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Japanese F3 Round 3&4&5
開催日
2013年5月11日-12日
開催場所
ツインリンクもてぎ(栃木県)
天候/路面
第3戦 : 雨/ウェット
第4戦 : 晴れ/ドライ
第5戦 : 晴れ/ドライ
決勝周回数
第3戦 : 14周
第4戦 : 14周
第5戦 : 20周
(1Lap = 4.801km)
参加台数
13台
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鈴鹿サーキットに続く、全日本F3選手権の第2ラウンドの舞台はツインリンクもてぎ。この週末は土曜日の午後に1レース、そして日曜日の午前中と午後に1レースずつ、つまり「1大会3レース」として開催される。
公式予選は土曜日の午前中に2回行い、それぞれ第3戦と第4戦のグリッドを決定。そして、第3戦の決勝結果順に、第5戦のグリッドが決まることとなっている。

鈴鹿では勝田貴元選手と中山雄一選手が優勝を分け合ったが、ふたりはTOM'Sでチームメイト。またトヨタ3S-GEエンジンのワンメイクであるF3-Nクラスは、ルーキーの高星明誠選手が連勝し、それぞれのクラスで強さが明確になった感もあった。これが、もてぎでも継続されるのか、あるいは変化が見られるのか大いに注目された。
ちなみに、この週末は予報で天候の悪化が告げられていたとおり、今季初めて本戦でウェットタイヤが用いられることとなった。ヨコハマタイヤが供給するコントロールタイヤの性能を、濡れた路面で、誰が最も引き出せるのかも気になるポイントだ。

ツインリンクもてぎにおける、F3のレコードタイムは1分45秒269。これは現在スーパーフォーミュラやSUPER GTを戦うジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手が保持していたことから明らかなように、2005年以来破られていない記録だった。
だが、それも金曜日に行われた公式練習の1回目に中山選手が1分45秒185をマークして、あっさりと更新。そればかりか2回目にはさらに縮めて1分44秒860を記すまでに。非公式ながら、コンマ5秒のタイムアップが果たされた。2番手は松下信治選手ながら1分45秒532で、3番手は千代勝正選手の1分45秒617。いかに中山選手が他を圧倒していたかが分かる。

幸いにして土曜日になっても、予選までは何とか雨は降らずに済み、ドライコンディションが保たれた。第3戦の予選スタート時の気温は22度、そして路面温度は27度。
アウトラップを含む2周だけでタイヤのウォームアップを完了し、まずはトップに立ったのは勝田選手だった。しかし、次の周には中山選手が逆転。なんと1分44秒400を叩き出す。負けじと勝田選手もさらにコースを攻め立てて1分44秒450にまで肉薄する。3番手は野尻智紀選手で1分44秒531、そして松下選手が1分44秒653で、ここまでが1分45秒の壁を破る。

続いて行われた第4戦の予選は、気温が20度、路面温度は24度にまで下がって、さらにコンディションは向上。同じように2周のウォームアップの後、1分44秒235をマークした中山選手は、続いてのアタックで1分44秒078にまで短縮を果たす。これに続いたのはまたしても勝田選手ながら、1分44秒488がベストと逆にタイムダウン。そして松下選手と野尻選手が順位を入れ替え、3〜4番手につけることとなった。

一方、F3-Nクラスでも高星選手が2戦ともトップ。1分47秒583から1分47秒351に第4戦ではタイムアップを果たし、第3戦は小泉洋史選手が、そして第4戦はナニン・インドラ・パユーング選手が2番手につけるも、それぞれコンマ5秒以上の差をつけられていた。
「2回目の最後はセクタータイムがずっとベスト〜ベストで来ていたのに、黄旗が出ていたので、それがなければ46秒台に入っていたかもしれません」と高星選手。
同じく今年トップを一度も明け渡していない中山選手も「昨日からのグリップの上がり方が想像と違っていたので、1回目はあまりタイムを伸ばせなかったんですが、2回目はもっと攻めて、それなりのタイムが出ました」と語っていた。

この予選が終わった後に、いよいよ雨が降り出し、第3戦決勝レースはウェットコンディションの中で行われた。気温は15度、路面温度は18度まで下がったことで条件はさらに過酷に。
スタートを決めたのが中山選手、そして5番手だった千代選手で、ひとつポジションをアップ。雨足はそれほど強くなかったとはいえ、跳ね上がる水しぶきが大きく、早々とそれぞれ単独走行となる中、ひとり視界を遮られずに走行する中山選手が、オープニングラップだけで1秒半のリードを奪い、一気に独走態勢に。そのまま難なく逃げ切って、この週末、まず1勝目を挙げた。3位は野尻選手が獲得し、今季初めて表彰台に立った。

