今年からF3はエンジンに関するレギュレーションが変更され、排気量の上限こそ2000ccのままながら、リストリクター径が2mm拡大されて28mmになり、燃料の直接噴射が可能に。また従来は量産エンジンのみ使用が許されたが、今年からオリジナルエンジンの開発が認められることとなった。そのため、M-TECは新設計の「MF204D」を、また戸田レーシングも同様に「TR-F301」を製作。一方、トムスはノアやヴォクシーに積まれる、量産エンジンをベースに開発した「TAZ31」を製作してきた。
それぞれ最大出力など、数値などは正式に発表されていないが、わずか2mmとはいえリストリクター径の拡大効果は大きく、このオフに公式テストが2回行われたが、最初の富士では昨年のポールタイムが、さらに次の鈴鹿ではレコードタイムも更新された。まだまだ開発の最中であったこともあり、より進んだ今回は大幅な更新さえ予感させたものだ。
実際、公式練習が行われた金曜日にはトムスエンジンを使用する、中山雄一選手が従来のレコードを1秒以上も上回る1分51秒台をマーク。関係者を驚かせたものだが……。予選の行われる土曜日は温度も上がり、スーパーフォーミュラや二輪も走ったことで路面状態が悪化してしまったよう。それでも1回目の予選で、やはり中山選手が1分52秒032をマークしてレコードを更新。チームメイトの勝田貴元選手、M-TECエンジンを使用する清原章太選手も更新に成功する。
「やはりパワーは確実に上がっています。ただ、重量が増している分、運動性能が落ちる方向にはあるんで、ちょっとでもコンディションが変わるとセッティングも変えなきゃいけないんで、そのデータが不足している分、まだまだ完全ではないかな、とでも、どんどんいい方向に来ています。特にうちのエンジンは他メーカーに比べてトラブルが少なく、みっちり走り込めているんで、こういう結果、こういうタイム差になったのかな、という感じです」と中山選手。
今はトムスエンジンが一歩リードながら、開発が進むごと横一列の性能になっていくのではないだろうかと、感じずにはいられなかった。