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JRC Round 4
開催日
2013年7月5日-7日
開催場所
北海道・洞爺湖町 近郊
天候/路面
Day 1 : 晴れ
Day 2 : 晴れ
グラベル(非舗装路面)
総走行距離
423.80km
SS総距離
80.42km (14SS)
得点係数
1.5
(非舗装路 50km〜100km)
参加台数
50台(OPENクラス含む)
(ヨコハマタイヤ装着車 22台)
>> Report (レポート)  >> Result (競技結果)  >> Detail (カテゴリー紹介)
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2013年の全日本ラリー選手権、前半のグラベル三連戦を締めくくる戦いとして、「2013 ARKラリー洞爺」が開催された。北海道洞爺湖町をホストタウンとして行われるのは3年目、温泉街の一角に設けられたサービスパークには観光客も多くが足を運んで賑わった。

今回は洞爺湖町を基点に、Day1は洞爺湖の西側にあたる豊浦町方面に4本のSS(スペシャルステージ)を設定し、サービスをはさんで2ループする。Day2は湖の北側に舞台を移して、3本のSSを2ループするというアイテナリー。
ただ、SSの回数はDay1が多いものの、合計距離はDay1の35.04kmに対してDay2のほうが45.38kmと長い。さらにDay2には今大会最長となる「LAVENDER LONG(10.16km)」が2回設けられ、1回目は朝一番のオープニングステージとなっている。

7月5日(金)、19時からサービスパークでセレモニアルスタートが催されたが、小雨の中でのスタートとなった。山のステージも雨の可能性が高く、火山灰を含んだ路面は濡れるとスリッピーになりやすいので状況が気になるところ。

一夜明けて天候は回復、青空の下で競技が本格的にスタート。しかし、やはりSSも雨の影響か、完全に乾いておらず土埃の舞う量も少なめだ。また、路面はフラットで走りやすいが浮き砂利も多く、先頭や2番手ゼッケンはやや不利な立場となる。
そのため、ゼッケン1をつけるポイントリーダーの柳澤宏至選手/中原祥雅選手組や、前戦・福島でADVAN A053のデビューウィンを飾っているゼッケン2の奴田原文雄選手/佐藤忠宜選手組は、オープニングのSS1「SCALLOP 1(4.53km)」こそステージベストを桑田幸典選手組に譲ったものの、その差は1秒以内と小さい。

SS2「SEA TANGLE 1(6.72km)」になると奴田原選手組がステージベスト、柳澤選手組が2番手で続いてアッサリと逆転、早々にADVAN A053を装着する2台がワン・ツー体制を構築する。
SS3「PLUM 1(3.21km)」、SS4「PORK 1(3.06km)」と、今回では比較的短いステージがセクション1の後半で続くが、SS3を奴田原選手組が制すると、SS4ではランサー・エボリューションIXにADVAN A053を装着するベテランの大嶋治夫選手/井手上達也選手組が奴田原選手組を1.2秒抑えてベストを奪取、ADVAN A053勢が主役を演じる展開に。

サービスをはさんでセクション2に進んで2ループ目、さきほどのオープニングはベストを譲った「SCALLOP」の2走目は奴田原選手組がキッチリと桑田選手組を1.5秒上回るベストで貫祿を見せると、続くSS6「SEA TANGLE 2」も制してこの大会4本目のステージベストを奪取。
しかし、一方で柳澤選手組はSS6で電気系トラブルに見舞われ、無念のデイリタイアを喫してしまった。
奴田原選手組はDay1の残る2本をともに2位でフィニッシュ、勝田範彦選手組に11.4秒差をつけてトップで折り返し、Day1の満点デイポイントを獲得した。

Day2は早朝5時30分に競技がスタート。前日に続いて好天に恵まれた中、羊蹄山を望むルスツ、真狩方面のステージへと各車が向かう。
オープニングは大会最長の「LAVENDER LONG」。その1本目でベストを刻んだのは前日のトラブルを修復して戦線に復帰した柳澤選手組。同じスバルWRXを駆る勝田選手組を3秒上回り、ADVAN A053の高いポテンシャルを見せつける。そして、奴田原選手組は勝田選手から3秒後ろの3番手。

