今回の漫遊記はヨーロッパ、地中海に浮かぶコルシカ島(フランス)にやってきました。5月12日から14日にかけて開催された、IRC(インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ)第3戦の「ツール・ド・コルス」の視察が目的です。
モンテカルロやアクロポリスと並び、世界的に有名なこのラリーは1956年より開催され、'73年にはWRC(FIA世界ラリー選手権)カレンダーの重要なラリーのひとつとなり、2008年まで続いてきました。'09年よりフランス本土(アルザス地方)にWRCの舞台は移りましたが、伝統のツール・ド・コルスは今年、IRCに舞台を変えて開催されました。
ターマック(舗装路)ラリーの代名詞ともいえるツール・ド・コルスは、「直線が100mあるとコルスではない」とか「10,000のコーナーを持つラリー」などと称されています。
コルシカ島は四国の半分ほどの大きさですが、その中央部には2,500mを超える急峻な山岳地帯が連なり、平地は少なくて海岸線まで切り立った岩場が続いている場所が多く見られます。断崖絶壁ともいえる山肌を縫うように走るラリーカーは、見ていても鳥肌が立ちます。
かくいう私も、このラリーには2004年に参戦して、PWRC(FIAプロダクションカー世界ラリー選手権)で5位の成績でフィニッシュをしています。
ギャラリーのひとりとしてコースを眺めると、その険しさに驚きますが、SS(スペシャルステージ)を全開走行しているドライバーにとっては、周りの景色を眺める余裕なんてありませんから、どんな場所を走っているかなんて意識はないのです。「恐くないのですか?」という質問をよく受けますが、外から冷静に眺めてみると恐いですよね(笑)。