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WTCC Round 17&18
開催日
2013年9月7日-9日
開催場所
ソノマ・レースウェイ
(アメリカ)
天 候
第1レース : 晴れ
第2レース : 晴れ
路 面
第1レース : ドライ
第2レース : ドライ
決勝周回数
第1レース : 13周
第2レース : 13周
(1周 = 4,032m)
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カレンダーは既にヨーロッパラウンドを終了し、初開催の南米大陸・アルゼンチン戦までを消化した2013年のWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)。第17&18戦は、昨年初開催となった北米ラウンド、インディカーやNASCARレースでもお馴染みのソノマ・レースウェイを舞台に行われた。

シーズンも後半戦ということでチャンピオン争いの行方も気になる中、世界選手権のドライバー部門はシボレーのイヴァン・ミューラー選手が、そしてマニュファクチャラー部門は今季からフル参戦しているホンダが、それぞタイトルに王手をかけた状態でアメリカ戦に臨む。

ヨーロッパ域外での開催ということで、金曜日のテスト走行から始まったレースウィーク。このテスト走行、そして土曜日にフリープラクティスを2回行って予選へとタイムスケジュールは進んでいくが、それぞれ走行では各車が拮抗した走りを披露する。

まず金曜日のテスト走行でトップタイムをマークしたのは、ホンダ・シビックのティアゴ・モンテイロ選手。昨年の鈴鹿でデビューしたシビックにとっては、ソノマを終えるとシリーズを一巡したことになる。次はお膝元の日本ラウンドとなるので、勢いをここでつけていきたいところだ。また、0.132秒の僅差で2番手につけたのは、セアト・レオンのロブ・ハフ選手である。

日付が替わって土曜日となり、1回目のフリープラクティスはシボレー・クルーズのペペ・オリオラ選手がトップタイム。これにトム・チルトン選手、イヴァン・ミューラー選手と続き、シボレー勢がトップ3を独占した。2回目のフリープラクティスではイヴァン・ミューラー選手が結果表のトップに名を刻み、0.031秒差の2番手がシビックのノルベルト・ミケリス選手、0.350秒差の3番手がセアト・レオンのヒューゴ・ヴァレンテ選手というオーダーになる。

このように目まぐるしくトップが入れ代わる中で迎えたQ1は、チャンピオンに王手をかけているミューラー選手が唯一の1分45秒台となる1分45秒941でトップを奪う。これに続いたのはマニュファクチャラータイトルの王手をかけているホンダ勢、モンテイロ選手が1分46秒340で2番手、ミケリス選手が1分46秒346で3番手というポジション。このほかではセアト勢からマルク・バッセン選手が6番手、ロブ・ハフ選手が8番手でQ2に進出を果たした一方、残念ながらラーダ勢はQ1で敗退となった。

上位12台によるQ2ではシボレーのRML勢がトップツーを独占するが、トップタイムはミューラー選手を抑えてトム・チルトン選手となり第1レース(第17戦)を初のポールポジションから迎えることに。2番手はミューラー選手、3番手はモンテイロ選手という結果になった。また、リバースグリッドにより第2レース(第18戦)のポールポジションは、BMWのメルディ・ベナニ選手が手中におさめた。

気持ちよい青空が広がったソノマ・レースウェイ、第17戦はローリング方式でスタートする。昨年よりも気温はやや低い23.9℃ながら、路面温度は33.9℃と逆に1.9℃高い中で決勝レースがスタート。イン側にポールポジションのチルトン選手、アウト側に2番手のミューラー選手という配列だったが、レッドシグナルが消灯して好スタートを決めたのはシビック勢。2列目にいたモンテイロ選手がターン2でミューラー選手をかわして2番手にポジションアップすると、その後方ではガブリエレ・タルクィーニ選手がハフ選手をパスして6番手に浮上した。

モンテイロ選手は前を行くチルトン選手に詰め寄り、4周目の最終コーナーではテール・トゥ・ノーズ状態からプレッシャーをかけていくが、28歳の若きイギリス人ドライバーもしっかりトップの座を守りきって隊列を率いていく。
中段グループではBMWのトム・コロネル選手が11番手スタートから躍進、2周目にバッセン選手をかわして8番手になると、中盤以降ではハフ選手と熾烈なポジション争いを展開する。8周目にはハフ選手に後半のテクニカル区間で詰め寄りインを奪いに行くも、ハフ選手も手堅い守りを見せる。しかし10周目に再度コロネル選手がハフ選手に仕掛け、両者は軽い接触を伴うバトルを展開してコロネル選手が先行、7番手争いに決着をつけた。

先頭集団はオープニングラップでの攻防以降は、比較的淡々とした周回を重ねていく。チルトン選手に対して1秒以内の差で追走していたモンテイロ選手だったが、終盤に入ってチルトン選手もチャージをかけ、10周目を終えて両者の差は1.258秒に開いた。この差はじわじわと拡大し、最後は2.161秒の差をつけてチルトン選手が嬉しいWTCC初優勝のウィニングチェッカーを受けることに成功。モンテイロ選手が準優勝、ミューラー選手が3番手という表彰台の顔ぶれになった。

YOKOHAMAトロフィーは5番手スタートからひとつ順位を上げて、4番手でフィニッシュしたシボレーのアレックス・マクドワル選手がウィナーとなり、2番手フィニッシュしたジェームス・ナッシュ選手や4番手フィニッシュのミシェル・ニュケア選手とのポイント差を縮めることに成功した。

