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SUPER GT Round 5
開催日
2013年8月17日-18日
開催場所
鈴鹿サーキット (三重県)
天 候
晴れ
路 面
ドライ
決勝周回数
173周
(1Lap = 5,801m)
参加台数
38台
(ヨコハマタイヤ装着車 18台)
>> Report (レポート)  >> Result (競技結果)  >> Detail (カテゴリー紹介)
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今年で第42回を数える伝統のイベント、「鈴鹿1000km」。炎天下で繰り広げられるシリーズ最長となる1000kmもの長丁場の戦いが、今年も盛大に開催された。

路面温度50℃に達しようかという真夏の日差しが照りつける8月18日の土曜日。夏休みとあって大勢の家族連れがスタンドに陣取る中で公式予選が行われた。
GT500クラスにヨコハマタイヤとともに参戦する「WedsSport ADVAN SC430」と「D'station ADVAN GT-R」は、ともにミディアムタイヤで臨んだが惜しくもQ2への進出は叶わず。
一方のGT300クラスでは、Q2に進出した13台のうち9台をヨコハマタイヤ勢が占める。最上位となる3位を獲得したのは「Exe Aston Martin」の安岡秀徒選手で今季最上位。また、5番手には「LEON SLS」の黒澤治樹選手が、さらに「グリーンテック SLS AMG GT3」の城内政樹選手、「OKINAWA-IMP SLS」の竹内浩典選手が続き、メルセデス勢が揃って上位につける結果となった。

一夜明けて日曜の鈴鹿サーキットは、朝の公式練習の直前には雨がぱらつくなど、雲の多い空もようで幕を明けたが、その雲もすぐに消え去り、173周の決勝がスタートする午後零時半の段階では、気温は34℃、路面温度47℃という暑さとなった。

GT500の「WedsSport ADVAN SC430」はアンドレ・クート選手、「D'station ADVAN GT-R」は安田裕信選手がスタートドライバーを担当。クート選手は13周目に前を行く「DENSO KOBELCO SC430」を捕らえ、11番手とひとつポジションを上げる。
その後はライバル勢の接触による後退やピットインによりポジションを上げ、「WedsSport ADVAN SC430」は5番手、「D'station ADVAN GT-R」は8番手だった34周目に、ともに最初のルーティンピットを行い、それぞれ荒聖治選手、ミハエル・クルム選手へと交代する。

2回目のルーティンピットが近づいた66周目、車両火災の発生によりセーフティーカーが導入される。「D'station ADVAN GT-R」はこの周にピットへ入り、安田選手に再びステアリングを託す一方、「WedsSport ADVAN SC430」はコース上に留まりし、69周目に上位陣と同じタイミングでピットイン。
こちらもクート選手に交代したが、このピットインのタイミングにより、73周目のレース再開時に「WedsSport ADVAN SC430」は5番手に躍進することに。逆に「D'station ADVAN GT-R」は、SCラン中の72周目に右フロントの足周りにトラブルが発生しピットイン、長い修復を強いられ、81周目にレース復帰を果たすも10周以上のラップダウンとなってしまうなど、明暗が分かれた。

そして、このセーフティカー中の規定違反でペナルティを受けた車両が出たことから、「WedsSport ADVAN SC430」はさらにポジションを上げ4番手に。クート選手は5〜6台での激しい4番手争いを繰り広げるが、ハイペースで周回を続け徐々に単独での4番手走行に持ち込んで行くと、106周目に暫定トップに浮上。そこで3回目のピットインを敢行、4番手に再びポジションを下げるも、荒選手に後半戦のステアリングを託す。

荒選手は3番手を奪わんとする力走を見せていたが、132周目のS字で周回遅れをかわそうとした際、コーナー立ち上がりで当該車両が予想外に膨らんだためにラインを外さざるを得ず、汚れた路面に乗ってコースオフ。レース復帰を果たすも6番手に後退することに。
それでも粘り強くレースを続け、最後は140周目のピットインでステアリングを引き継いだクート選手が6位でのフィニッシュ、SUGOに続いてのポイント獲得となった。
なお、「D'station ADVAN GT-R」は、106周目に再びトラブルに見舞われてヘアピンでコースアウトを喫してしまい、ピットに帰還もリタイアとなってしまった。

