2013年のWTCC(FIA世界ツーリングカー)選手権は、この週末にイタリアのモンツァ・サーキットを舞台として開幕を迎える。昨年に続いてモンツァで初戦を迎えるWTCCだが、コースこそ同じながら今年ほど変化の大きい開幕戦も近年には無かったと言えるのではないか。
2004年のシーズン発足から、長くマニュファクチャラー参戦を続けてきたシボレーが、3連覇を花道に昨年限りで活動を終了。3人のドライバー、その去就はストーブリーグ最大の注目点となってきた。
最終的に、昨年悲願のチャンピオンを獲得したロブ・ハフ選手は、Munnich Motorsportに移籍して新たにセアト・レオンのステアリングを握ることに。2005年からシボレー一筋で戦ってきたハフ選手だが、WTCCに参戦する前年はセアト・スポーツUKからETCC(ヨーロッパ・ツーリングカー選手権)に、さらに2003年はSEAT Cupraでチャンピオンを獲得しており、セアトでツーリングカーの腕を磨いてWTCCにステップアップを果たしたとも言える経歴の持ち主なのだ。9年ぶりとなるセアトでの戦いぶりに期待が集まるハフ選手である。
次にイヴァン・ミューラー選手だが、こちらは引き続きシボレー・クルーズ1.6Tを駆って参戦する運びとなった。シボレーのマニュファクチャラーチーム、その母体となってきたイギリスのRMLが参戦を継続。メーカーとしてのシボレーは撤退したものの、RMLが持つ経験と技術で高い戦闘力は維持されることになるだろう。
2009年まではハフ選手がシボレーを、ミューラー選手はセアトを駆って戦っていたWTCC。車種を入れ替えるかたちになる2013年、チャンピオン争いは再び火花を散らしあう展開が期待出来そうだ。
なお、長くシボレーを駆ってきたアラン・メニュ選手は、残念ながらWTCCを離れることとなった。
一方、2012年の日本ラウンドからマニュファクチャラーとしての参戦を開始したホンダは、開幕戦のレースウィークに入ってワークスチーム名称を「カストロール・ホンダ・ワールド・ツーリングカー・チーム」と発表。
ドライバー陣は既報の通り、ティアゴ・モンテイロ選手に加えて大ベテランのガブリエレ・タルクィーニ選手が実戦ドライバーとしてステアリングを握る。昨年来、開発ドライバーとしてシビックの性能を磨き上げてきたタルクィーニ選手、昨年の段階でモンテイロ選手の手により表彰台も獲得しているシビックだけに、こちらもチャンピオン争いでは本命中の本命といえる存在になる。
さらにホンダ・シビックは、昨年のYOKOHAMAトロフィーを制したノルベルト・ミケリス選手も、ステアリングを握る。Zengo
MotorsportがマシンをBMWからシビックにスイッチ、FF(前輪駆動)でのミケリス選手の走りにも注目したいところ。
このほかの主力勢では、トム・コロネル選手がROAL MotorsportからBMW320TCで継続参戦。さらにロシアのLADAが同国の石油会社Lukoilとコラボレーション、昨年スポット参戦したラーダ・グランタの2台体制でマニュファクチャラー登録を行って参戦する。ドライバーはジェームス・トンプソン選手とロシア人のアレクセイ・デュデュカロ選手、初表彰台への期待を背負っての出場だ。
また、フォードの姿は残念ながらWTCCの舞台からは消えてしまったが、ジェームス・ナッシュ選手はbamboo-engineeringから、トム・チルトン選手はRMLから、ともにシボレー・クルーズで参戦する運びとなった。
YOKOHAMAトロフィー勢では、昨年から引き続き参戦する選手/チームも多く、一方では期待のニューフェイスも新たな挑戦を開始する。そんな中、昨年のランキング3位でタイトル獲得の経験も持つステファノ・ディアステ選手は、PB
Racingという自らのチームを立ち上げての参戦となった。
昨年は若手から大ベテランまでが接戦を展開したYOKOHAMAトロフィー争い、今年も最終戦まで目を離せない展開が続くことになりそうだ。