F3-Nクラスでも高星選手がスタートを決め、一時は総合でも6番手を走行。3周目に先行を許すも、クラストップは揺るぎなく最後まで危なげない走りを見せた。序盤のレースを盛り上げたのは、これがF3初レースとなる武平良介選手。4番手からスタートで一気に2番手まで順位を上げる。しかし、10周目のビクトリーコーナーで、コースを横切る川に足を取られてスピン。これでインドラ・パユーング選手に抜かれるも、最後まで3番手は死守した。

日曜日になると天候は回復。青空の下で第4戦が行われた。気温こそ予選とそう変わらぬ22度ながら、路面温度が41度まで上昇。
これだけの違いにも豊富なデータを誇るTOM'S勢は、セッティングも完璧にマッチして、ふたりでまた後続を引き離すことに。が、スタートを完璧に決めたのは勝田選手の方。1コーナーで並ぶも中山選手もしっかりと踏ん張り、そのままの状態で飛び込んだ3コーナーで、ようやく頭ひとつ出すことに成功。
そこから先は自慢の逃げ足で、勝田選手を寄せつけず。またスタートで野尻選手がひとつ順位を上げるが、2周目の5コーナーで松下選手が抜き返し、あとは上位陣のクルージングが披露された。松下選手はF3で初の表彰台へ。

F3-Nクラスでは高星選手がスタートに出遅れ、絶妙のダッシュを見せた小泉選手に抜かれるが、すぐに抜き返す。そのため、1周目のリードはコンマ6秒に過ぎなかったが、もう1周して戻ってくると2秒に拡大。
そのまま逃げ続けたのとは対照的に、小泉選手と武平選手、インドラ・パユーング選手による2番手争いが激しくなる。特にインドラ・パユーング選手に何度も並ばれた武平選手だったが、そのつどガードを固めて逆転を許さず。だが、ヒートアップのあまり、13周目のV字コーナーで3台のラインがクロス。割を食ってコースアウトした小泉選手が順位を落とす羽目に。これで武平選手が2位、インドラ・パユーング選手が3位につけることとなった。高星選手は約20秒差の圧勝に。

第5戦は引き続き好天の下で行われ、4時過ぎのスタートだったこともあり、日も傾いて気温はやはりそう変わらぬ21度ながら、路面は34度にまで下がる。第3戦の結果によってグリッドは決められ、ポールポジションは中山選手。これに勝田選手、野尻選手、千代選手が続くことに。また、このレースは全車がニュータイヤを装着して挑んだ。
今度は中山選手がスタートを決めて、勝田選手を寄せつけず。そして、その後方では千代選手がひとつ順位を上げる。1周目こそTOM'Sコンビに食らいついていた千代選手ながら、パドルシフトにトラブルを抱え、シーケンシャルシフトで挑まざるを得なかったため、思うようにペースが上げられず、じわじわと遅れを取る羽目に。じわじわとは勝田選手にも当てはまり、ファステストラップを5周目まで連発した中山選手に突き放されてしまう。その結果、中山選手は4連勝を達成し、TOM'Sは5戦連続でワンツーフィニッシュ。そして千代選手が第2戦以来となる表彰台に立った。

F3-Nクラスでは高星選手がそつなくスタートを決めたが、武平選手がジャンプアップを果たしたばかりか、5コーナーではいったん前に出ることに。S字で抜き返されてしまうが、そのアグレシブな姿勢は初レースとは思えぬほどだった。
だが、2周目の90度コーナーでインドラ・パユーング選手に抜かれた後はポジションキープに徹した感も。一方、トップの高星選手はそのまま逃げ続けることが予想されたが、マシンバランスの悪化によって終盤にはインドラ・パユーング選手に迫られるも、何とか1秒差で踏み留まり、開幕5連勝を達成した。
 
