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神鋼産業株式会社・清水孝一 代表取締役社長
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−まずは、御社の簡単なご説明をお願いします。
清水孝一さん (神鋼産業株式会社 代表取締役社長) :
我々神鋼産業は、創業から今年で35周年になります。創業当時は平塚に工場を構えておりましたが、工場拡張のため7年前にここ伊勢原に移転しました。
創業以来、廃棄タイヤやゴム製品のリサイクルにかかわる処理を行っています。ゴムのついているものなら何でも処理しますよ。
−使用済みのタイヤというのは、どういった形でリサイクルされるのでしょう?
清水さん :
大きく分けて、3つの利用形態に分かれます。
こちらへ集められたタイヤは、そのほとんどが切断・破砕され、小さなチップになります。これらは製紙会社などのボイラー用燃料に使われます。これは「サーマルリサイクル」と言われます。
また、使用済みタイヤの中には再生タイヤとして再利用できるものもありますから、それらは選別して国内外の需要家へ供給します。これは巷でもよく言われる「リユース」ですね。
それと、鉄やアルミでできている部分はそれだけを集めて製鉄工場などへ持って行き、原料として再利用されています。これは、「マテリアルリサイクル」です。
−タイヤは、そのほとんどが再利用されるということですね。
清水さん :
そうですね。廃タイヤのチップを燃料として使用している工場にしてみれば、それまで使用していた化石燃料を使わなくても済むようになるということですから、これだけエコなものはないと思います。
さらに、製紙会社で燃やしたタイヤチップの中に残っていた鉄分は、燃やされたので酸化鉄ということですが、これも製鉄会社へ運ばれて鉄原料として利用されるのです。
−1日にどれだけのタイヤを処理するのでしょうか?
清水さん :
1日に、大体8000本から1万本のタイヤがこちらへ運ばれてきますが、これらは即日処理します。
朝運ばれてきたタイヤは、午後にはそれぞれの利用形態に応じた形に変えられて出荷します。破砕したらすぐに出荷製品になりますから、すぐに出せるんですね。
ですから、在庫という概念はほとんどありません。来たらすぐに出て行く。その繰り返しです。
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神鋼産業株式会社・弓田大介 営業企画部長
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−レーシングタイヤの破砕方法は、他のタイヤと違ったりするのでしょうか?
弓田大介さん (神鋼産業株式会社 営業企画部長) :
工程はすべて一緒ですが、やはり一般タイヤに比べて幅がありますし、ちょっと固いですね。それだけしっかりと作られているのだと思いますよ。
−レーシングタイヤを扱っていることについて、工場の方たちはどんな思いがあるでしょうか?
弓田さん :
うちの工場には元レーシングドライバーもいるぐらい、モータースポーツ好きが多いんですよ。レースがある週末は、必ずと言っていいぐらい結果を確認します。やっぱり気になりますからねぇ。
ADVANのレーシングタイヤは、(廃棄は)我々が引き受けていますから、やはりADVANが勝つと嬉しいんです。開幕戦でKONDO RACINGが優勝した時も、大変盛り上がりましたね。どのタイヤが優勝タイヤだったのか分かれば、廃棄する前に写真を撮っておきたいぐらいでしたよ(笑)。
レーシングカーがコースオフすると、タイヤに芝が付くでしょう?一つ一つ目で確かめていると、そういう芝や、レースを戦ったあとの独特な瑕(きず)がついているのが分かるんです。そういったタイヤを見ると、接触したのかな、とか、スピンしちゃったのかな、コースオフしたのかな、とか、レースの激しさを感じますね。
−最後に、ADVANユーザーへのメッセージをいただきたいのですが。
弓田さん :
私たちは、使命を果たしたあとのレーシングタイヤを扱っています。バックヤードを預かっているという形ですね。それらを適正に、ほぼ100%リサイクルしています。なかなか表に出る仕事ではないので知っている人も少ないと思いますが、こういった仕事があるのだということを、是非ご理解いただきたい。
レーシングタイヤは走るためだけでなく、貴重な資源としてリサイクルされています。非常に大きな社会貢献をしている、"エコ"なものなのだということを知っていただきたいです。