2005年に現在のスタイルで発足したWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)。市販車をベースとしたいわゆる"ハコ車"と呼ばれるツーリングカーによるレースであり、中でも短い決勝レース距離で競われるスプリントレースの世界最高峰に位置づけられるシリーズだ。
競技格式はFIA世界選手権。世界のモータースポーツを統括するFIA(国際自動車連盟)は2013年、レーシングカートを除く4輪自動車競技のうち5つのカテゴリーに対して世界選手権のタイトルを賭けている。具体的にはフォーミュラ・レースのF1、耐久レースのWEC(世界耐久選手権)、ラリーのWRC(世界ラリー選手権)、そしてスプリントレースのWTCCとなる。
参戦するマシンはFIA SUPER2000規定に準じたもの。以前はディーゼルエンジン車が活躍したこともあったが、現在のWTCCでは選手権対象となっていないため、全てがガソリンエンジン車となる。
WTCCの特徴は、他に類を見ない超接近戦が毎回演じられている点にある。多少の接触は厭わない、かと言って決してラフプレーではない、ハイレベルなギリギリの攻防戦がコース上の至る所で繰り広げられているのだ。こうしたバトルが世界各地を転戦しており、ファンを魅了する。さらに衛星放送を通じて世界中へと配信され、迫力あるレース展開が多くのファンを獲得している。
日本でも2008年からシリーズ終盤に大会が開催されるようになり、2013年も9月に三重県の鈴鹿サーキットで第19&20戦が開催される予定だ。また、2013年はロシアでWTCCが初めて開催されることとなり、モスクワ・レースウェイがその舞台となる。
レースは1大会に2回の決勝レースを行う。2つの決勝はそれぞれ独立したレースであり、個々の成績に応じてポイントが配分される。もちろん決勝スタートからフィニッシュ、そして表彰式と一連の流れも個々のレース毎に行われる仕組みだ。ゆえにファンは1日に2回、迫力のバトルを堪能出来るということになる。
レースウィークの流れは、欧州で行われる大会は土曜・日曜の2Dayレース、欧州以外の開催では金曜から日曜までの3Dayスタイルとなる。土曜日は30分間のフリープラクティスが2本行われた後、公式予選という流れだ。
予選は全車出走のQ1が20分間(市街地コースは30分間)コースオープン、ここで各選手はタイムアタック合戦を繰り広げる。そして上位12台のみが引き続き行われる10分間(市街地コースは15分間のQ2へと進出、改めて行ったタイムアタックの結果を受けて、Q2の順位が日曜日に行われる決勝第1レースのスターティンググリッドに反映される。なお、Q2に進出したもののトラブルなどでタイムを残せなかった選手は、12番手を最後尾とした後方のグリッドに配される。そして、13番手以降は、Q1の結果における13位以降が配列される仕組みだ。
さらにユニークなのは、日曜日の決勝第2レースのスターティンググリッド。Q2の結果を受けて、全12台中上位10台をリバースグリッドとして配する。つまりQ2のトップタイムをマークした選手は、第1レースのポールポジションであると同時に第2レースの10番手グリッドが自動的に確定するというわけだ。
11番手と12番手のグリッドは、Q2の11位と12位がリバースではなく正順で配される。そして13位以降は第1レース同様にQ1の結果が反映される仕組みとなる。
なお、決勝日の第1レース前には、15分間のウォームアップ走行を行うことも、規則によって定められている。