GT300クラスの決勝では「S Road NDDP GT-R」の星野選手、そして「Exe Aston Martin」の阪口良平選手の激しい2番手争いが、スタート直後のレースを大いに盛り上げた。しかし、15周目を過ぎたあたりから星野選手が引き離しに入り、逆に阪口選手はドライバー交代直前にエンジンの1気筒が機能しなくなり、ペースを上げられない状態になってしまう。

「S Road NDDP GT-R」は燃費の良さも活かし、トップより最初のピットストップを3周多い、31周目に行ったことにより暫定ではあったものの、一時はトップを走行。しかし、意外にも星野選手から交代した佐々木大樹選手の前には「GSR初音ミクBMW」の姿があった。20周目に片岡龍也選手に代わった、助っ人ドライバーのヨルグ・ミュラー選手が視界の開けた場所でハイペースでの周回を重ねていたためだ。それでも「GSR初音ミクBMW」が48周目に谷口選手と代わると、再び「S Road NDDP GT-R」は2番手に。

ところが、それから間もなく行われたセーフティカー・ランが、流れを大きく変えてしまう。
62周目にすかさずピットに入った「S Road NDDP GT-R」ながら、ピットロードエンドで足止めされた上、SCボードが提示されてからのピットインだったことからSC規定違反として、90秒ストップのペナルティを科せられ、勝負権を失ってしまう。
逆にSCラン中のステイアウトが功を奏し、再び「GSR初音ミクBMW」が2番手に。他のチームとはタイミングが異なるため、ピットインの度に順位は落とすが、最後のドライバー交代を134周目に終えて谷口選手がコースに戻ると、やはり2番手を走行していた。

それとタイミングをほぼ同じくして、トップを走る「SUBARU BRZ R&D SPORT」のペースが鈍る。右のリヤフェンダーが損傷し、タイヤに干渉するようになっていたためだ。そこで「SUBARU BRZ R&D SPORT」はゴールまで20周となる141周目、修復のためピットイン。これで、トップに谷口選手が浮上する。マージンは約4秒。しかし、ラップタイムで1秒以上、特にストレートスピードに優る「SUBARU BRZ R&D SPORT」を抑え切ることはできず、147周目に再逆転を許すこととなった。

それでも予選17位から巧みな戦術によって2位という好結果を得ただけに、谷口選手、片岡選手、そしてミューラー選手は笑顔を見せていた。ところが再車検でリストリクターのトラブルから規定を満たせずに、「GSR 初音ミク BMW」は失格の憂き目に。

これにより、繰り上がって2位を得たのは「OKINAWA-IMP SLS」。竹内選手と土屋武士選手のレギュラーに加え、第3ドライバーの蒲生尚弥選手がそれぞれノーミスで走り抜き、好結果を呼び寄せることに。
同じく3位は黒澤治樹選手と黒澤翼選手、そして中谷明彦選手の「LEON SLS」が、4位は実に17台抜きを達成した織戸学選手と青木選手の駆る「マネパ ランボルギーニ GT3」が獲得している。
 
