが舞台の開幕戦では、谷口信輝選手と片岡選手が駆る「グッドスマイル初音ミクZ4」、ヨルグ・ミューラー選手と荒聖治選手が駆る「Studie BMW Z4」がワンツーフィニッシュを果たし、星野一樹選手とルーカス・オルドネス選手が駆る「B-MAX NDDP GT-R」が4位に。合わせて6台が入賞を果たし、上々の滑り出しを見せている。
さて、改めてSUPER GTとは、どんなレースなのか紹介しよう。
市販車をベースに大胆な改造を施したGTカーを用い、通常は300kmのレースをふたりのドライバーがシェアして戦う。最もシンプルな表現を採れば、こういう感じになる。ただし、全8戦のうち2戦は、500kmと1000kmで競われ、その際には3人目のドライバーを登録することができる。

レースウィークのスタートは土曜日で、午前中に2時間のフリー走行を行なった後、数時間のインターバルを経て、午後に予選を行い、決勝のグリッドを決定する。
その予選は現在、すべてノックアウト方式となっており、セッションはすべてクラスごと走行。15分間で計測されるQ1ではGT500は9番手以下が、GT300は14番手以下がその時点で順位を決定する。それぞれ8番手以上、13番手以上は続いて12分間で計測されるQ2への進出が許され、そこで最終的なグリッドを決定する。

ちなみにQ1とQ2には、同じドライバーが走ることは許されていない。エースドライバーを、確実に上位を狙うならQ1に、ポールポジションを狙っていくならQ2に投じるのがセオリーだが、コースやコンディションによって得手、不得手も分かれるため、その采配、判断も重要な鍵となる。

日曜日の午前中に30分間のフリー走行が行われ、ここで決勝レースに向けたセットアップが進められる。さらにスタート直前のスタート進行の開始時も8分間のウォームアップが設けられ、そこでは最終調整、タイヤのスクラブが行われる。

スタートを担当するのは、どちらのドライバーでも可。エースで序盤に勝負をかけるも、終盤に巻き返すも、それは自由だ。
レース中には1回のピットストップが義務づけられ(500km、1000kmレースを除き)、その間にドライバー交代を行わなければならない。
同時に給油も行われるが、タイヤ交換に関しては特に義務づけはないため、そこに作戦も講じる必要が。時に後輪だけ、片側だけ2本の交換、あるいは無交換としてロスタイムを最小限とし、それが勝敗を大きく左右することも多々あることで知られる。

300kmレースとはいえども、約2時間の戦いであるため、ファンにもスプリント以上の楽しみ方ができるのが、魅力のひとつである。できれば、広いサーキットのさまざまなポイントで観戦していただきたい。

グランドスタンドでストレートを全開で駆け抜けていく様子を、そしてスタートの迫力や緻密な作業を行うピットワークを堪能するも良いが、できればコーナーにも足を運ぶことをお薦めする。想像を超える旋回速度もさることながら、速度の異なるGT500とGT300が、どう抜き、どう抜かれるかも見てほしい。

そのあたりにうまさの違いを感じられるようになったら、もう観戦上級者への仲間入りだ。そのためにも今年はぜひ、一度でも多くサーキットを訪れていただきたい。ちなみに第2戦は静岡県の富士スピードウェイで、5月4日(日)に決勝レースが行われる。
[UPDATE : 18.Apr.2014]
           
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