だが、この時点で奴田原選手組のマシンは駆動系にトラブルが生じてしまっており、走るほどに症状が悪化してしまっていた。SS10「SETANARIA 1(8.15km)」は4番手に留まった奴田原選手組、勝田選手組との差は0.2秒にまで詰まってしまう。
そして残念ながらSS11「AZALEA 1(4.38km)」で首位の座を明け渡してしまったが、奴田原選手組は満身創痍の状態にあるマシンをフィニッシュまで運んで2位を獲得した。また、Day2は柳澤選手組がトップとなり、デイポイントはADVAN A053を装着する2台がそれぞれの満点を獲得して速さを反映する結果となった。

JN3クラスはバラエティ豊かな車種構成。各車が特徴を活かしながら接戦を演じ、その中でカローラレビンを駆る山口清司選手/島津雅彦選手組が表彰台争いの一角を占めた。リタイアやトラブルに見舞われる車が続出する中でDay1をノートラブルで手堅くまとめて3番手で折り返す。
Day2の後半で惜しくもポジションを1つ下げたが、タフなラリーを4位でフィニッシュしてしっかりポイントを積み重ねた。

JN2クラスは前戦・福島でグラベル(非舗装路)ラリーの初優勝を飾った、トヨタ・ヴィッツの川名賢選手/小坂典嵩選手組が好調な走りを北海道でも披露する。
オープニングステージでベストを刻むと、そこからは後続をグングン引き離してDay1を終わってみれば全8SSのステージベストを独占する韋駄天ぶり。総合順位でもJN3のトップより上となる10番手につけて圧倒的な速さを見せた。Day2に入っても大量リードを背景にペースをコントロールしつつも6本中3本のステージでベストタイムをマーク、ライバルを寄せつけない走りでグラベルラリー2連勝を飾ることに成功した。

JN1クラスは第2戦・久万高原を制したマツダ・デミオの宇田圭佑選手/石川恭啓選手組がDay1を2番手であがった。Day2に入って逆転の機会を伺いながらチャージをかけたが、惜しくもコースオフを喫してリタイアとなってしまう。
5台が参戦するJN1もサバイバルな様相を色濃くしていく中、ヨコハマタイヤ勢ではFF(前輪駆動)のダイハツ・ストーリアを駆る葛西一省選手/安田弘美選手組が粘りの走りを見せる。Day2にはスピンから復帰の際にコースオフしかけるというハプニングもあったが、なんとかコースに留まって力走を続け、2位でフィニッシュすることに成功した。
 
Driver's Voice
奴田原文雄 選手
 【今回の成績 : JN4クラス 2位】
Day1の終盤にちょっとタイムが伸び悩んでいたのですが、その時点でメカニカルなトラブルの疑いを考えるべきだったと反省しています。厳しい状況となった中で、2位でフィニッシュしてポイントを獲得出来たことは大きいと思います。ただ、本来なら勝てるラリーを落としてしまったことは、シリーズの戦いを考えると痛いですね。
次からはターマック(舗装路面)ラリーが2戦続きますので、まずはモントレーを昨年に続いて勝てるように気持ちを切り替えていきます。
川名賢 選手
 【今回の成績 : JN2クラス 優勝】
今回は「最低でも2位以上」を目標に臨みました。洞爺は一昨年が3位、昨年が2位と来て今回は優勝出来たので良かったです。
初日は1つ同秒がありましたが全てのステージでベストタイムをマークできました。でも、大差をつけたら周りのみなさんから「調子に乗るなよ!」と言われて……(笑)。Day2はハイスピードなステージだということを意識しつつ、40秒差を大切にしていけば大きなミスをしなければ大丈夫ということで行きました。Day1が硬い路面だったのに対して、Day2はフカフカの場所も多かったので、その違いに気をつけながら走りましたね。
Day1の1ループ目で大きく差をつけられて、必要以上に緊張することもなく戦えました。ただ、終わってみたらDay2で3本のステージベストを落としたので、本当は全ベストも狙っていたので悔しい気持ちもありますね。
シリーズチャンピオン獲得に向けては「Rally Hokkaido」に焦点をあわせつつ、ターマック2戦もしっかりポイントを積み重ねていけるように頑張ります。
葛西一省 選手
 【今回の成績 : JN1クラス 2位】
FFのストーリアでは上位進出も難しいので、5位狙いの完走を目標にしていました。しかし、上がどんどんリタイアして気がつけば2台が残るだけの展開になっていました。しかも、トップを走る松岡(竜也)選手のマシンはミッションの調子が完璧ではないということで、「これは、もしかしたら……」と、」色気が出てきましたね(笑)。
洞爺は道も良くて気持ちよく走れるので調子よく行っていたらスピンしてしまって……。向きを変えるためにUターンしようとしたら、ちょっと目測を誤ってコースから少しはみだしてしまいました。それでもなんとか復帰して完走できたのは運が良かったかもしれません。実はこれまで、全日本ラリーの完走率はとても高いんですよ!
 
