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YOKOHAMA * ECO
横浜ゴムは、2006年度より中期経営計画グランドデザイン100「GD100」を掲げ、横浜ゴムが創業100周年を迎える2017年に、トップレベルの環境貢献企業になる事を目標にしています。そして、そのスローガンとして定めたのが「eco MOTION(エコ・モーション)」です。

企業の活動として、「ヨコハマ千年の杜プロジェクト」を立ち上げ、国内外の全生産拠点で約50万本の植樹活動を推進しております。また、環境貢献商品として、非石油系資源80%を使い、転がり抵抗を20%低減した「DNA dB super E-spec」や、オレンジオイルの配合により転がり抵抗の低減とグリップ力の向上を高次元で両立させた「DNA Earth-1」を投入し、お客様から高い評価が寄せられています。

この環境貢献活動は、モータースポーツにおいても例外ではなく、2008年の十勝24時間レースで、ST1クラスのフェアレディZに非石油系資源の配合比率を高めたエコレーシングタイヤを投入。見事24時間の過酷なレースで、総合4位の成績を収めました。
   
 
ECO RACING TIRE
■島田 淳 (横浜ゴム・モータースポーツ部 技術開発2グループ リーダー)


エコレーシングタイヤの開発第一弾は、非石油系資源の使用率を向上させることでした。レーシングタイヤに求められる第一の性能は、とにかくグリップが高いということ。これが1番重要になります。
非石油系資源の使用率を高めると、耐摩耗性が向上し、転がり抵抗が低減するものの、グリップ力も低減してしまいます。

我々タイヤエンジニアは、このグリップを少しでも高めるべく、さまざまなコンパウンド、あるいはタイヤの仕様といったものを日夜開発していますが、その中で発見された、作り上げられたものが「オレンジオイル」です。
「オレンジオイル」というのは、ゴムとの親和性が非常に高く、ポリマーとなじみやすい。この結果、非常にしなやかで、なおかつゴムそのもののダンピングが効くような性質に変えることが出来るのです。

一般的にレースのタイヤはタイヤのゴム温度が80度から100度といった非常に高い温度で使われます。この領域におけるダンピング特性を「オレンジオイル」を配合することで改善し、ピークグリップそのものを高くすることが出来ます。
さらに従来のゴムというのは、高い温度になるとダンピング特性が低下する特徴があります。いわゆる高温時にラップタイムが低下する「タレ」と呼ばれるものですが、この「オレンジオイル」は高い温度においてもダンピング特性を維持することから、タレを抑制する効果もあるのです。

このように、「オレンジオイル」をレースのコンパウンドに用いると、タイヤ全体の性能がアップする効果に加え、非石油資源である「オレンジオイル」を配合することで、石油資源を削減出来るという、タイヤ性能の向上と環境に貢献するといった2つの良い点が認められています。

既に2009年のスーパー耐久でその実力を示したエコレーシングタイヤですが、ここまでのパフォーマンスに仕上げるには様々な苦労がありました。
2008年の十勝24時間レースからスタートしたエコレーシングタイヤの開発ですが、この時には非石油資源を極限まで高めた「プロトタイプ」のコンパウンドを投入していました。その際には当然レースシーンで使われる領域でグリップアップというものが認められましたが、極限まで配合を高めた結果、残念ながら、初期グリップが若干低下するという問題がありました。

これを解決すべく、我々は2009年に様々なトライを行ってきた結果、この非石油資源の配分の最適化を行いました。その結果ピークグリップを維持しつつ、初期グリップを改善するといったことに成功し、従来仕様のレース用タイヤに対して、プロトタイプほどの配分ではありませんが、かなり多くの非石油資源を使ったレーシングタイヤが完成したのです。

このコンパウンドは、2009年度のスーパー耐久シリーズのテストデイ、あるいは実戦を通していろいろ試してきましたが、従来仕様のタイヤに比べてピークグリップの高さも高いうえに、初期グリップも大幅に改善されたことが証明されました。また、操縦安定性等も大幅に改善され、全体的に非常にバランスのとれたコンパウンドに仕上がっています。
数値データだけではなく、我々が一番重要視するのはドライバーのフィーリングですが、ドライバーのフィーリングとしても、ピークグリップが高く、ウォームアップもよい、タレ感もないというコメントが寄せられました。
我々の狙い通りのコンパウンド、あるいはタイヤに仕上がっていると言えるかと思います。
 
