最終戦のツインリンクもてぎは、コンディションが読み難いレースのひとつです。なぜなら、事前テストが9月中旬に行われるのですが、まだこの時期は残暑が厳しい真っ只中。レースは11月に入ってからですからテスト時とレース時のコンディション、特に気温や路面温度に大きな違いが出てきます。これに対しては、テストで得られた結果をレース本番で使うタイヤに反映させるために「難しいアジャスト」を要する一戦であると言えるでしょう。
ところでツインリンクもてぎは、一昨年と昨年の2回にわけて路面改修が行われました。一昨年はレースウィークの大半が雨に祟られましたが、昨年はドライコンディションで行われた予選でほとんどのマシンがコースレコードを更新しています。これは、路面改修の影響が大きかったことの現れでしょう。
ただ、以前に比べて路面のグリップが上がっているのは事実でしょうが、特性そのものが大きく変わったという印象は受けていません。ですからタイヤ開発に対しても、路面改修はそれほど影響していませんね。
コースとしては、激しくストップ&ゴーが繰り返されるレイアウトなので、ブレーキング性能やトラクション性能が高いことは重要な要素となります。ただ、ツインリンクもてぎはタイヤへの負荷についてはそれほど高いコースではなく、特別にタイヤの強化が必要ということはありません。
さて、前戦のオートポリスではではGT300クラスでヨコハマタイヤ装着車が表彰台を独占しました。これはタイヤの性能がチームの戦略に、しっかり応えられたことによる結果だと考えています。BOP(バランス・オブ・パフォーマンス)の要素もFIA
GT3車両にとっては非常に大きく、見直しが行われた最終戦についてはかなり厳しいレース展開になると考えています。とは言っても、もちろん全力でレースに臨むことに変わりはありません。
最終戦ということでタイトル争いももちろんですが、一年の集大成となる一戦です。振り返ってみると……、一年過ぎるのが早すぎますね(笑)。まずは、“ガチンコレース”となるツインリンクもてぎで、我々のポジションを再確認したいと思っています。
また、当然ながら他のタイヤメーカーをキャッチアップするべく日々タイヤ開発を行っているのですが、まだまだ努力が足りないようです。2014年はGT500のマシンが大きく変わりますが、GT500もGT300も大きなステップアップを出来るように全力でタイヤ開発を推進したいと思います。
最後に、レースファンの方からいただいた質問にお答えしましょう。
「ドライバーやチームは勝負の前に“願掛け”や“げん担ぎ”をすることもあるようですが、タイヤエンジニアは何かしていますか?」という質問をいただきました。
私個人については、願掛けや神頼み的なことはプライベートではすることもありますが、仕事に関しては結構ドライですね。仕事として「やったことの結果が出るだけ」というような感覚です。
でも、神頼みと言えるかは微妙ですが、「雨が降れ〜!」とか「太陽が出ろ〜!」なんていうのは、良くありますね(笑)。
■使用するタイヤサイズ
(GT500) 330/710R18、330/710R17
(GT300) 330/710R19、330/680R18、300/680R18、330/710R18、320/710R18、300/650R18、280/650R18