3月の開幕戦・イタリアのモンツァから、6月末のポルトガル戦まで、7大会/14戦を消化したWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)。北アフリカのモロッコ、そしてヨーロッパ大陸を転戦してきたシリーズは、およそ1ヶ月のインターバルをはさんで一気にその舞台を南米大陸へと移す。
第8大会・第15&16戦の舞台は、アルゼンチンのアウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンド。
首都・ブエノスアイレスから国内線の飛行機でおよそ2時間、直線距離で1,000kmほど離れたテルマス・デ・リオ・オンド市は、温泉も有名なアルゼンチン屈指のリゾート地として知られている。そんなロケーションの中、市外地の東およそ6kmという利便性の良い立地に設けられている常設サーキットコースが「アウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンド」である。
このコースは2008年5月にオープンした後、最近になって大改修が施された。2014年には二輪のMoto
GPが開催される予定となっているが、今回のWTCCが初めての世界選手権イベント開催となる。
ただ、コースの改修は完成しているものの、現時点でコントロールタワーこそ最新鋭の施設になっているが、ピットガレージの建屋は出来上がっておらず今回のWTCCでは大型テントが張られて各チームに割り当てられている。観客用のスタンド席も今回は仮設となっているが、一方ではミュージアムが完成していたり、VIPルームも設けられている。
近年、サーキットに隣接するかたちで空港も設けられ、ホテルの建設も進んでいるなど、サーキットも中核施設のひとつとしてリゾート開発が進んでいるエリアという印象だ。
日本から見ると地球のちょうど反対側に位置するアルゼンチンだが、東京から片道50時間をかけて現地入りしたヨコハマタイヤのエンジニアから入ったコースに関する情報をお伝えしよう。ちなみにアウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンドへの行き方だが、日本からヨーロッパ、今回はドイツのフランクフルトまで約10時間半のフライトから旅ははじまる。ここでブエノスアイレス行きに乗り換えて13時間、到着したら国際空港から国内線空港にバスで移動した後に国内線で1時間50分ほど飛んで到着となる。乗り換えの待ち時間などを含めると、丸2日がかりの大旅行だ。
そんな長旅を経て現地入りしたエンジニアによると、コースは比較的平坦でコーナーのカント(傾斜)も緩やか。南米のサーキットはコンパクトで狭いことも多いが、ここはコース幅も広めとのこと。WTCCといえば縁石を厭わないアグレッシブな走りが特徴だが、縁石はそれほど高くないが内側の舗装の切れ目やグレーチングの縁にイン側のタイヤを引っかけてしまわないように注意が必要となるようだ。
さらに縁石の内側にはハンプ(突起)が設けられているが、これには2種類あってカマボコ状の高さ15cmほどのものは高さこそあれ連続しているのでそれほど問題にならないものの、5〜8cm程度の低めのもの(左写真で、黄色/黒色の突起)は何本かが一定間隔で並んでいるので、不用意に踏むと車両やタイヤ、ホイールへの入力が大きくなるため、思わぬトラブルの要因となる可能性もありそうだ。
路面そのものは目の細かい舗装で、改修から間もないこともあって傷みは少ない。ただしコーナー部分は磨かれていて、全体的にダスティでもあるため小さなドライビングミスがスピンなどにつながるかもしれない。