DRIVER'S COMMENTS
2010年、ADVANがワンメイクタイヤサプライヤーの指定を受けたスーパー耐久。
その走りを支えるタイヤについて、2008年の十勝24時間レースにプロトタイプのエコレーシングタイヤで自らドライバーとして参戦した近藤真彦監督、そして2009年のシーズンで一足先にエコレーシングタイヤの走りを体験している谷口信輝選手と柳田真孝選手は次のように印象を語りました。
 
■近藤真彦 監督
(2008年の十勝24時間レースにドライバーとして参戦)


2008年のに僕がプロトタイプのエコレーシングタイヤに乗った時は、通常のレーシングタイヤとあまり変わらないというような話をしていました。しかし、それはちょっとリップサービスもありまして、乗ってみたら「これはちょっと違うんじゃないか?」って思いましたよ(苦笑)。
確かに島田さんが言われたように、初期のウォームアップに物足りなさを感じる部分がありましたね。僕はタイヤの評価を出来るようなドライバーじゃないのですが、そんな僕でも初期のウォームアップが今ひとつだなと思いました。でも、エコレーシングタイヤだからその辺のリスクはあるんだなとも思っていました。
その一方では、タイヤの持ちがすごくよかったという印象はありましたね。僕の他に横溝直輝選手と荒聖治選手にも乗ってもらいましたが、彼らのコメントとしても、やっぱり持ちはすごくよくて、長く乗れば乗るほど通常のレーシングタイヤに近づいていくという話をしていました。



■谷口信輝 選手 (PETRONAS SYNTIUM TEAM)


BMW Z4で最初に投入した時は柳田選手がテストを担当したので、僕は最初に投入されたエコタイヤについてはあまり知りませんでした。
しかしスポーツランドSUGOで行ったテストにエコタイヤが持ち込まれて、そこで初めて走ってみたのです。その結果、僕たちがそれまでレースを戦っているタイヤと性能的に遜色がないということで、実戦にも採用することになりました。
僕たちの中ではそんなにネガティブなイメージはなく、むしろ2009年シーズンは「エコタイヤを履いておけば安心」という部分がありましたね。
僕たちはマレーシア人の若手ドライバー育成プロジェクトも行っていますが、若い人たちが「エコレーシングタイヤを履いている」と聞くと安心するほどで、エコタイヤに対する信頼感はかなり高いものがありますね。



■柳田真孝 選手 (PETRONAS SYNTIUM TEAM)

"ここ一発"に対してのピークグリップとタイヤの温まりも、良かったです。
2009年の鈴鹿戦だったかと思いますが、予選で「今回は前に行きたいからエコタイヤを使おう」ということになりました。ピークのグリップがあるからこちらを使おうと。
一発の速さを求めるという点でも、エコレーシングタイヤは満足できるところにありますよ。
 
 
 
 
スーパー耐久ドライバーのあまりの絶賛ぶりに、近藤監督の口からは思わず次のようなコメントが。

「すみません、GT500にもエコタイヤを・・・(笑)。
今の島田さんの話や、スーパー耐久に参戦している2人の話を聞くと、それからの進歩というものを非常に感じましたね。
でも本当にそうなのかなぁという思いもあるので、再開の予定があるという十勝24時間レースが復活した時には、是非僕を乗せてほしいなと思います」

近藤監督が突然ADVAN関係者にお願いをしてしまったほどのエコレーシングタイヤが持つ高いポテンシャル。
2008年の十勝から始まったエコレーシングタイヤの開発は、ここまでパフォーマンスを高めているのです。


今シーズンはこのエコレーシングタイヤをスーパー耐久で展開するのはもちろんのこと、全世界を転戦するWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)、さらにはアメリカで行われているポルシェのワンメイクシリーズ「IMSA GT3チャレンジ」でも展開します。
このIMSAのGT3チャレンジは、昨年度もオレンジオイルを配合したコンパウンドを採用し、エントラント、あるいはポルシェ社からかなり高い評価をいただいていましたが、今シーズンは非石油資源の配合比率をさらに高め、なおかつ性能アップも行ったコンパウンド、エコレーシングタイヤを供給しています。

こうした実績が認められ、高い性能と環境に貢献できることから、2010年度もADVANが正式にオフィシャルサプライヤーとなりました。さらに「レースシーン」と「環境保全」の2つが共生できるということで、アメリカ国内をはじめ多くのメディアからも非常に注目を集めています。
日本国内ではカローラアクシオGT、あるいはシビックインターシリーズといった様々なワンメイクカテゴリーにもエコレーシングタイヤ展開をしていくことによって、さらなる性能アップと環境貢献に取り組み、改善を進めていきます。


今シーズンのヨコハマタイヤのモータースポーツシーンでの活躍、さらにエコレーシングタイヤをはじめとするモータースポーツと環境貢献の両立にもご注目ください。
 
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