今回、F3-Nクラスに初お目見えした武平良介選手(右写真)は、フォーミュラでのレース歴はわずか2年。
しかしながら、デビューイヤーの2011年には全日本F3選手権と同様にヨコハマタイヤがワンメイクサプライヤーをつとめるSuper-FJ・もてぎシリーズを制し、また日本一決定戦で優勝。ジャパンスカラシップシステムによるF4スカラシップでステップアップの機会をつかみ、2012年には東日本シリーズでチャンピオンを獲得するともに、コンストラクターズ日本一決定戦も制覇している。
今年は開幕からF3参戦を目指していたが、条件が整わず。だが、これほど非凡なドライバーを埋もれさせるわけにはいかないと、KCMGがお膳を整え、もてぎ大会だけの限定ではあるものの、急きょ出場が決定した。
「事前のテストはなく、ぶっつけです」と語るものの、初走行となる金曜日の練習走行1回目からミスなく走り、2回目にはなんと高星明誠選手に続く2番手タイムをマークして関係者を驚かせた。「第一印象は」という問いに対し、武平選手はこう答えている。
「とにかく速いです(笑)。ベスト出した時も、自分のコントロール内ではなく、『エイ、行っちゃえ!』みたいな。いけたらいけたという感じでした。でも、1秒落ちですけどね。たぶんまた予選でも『行っちゃえ』って感じになるんでしょうね」
臆することもなく、かつ気負うことなく、といったところか。絶えず笑顔で語るあたり、与えられたチャンスに結果で応えることも重要だが、何より楽しんで、なおかつ自分を磨くことを重視しているのでは、という印象を受けた。というのも、過去のレースにもそういった姿勢を感じていたからだ。
実際のレース結果はというと、本文でも触れたとおり3戦とも表彰台に上がり、第4戦では一瞬とはいえ、トップも走行。
また、ナニン・インドラ・パユーングに何度も攻められながら、そのつど逆転を拒んでいたのは、もてぎでの豊富なレース経験でどこをどう抑えれば、抜かれないかを熟知していたからと察せられる。そう考えると、十分すぎる結果を残せたのではないだろうか。
「いい週末になりました。最後の最後にあまりいいレースができなかったのが、もったいなかったですが、実りはいっぱいありました。まだ足りていない部分はいっぱいありますが、次の岡山も走りたいという気持ちがすごく強くなりました。岡山はまだ走ったことがないし(笑)」
もちろん今後の計画は白紙ではある。だが、今回見せた走りは、誰もが再び見たいと思ったはず。いや、その先の次元も。再チャンスの機会が与えられることを祈りたい。