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Historic Car Meetingの世界 自動車文化を支えるヨコハマタイヤ
「趣味はクルマ」。
一口にこう表現しても、その楽しみ方はいろいろだ。サーキットなどでスポーツドライビングを楽しむ、お気に入りのホイールやエアロパーツを組み合わせてドレスアップを楽しむ。もちろんノーマルのままでも、気の合う仲間とのドライブを楽しむことも、クルマ趣味のひとつと言える。
そして、クルマ趣味の中でも究極的なものと言えるのが、ヒストリックカーの世界だ。伝統ある旧い名車たちを現役当時の姿に再現するレストアにはじまり、さらにその名車を走らせて楽しむ場として注目を集めているのがヒストリックカー・ラリーというイベントである。
往年の名車たちが参加するヒストリックカー・イベントは、近年になってますますの盛り上がりを見せている。春から秋にかけてのシーズンには、毎週全国どこかで何らかのイベントが開催されていると言っても過言ではないだろう。
そんな中で、単にオーナーが集まってマシンを展示するだけではなく、実際に名車たちを走らせて競技を楽しむイベントも増加傾向になる。その多くはタイムラリー形式の競技性を有しており、出場しているオーナーたちも真剣に競技を楽しんでいる。

タイムラリーとは主催者が決めたコースを、指示された時刻にチェックポイントを通過する方式の競技で、指示時刻との差が小さいほど好成績となるものだ。大会によってはチェックポイントの場所が事前に知らされない「シークレット・ポイント」が用意されている場合もあり、運転を担うドライバーとルートや時間の管理を行うナビゲーターによるコンビネーションの良さも試される。

この方式のラリーも、全日本ラリー選手権などと同様に一般公道を用いて行われる。そして、クローズドコースを組み入れて、平均車速を高く設定したハイ・アベレージ区間を設ければ、よりタイムアタック性の強い速さを競い合うステージを設けることも可能だ。もちろん競技の大半を占める一般公道区間は、法定速度や制限速度を遵守してクリアできる設定とされている。

このように、タイムラリーは単純に速さを競うだけの競技ではない。時間管理の正確さが特に重視されるため、時にナビゲーターはチェックポイントのラインを正確に通過するために、公道外に設けられたポイントでは身を乗り出して自車のタイヤを指示時刻通りに秒単位で通過させるためにドライバーへと指示を出す。

しかし、あえて言えばこうした競技性も強いヒストリックカー・ラリーであっても、参加する全員が目を三角にして戦っているというわけでもない。もちろん競技に対しては真剣に取り組んでいるが、成績よりも競技そのものを楽しむことが主眼に置かれているという雰囲気が強い。

自慢の愛車でドライブを楽しむのも良いが、せっかくならば仲間たちと競技性も含めて楽しみたい。ドライバーとナビゲーターが協力して車を走らせるラリーであれば、奥さんや彼女、友人とも一体になって楽しめる。
そんな思いが、ヒストリックカー・ラリーの現場では、個々の参加者から強く感じ取ることが出来るのだ。
2013年5月11日(土)から12日(日)にかけて、愛知県豊橋市や新城市を舞台に「ヒストリックカーミーティング in TOYOHASHI」が開催された。このイベントは中部地区の各地を舞台に開催が続けられており、今回で第7回を数える。

今回は豊橋市をホストタウンとして、隣接する豊川市、新城市、蒲郡市に走行ルートを設定。豊橋市内ではADVANラッピングを施された車両が走っていることでも知られる豊橋鉄道の路面電車と並走したり、新城市では全日本ラリー選手権のステージになることでも知られる本宮山周辺のワインディングルートを走行。また、蒲郡市では西浦サーキットを走行するなど、変化に富んだコース設定がなされた。

また、コースの途中では昼食などの休憩時間も設けられたが、その時は車両展示が行われて大勢のギャラリーで賑わった。往年の名車やスーパーカー、憧れのクルマたちがズラリと並ぶ光景は壮観で、子供たちや少年の頃に憧れていたというお父さんたちは盛んに名車たちの姿を写真におさめていた。

今回の参加は中部地区を中心に全国から四輪車がおよそ50台。さらにクラシックバイクチームの参加もあり、コースとなった沿道からも大いに注目を集めた。中でも最古参の1952年式・BMW 327-2や、俳優・高倉健氏が初代オーナーという1958年式・ポルシェ356Aカブリオレが注目の的。特にポルシェはナンバープレートが当時のままであり、現在とは異なり地名表記が入っていない貴重な存在である。

二日間の日程、残念ながら初日は雨模様となってしまったが参加者たちは名車ともども元気に走行。雨の日には絶対に外に出さないというクラシックカーオーナーも少なくないが、雨の中でオープンモデルは幌をかけて走る姿を見ることが出来るのも、こうしたイベントならではだ。

雨の一日目が終わると、豊橋市のホテルで盛大なパーティが催された。ここでは生バンドの演奏にはじまり、郡上踊りや地元アイドルのミニコンサートなど、趣向を凝らしたステージショーで盛り上がる。そして圧巻だったのは、このイベントのために用意された花火。東三河地域の伝統でもある手筒花火が参加者に披露され、参加者は大いに盛り上がった。