TOPICS
洞爺湖町は、北海道でも屈指の温泉街として知られており、多くのホテルや旅館が軒を連ねている。

この地をホストタウンとして3回目の開催となった「ARKラリー洞爺」だが、今回は各ホテルや旅館にも大会の開催にあわせてに公式プログラムが配られた。
このプログラムは多くのホテルや旅館でフロントに置かれ、観光で訪れた行楽客に配布されるなどしていた。また、温泉街のコンビニエンスストアや飲食店にも大会を告知するポスターが掲出され、地域全体で大会を盛り上げようという意気込みが感じられると同時に、地元にもラリーが根付いてきていることを実感させた。

金曜夜のセレモニアルスタートは残念ながら小雨模様となってしまったが、それでも浴衣姿の温泉宿泊客が見学に足を運ぶなど、洞爺湖地域で毎年開催されるビッグイベントとして定着し、ますます盛り上がっていくことを期待される内容であった。
 
AREA GUIDE
2008年の北海道洞爺湖サミット開催から5年が過ぎたが、国内外から多くの観光客が足を運んでいる洞爺・ニセコ地域は北海道を代表するリゾートエリアだ。

冬場はスキーやスノーボードなどのウィンタースポーツが盛んだが、夏場は洞爺湖や有珠山、昭和新山、羊蹄山といった風光明媚なスポットを巡るコースが人気を集めている。

今回のラリーでは湖の北側にあたる留寿都(るすつ)村や真狩(まっかり)村にもステージが設けられた。

留寿都村は夏は遊園地、冬はスキー場で人気の「ルスツリゾート」をはじめとしたスポットが点在するリゾートヴィレッジ。
真狩村は歌手・細川たかしさんの出身地としても全国的に知られており、河川公園にある銅像(写真)は数々のヒット曲も流れる“歌う銅像”として幅広い世代の観光客が足を運んでいるスポットだ。
 
TECHNICAL INFORMATION
ADVAN A053がデビューウィンを飾った前戦・福島に比べて、洞爺はアベレージスピードが高くADVAN A053にとってはより得意とするステージが多い。道はDay1は硬質フラットダートが主体だが、Day2はやや柔らかめの箇所も多くて特に2ループ目では深くワダチが掘れることもあり難易度の高いラリーだ。

惜しくもマシントラブルによって奴田原選手組は連勝を飾れなかったが、Day1は4本のステージベストを奪取。一夜明けたDay2は柳澤選手組がデイ成績でトップを奪い、結果としてデイ別の順位は両日ともにADVAN A053を装着するヨコハマタイヤ勢が占めることとなった。

最終結果は残念だったが、2日間の大会を通じてADVAN A053の装着車種を選ばない優れたポテンシャルが実証されたと言える。
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