約2時間のインターバルを挟んで迎えた、第2レース(第18戦)の決勝。ポールポジションはBMWのベナニ選手、2番手グリッドがホンダのタルクィーニ選手、3番手グリッドはセアトのハフ選手という、各車種のスタートダッシュが注目を集めるオーダーである。

スタンディング方式の第2レースは、FR(後輪駆動)のBMWが得意とするところ。しかし今回はFF(前輪駆動)ながらシビックの速さが勝るかたちとなり、1コーナーこそベナニ選手がトップを守ったものの、真後ろにつけていたタルクィーニ選手がコーナー脱出から圧倒的な加速力を見せつける。そのまま横に並んだタルクィーニ選手は登り勾配を軽やかに駆け上がってターン2でベナニ選手をパスしてトップを奪う。
さらに2番手にドロップしたベナニ選手をハフ選手が後ろからつついていくが、ここはベナニ選手が堪えて先行を許さず。そしてハフ選手は2周目もプレッシャーをかけていくが、ターン7でコースから少し外れたことでタイヤを壊してしまい、戦線離脱を余儀なくされた。

これでミケリス選手以下がポジションをひとつずつ繰り上げる。展開としてはモンテイロ選手が先行、ベナニ選手とミケリス選手が追うかたちで3台がトップグループを形成。ここから2秒ほど離れてジェームス・ナッシュ選手(シボレー)が4番手、この後ろに9番手から躍進してきたミューラー選手、モンテイロ選手、コロネル選手、バッセン選手が5台並びの隊列という状況になる。

ややナッシュ選手が隊列を塞き止めていた感があり、この間にトップグループはじわじわと差を拡大していく。しかし4周目のターン7でミューラー選手がナッシュ選手のインを奪って鮮やかなパッシング、モンテイロ選手もターン11で続き、ここから猛追撃の幕が開ける。

8周目を終えてミケリス選手とミューラー選手の差は2.188秒、これが9周目を終えると1.469秒に詰まる。一方でトップを行くタルクィーニ選手はベナニ選手との差を拡げ、独走態勢を着々と構築していく。
逃げるタルクィーニ選手に対して、決勝終盤では2番手のベナニ選手からミケリス選手、ミューラー選手までの3台が接近。11周目にはミューラー選手が仕掛けてミケリス選手にターン7のアウトから攻めていく。そのままラインをクロスして両者はイン/アウトを入れ替えてテクニカルセクションを駆け抜けるが、ポジションを入れ替えるには至らず。

13周の決勝、オープニングでトップを奪ったタルクィーニ選手は後続にポジションを脅かされることなくスロバキアでの第5戦以来となる今季2勝目を飾ることに成功。ベナニ選手が総合2位で、こちらはハンガリー以来となる今季YOKOHAMAトロフィー3勝目を挙げた。そして3位はミケリス選手が逃げきって表彰台を手中におさめた。
さらにこの結果により、2013年のマニュファクチャラータイトルをホンダが獲得した。
Movie
Driver's Voice
トム・チルトン 選手
 【今回の成績 : 第17戦 優勝 / 第18戦 11位】
とてもタフなレースでした。モンテイロ選手は完全に火がついた状態で、私はひとつとしてミスをすることが許されない状況が続きました。すべての周回でコンタントに速いラップを刻むのは簡単ではなく、タイヤマネージメントにも気をつかっていかなければなりません。
しかし、こうしてWTCCで初優勝を飾ることが出来て、いまはとても爽やかな気持ちですし、戦いの舞台となったソノマのコースも大好きです。
ガブリエレ・タルクィーニ 選手
 【今回の成績 : 第17戦 6位 / 第18戦 優勝】
私にとって、素晴らしい週末になりました。私の勝利、その鍵となったのはスタートにほかなりません。(スタンディングスタートを得意とする)後輪駆動のマシンに勝るシビックの加速は素晴らしく、信じられないほどの好スタートを切ることが出来ました。
そのスピードは昨年とは比べ物にならないほどで、同じ場所で去年はアラン・メニュ選手をかわすことが出来ませんでした。昨年、私は誤ったラインを選んでマシンのコントロールに苦しみましたので、今年はしっかりそれを教訓にして走りました。
今回の結果を受けて補正ウェイトがどの程度科せられるかわかりませんが、ここ数戦はノーポイントだったので復活を飾ったことは大きな意味があります。
次の鈴鹿もタフな一戦になるでしょうが、コースはアルゼンチンやモンツァ、マラケシュに似た部分もあるので、我々にとっては相性は悪くないと思っています。
 
Technical Information
2回目の開催となったソノマのコースは、やや古い舗装でコーナーの要所も磨かれた路面が特徴。滑りやすいのでタイヤのたわみが少なく構造面にはやさしいが、摩耗としては比較的大きめになる。大きめの高低差もソノマならではのキャラクターだが、この点はアップダウンの過程で荷重が前後輪別々に抜ける箇所があり、コントロールが難しいところ。リカバリーのために無理にタイヤをこじるドライバーも見られたが、摩耗に多少の影響があった程度でタイヤとしてはしっかりその走りを支え続けた。

今回は第2レースでタルクィーニ選手が優勝、ミケリス選手が3位表彰台を獲得した。さらに第1レースでもモンテイロ選手が準優勝を飾り、ホンダ勢の躍進が光る展開となった。昨年の鈴鹿でデビューしたシビックは、ここソノマでWTCCの開催地をちょうど一巡したかたちになる。その中で着実な進化を遂げており、タイヤの前後分担バランスも向上している。具体的にはリアタイヤを有効に使ってコントロールするようになっており、摩耗量も減ってきているので最終ラップまで安定した走りが光っての好成績、そしてマニュファクチャラータイトル獲得につながったようだ。
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