一夜明けた二日目は雨もあがり、快晴の中で競技を続行。
二日間にわたる競技の結果、Aクラスは1959年式・ポルシェ356A、Bクラスは1959年式・トライアンフTR-3、Cクラスは1997年式・フェラーリF355ベルリネッタが、それぞれ優勝を飾った。
成功のうちに幕を閉じた「ヒストリックカーミーティング in TOYOHASHI」、このイベントの実現に尽力された中心人物が天野正治さん(写真・右)と、小菅英久さん(写真・左)のお二人だ。

天野さんは名古屋を拠点に映像制作やイベント企画の事業を営んでおり、ヒストリックカーミーティングの全体的な取り仕切りを行っている。小菅さんはモータースポーツ界ではお馴染みの存在で、名古屋を中心にタイヤ販売店を営み、ジムカーナやダートトライアルをはじめとしたモータースポーツのタイヤサービスも行っている。

このお二人に、ヒストリックカーミーティングの開催についてお話しをお聞きした。


−このイベントを立ち上げたキッカケを教えてください。

天野さん :
僕自身が元々、ラリーストだったんですよ。年齢を重ねてクラシックカーに興味が向いてイベントに参加するようになったのですが、その当時は関東でのイベントがほとんどで、名古屋から遠征参加していたのは僕一人ということも多かった。旧い車の愛好家は熟年層も多いので、遠くまで足を伸ばすのが大変だという理由もあるのでしょう。
でも、日本の車文化という意味では、偉そうに聞こえるかもしれませんが、やはり名古屋は外せないでしょう、と。なんといっても自動車の一大生産地ですからね。
そこで自分が出てみたい、やってみたい内容のものを名古屋で立ち上げることにしました。ただ、僕は企画なんかは得意ですが、実務的な面については小菅さんを巻き込んで立ち上げたと言うか(笑)。

小菅さん :
確かに巻き込まれましたね(笑)。一回目からお手伝いしていますが、実は最初はそんなに旧い車に興味があるという訳ではなかった。でも、7回目を数えるまでに、すっかりその魅力にハマっていますよ。


−横浜ゴムの新城工場をコースに組み込んだ経緯とは?

小菅さん :
三年くらい前から構想そのものはありました。ただ、色々な理由があって工場の周辺でコースを設定出来ないことが多くて。それらがクリアになって、いよいよ今年は出来るぞ、と満を持しての開催です。

天野さん :
今回やってみて、参加者から「ヨコハマタイヤの皆さんを含めて、多くのスタッフが雨の中で良くやってくれた」という言葉をいただいたのが、一番嬉しかったですね。多くの工場スタッフの皆さんが、雨の中でお手伝いや見学に出てきてくれたことが、参加者の皆さんにとっても印象的だったようです。
こうした触れ合いは、多少なりともヨコハマタイヤのブランドイメージ向上につながると思います。いつかタイヤを買おうとなったときに、今日のことを思い出して「ヨコハマタイヤを選ぼう」となるかもしれません。普段は簡単に立ち入ることが出来ない工場の中を、競技で走って写真も撮って、という今日の経験がどんなに凄いことなのかと。


−ヒストリックカー・ラリーの魅力とは?

小菅さん :
常日頃はベントレーやレクサスといった素晴らしい最新の車に乗っておられる方々が、この日ばかりは暑くても寒くても老若男女問わず汗だくになってラリーを戦い抜くんです。それこそがヒストリックカー・ラリーの魅力ではないでしょうか。
こういった場を天野さんが造り上げて、名古屋に根付かせたいという思いが僕たちにも伝わってくるんですよね。名古屋の人は意外とシャイで、こういうイベントに率先して参加しない傾向もあります。しかし、回を重ねることで友達が友達を呼ぶように輪が広がって、どんどん参加者が増えているんです。

天野さん :
今回は全国で4つの似たようなイベントが同日開催になりました。その中で50台ほどの参加があったことは大きいと思います。
ラリーは他のモータースポーツと異なり、ドライバーだけでなくナビゲーターとの共同作業で車を走らせます。奥さんがナビゲーターをつとめるケースも多いのですが、女性が喜んで本気になると勝つんですよ(笑)。そして、私のもとにも「旦那と20年、30年と一緒にいて、このイベントで初めてひとつの趣味を二人で楽しめた」という奥さんたちの声が届いています。これは、微力ながら夫婦円満にも貢献しているな、という自負があるんですよ(笑)。



天野さんと小菅さん、お二人を中心に多くのスタッフが自らも楽しみながら、同時にホスト役として参加者にも楽しんでもらおうという思いを強く持って運営されている「ヒストリックカーミーティング」。アイディアマンの天野さんは次回も参加者を驚かせるような仕込みを考えるだろうし、そのアイディアを抜群の機動力で小菅さんが実現していくというコンビネーションは、このイベントならではのパワーの源。
初めての雨にも見舞われた第7回も成功のうちに幕を閉じた「ヒストリックカーミーティング」、第8回に参加者から寄せられる期待も大きいものが感じられた。
[UPDATE : 24.May.2013]
       
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