Driver's Voice
中山雄一 選手
 【今回の成績 : 第3戦 優勝 / 第4戦 優勝 / 第5戦 優勝】
予選は2回ともポールが獲れて、コースレコードも更新できたので、すごく嬉しく感じています。これも新しいエンジンのおかげであり、またバランスのいいマシンを与えてくれたチームのおかげです。
雨の第3戦は僕だけ視界良好の中、自分に迷いなく走ることができたと思います。第4戦はスタート直後の加速が良くなくて、チームメイトに並ばれてしまいましたが、クリーンなバトルができましたし、その後はしっかりと逃げ切ることができました。第5戦は路面状態の変化なのか、ニュータイヤを履いた影響なのか、正直レースのラップには納得していないんですが、それでも勝てて良かったです。スタートも良かったですしね。実は終盤になってクラッチに違和感があって、少し追いつかれたけれど、序盤にあれだけのマージンを築けていたので、何とか1位で帰ってくることができました。
次の岡山は新エンジンで走ったことがないんですけれど、鈴鹿と今回もてぎを走ってマシンとのバランスがすごくいいのが分かったので、きっと微調整で済むでしょう。このまま勢いを保ち続けたいと思います。
高星明誠 選手
 【今回の成績 : 第3戦 7位(F3-Nクラス優勝) / 第4戦 7位(F3-Nクラス 優勝) / 第5戦 7位(F3-Nクラス 優勝)】
第4戦でスタートを失敗したのですが、第5戦では課題をクリアできたと思います。いったん抜かれはしたのですが、すぐに抜き返すことができましたから。
雨の第3戦であんまり離せなかったのが悔やまれるんですが、F3では初めての雨でしたし、どうなるんだろうという不安もある中での走行だったんですが、辛いのはみんな一緒だと、スピンしないよう心掛けては知りました。こうやって経験を重ねて、自分の引き出しも増やせたんじゃないでしょうか。第4戦ではスタート以外完璧なレースができたと思うんですが、第5戦では中盤以降車のバランスが崩れてしまって……。ただ、苦しかったんですが、その中でも自分のベストは尽くせたと思います。本当に苦しかった分だけ、勝てて良かったとよけいに思いますね。
次回の岡山って実はレースしたことはないんですが、事前に練習させてもらって手応えも得られていますから、また連勝したいと思っています!
 
TOPICS
今回、F3-Nクラスに初お目見えした武平良介選手(右写真)は、フォーミュラでのレース歴はわずか2年。

しかしながら、デビューイヤーの2011年には全日本F3選手権と同様にヨコハマタイヤがワンメイクサプライヤーをつとめるSuper-FJ・もてぎシリーズを制し、また日本一決定戦で優勝。ジャパンスカラシップシステムによるF4スカラシップでステップアップの機会をつかみ、2012年には東日本シリーズでチャンピオンを獲得するともに、コンストラクターズ日本一決定戦も制覇している。

今年は開幕からF3参戦を目指していたが、条件が整わず。だが、これほど非凡なドライバーを埋もれさせるわけにはいかないと、KCMGがお膳を整え、もてぎ大会だけの限定ではあるものの、急きょ出場が決定した。

「事前のテストはなく、ぶっつけです」と語るものの、初走行となる金曜日の練習走行1回目からミスなく走り、2回目にはなんと高星明誠選手に続く2番手タイムをマークして関係者を驚かせた。「第一印象は」という問いに対し、武平選手はこう答えている。

「とにかく速いです(笑)。ベスト出した時も、自分のコントロール内ではなく、『エイ、行っちゃえ!』みたいな。いけたらいけたという感じでした。でも、1秒落ちですけどね。たぶんまた予選でも『行っちゃえ』って感じになるんでしょうね」

臆することもなく、かつ気負うことなく、といったところか。絶えず笑顔で語るあたり、与えられたチャンスに結果で応えることも重要だが、何より楽しんで、なおかつ自分を磨くことを重視しているのでは、という印象を受けた。というのも、過去のレースにもそういった姿勢を感じていたからだ。

実際のレース結果はというと、本文でも触れたとおり3戦とも表彰台に上がり、第4戦では一瞬とはいえ、トップも走行。
また、ナニン・インドラ・パユーングに何度も攻められながら、そのつど逆転を拒んでいたのは、もてぎでの豊富なレース経験でどこをどう抑えれば、抜かれないかを熟知していたからと察せられる。そう考えると、十分すぎる結果を残せたのではないだろうか。

「いい週末になりました。最後の最後にあまりいいレースができなかったのが、もったいなかったですが、実りはいっぱいありました。まだ足りていない部分はいっぱいありますが、次の岡山も走りたいという気持ちがすごく強くなりました。岡山はまだ走ったことがないし(笑)」

もちろん今後の計画は白紙ではある。だが、今回見せた走りは、誰もが再び見たいと思ったはず。いや、その先の次元も。再チャンスの機会が与えられることを祈りたい。
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