前戦・モロッコではミシェル・ニュケア選手とペペ・オリオラ選手が、ともに初優勝を飾ったWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)。勢力図の予想が難しい中で開幕した2013年だが、初戦のイタリアこそイヴァン・ミューラー選手が連勝を飾ったものの、第2大会のモロッコは興味深い結果を残すこととなった。
さらにモロッコではホンダ・シビックが初のポールポジションを獲得。決勝ではニュケア選手の後塵を拝したガブリエレ・タルクィーニ選手だったが、シビックの進化と課題が同時に明らかになったとも言えるだろう。
そんな中でWTCCは再びヨーロッパ大陸へと舞台を戻し、第3大会(第5戦&第6戦)はスロバキアで開催される。2009年にオープンした最新鋭のコースだが、WTCCは昨シーズン初めて行われ、タルクィーニ選手(セアト)とロブ・ハフ選手(シボレー)が勝利をおさめている。
昨年の戦いを振り返ると、予選では面白い展開が見られた。圧倒的な速さを誇っていたシボレー勢らを抑えてノルベルト・ミケリス選手(BMW)がポールポジションを獲得、2番手にはアレクセイ・デュデュカロ選手(セアト)とYOKOHAMAトロフィー勢がフロントローを独占したのだ。リバースグリッド配置となる第2レースなら珍しいことでも無いが、純粋に速さを競い合う予選アタックを経ての第1レースのスターティンググリッドだけに注目したい結果である。
スロバキアリンクの特徴としては、5,922mというWTCCが開催される常設サーキットコースとしては最長のコース距離がある。そしてもうひとつ、そのコースは舗装に特徴がありタイヤの摩耗に対して厳しいというキャラクターであることも記しておきたい。さまざまな大きさの骨材が混ざった舗装で、全般的に路面のグリップは低め。ゆえにマシンをスライドさせて走ることが多くなるため、摩耗についてのシビアリティは高いコースだ。
これは、例えスプリントレースのWTCCであっても、高度なタイヤマネージメントが求められるということである。特にFF(前輪駆動)車ではイン側のタイヤへの負担が大きくなるが、そのことを織り込んだ上で決勝を全体的に組み立てることが必要。追う立場のドライバーとしては、時には抜かないまでも先行車に対してプレッシャーをかけてタイヤを相手に“使わせて”、ここ一番の勝負どころで一気に仕掛けていく、といった戦略も見られるだろう。