MOVIE
 
Driver's Voice
アンドレ・クート 選手
 【今回の成績 : GT500クラス 6位】
今日は本当にいいレースができたし、僕らのパフォーマンスに満足している。この厳しい1000kmレースでの12番手スタートからの6位フィニッシュは素直に凄い結果だ。もっとタイヤを高めて、さらにペースを上げて行く必要があるが、今日は確かに1段階のステップアップを実感することができたよ。
ドライバーのミスもほとんどなかったし、チームはいい仕事をしてくれた。クルマのバランスも良く、ペースも満足行くものだったから、今日は上位陣のマシン達とファイトすることができた。この調子で次も周囲のマシンと戦えるような状況を手にしたいね。間違いなく今季これまでのベストレースになったんじゃないかな。
安田裕信 選手
 【今回の成績 : GT500クラス リタイア】
今日はスタートして気温や路面温度が高い状況での調子は今ひとつだったので、ペースが思うように上げられなかったですね。その後はレース中盤にフロントの足周りが2回連続で壊れてしまって、リタイアとなってしまいました。僕のスティント中に右フロントのパーツが突然壊れ、同じ箇所がクルム選手のスティント中にも破損したようです。
今回の鈴鹿に関しては、僕たちはテストの段階から今ひとつな部分があったのですが、次の富士に向けては富士テストが好調でロングランも良かったので、前向きに臨めると思います。
竹内浩典 選手
 【今回の成績 : GT300クラス 2位】
今回、いっぱい走りたくなかったので(笑)、僕らがトヨタのスクール講師時代にいろいろ教えた、蒲生(尚弥選手)を助っ人に起用したんですが、いい働きをしてくれました。我々ノーミスでここまで来て、今までも4位という結果を得ていたんですが、今回みたいな長いレースでもやっぱりノーミスできっちり結果を残せて良かった。
(土屋)武士選手も頑張ってくれたけれど、今回は特に蒲生が頑張ってくれたのが大きいですよね。非常にこの結果は嬉しく思います。
黒澤治樹 選手
 【今回の成績 : GT300クラス 3位】
繰り上がっての3位ですし、表彰台に上がっていないので喜んでいいのか分かりませんが、チームにとって初めての結果なので、素直に喜ぼうと思います。ただドライバーのミス、チームのミス、そういうことに対して反省しなきゃいけない課題を残してしまったレースではありました。そういうのを解消していき、次のレースでもいい結果を残したいですね。
今日はタイヤがすごく安定していたのにも助けられました。
 
TOPICS
■例年になく第3ドライバーが活躍
  実力充分の"助っ人"たちが GT300の1000kmを盛り上げた


今回は1000km、6時間にも及ぶ長丁場とあって第3ドライバーの登録が許されており、GT300では実に14チームも第3ドライバーを登録。そのうち11チームがヨコハマタイヤ勢だった。
いつもは若手ドライバーに対するご褒美だったり、ジェントルマンドライバーが起用されるなどで決勝は走らないケースも多かったが、今回は「助っ人」として積極的に起用されるケースが目立っていた。

まず予選で気を吐いたのが、「Exe Aston Martin」の阪口良平選手。Q1に挑んで5番手を獲得。Q1突破を果たせたからこそ、続いてQ2に挑んだ安岡秀徒選手が3番手という結果を残せたのだ。
さらにQ2にまで挑んだのが「NAC攻殻機動隊ARISE DRポルシェ」の坂本祐也選手。これまたチーム最上位となる予選10番手という結果をおさめている。

決勝では、何と言っても予選17番手から2番手まで躍進を果たした「GSR初音ミクBMW」のヨルグ・ミュラー選手(写真)だろう。惜しくも決勝後の再車検で失格となってしまったが、その冴えた走りには片岡龍也選手からも大絶賛が。

「いいドライバーですよ。速いし、安定しているし。コミュニケーションもうまく、僕らに合わせてくれる部分もあったし、そういう意味では助っ人というより、ずっといるレギュラードライバーみたいな感じでした。普通、助っ人を入れると変に難しかったりするんですが、プラスにしかならなかったですね」と語っていたほど。

ミュラー選手自身も納得の仕事ができたようで、
「これまでツーリングカーレースやGTレースで、ヨコハマタイヤの経験は豊富なつもりだったけれど、今週末履いたヨコハマタイヤのパフォーマンスには驚いたよ。グリップレベルは高く、それでいてラップタイムもとても安定していたんだ。ドライバーみんなが同じようなパフォーマンスレベルだったから、僕にとっても良い刺激になったよ」と語っている。

繰り上がって2位を得た「OKINAWA-IMP SLS」も、一昨年までF3を戦っていた蒲生尚弥選手を起用。土屋武士選手が「まず蒲生に感謝したい」と会見の冒頭で語ったほどで、「チャンスをいただいたからにはミスもできないので、すごく頑張ったつもりです」と蒲生選手も満足そう。
ちなみにマシンをドライブしたのは土曜日のフリー走行から。ぶっつけ本番ながら見せた高い適応力は、蒲生選手の評価も上げることになった。

残念だったのは、全日本F3選手権のチャンピオンを決めたばかりの中山雄一選手が「Panasonic apr PRIUS GT」をドライブしたが、トラブルの連続でその力走が結果に結びつかなかったこと。
「エアコンがトラブっていたこともあって、GTがこんなに熱いっていうのを初めて知りました。それでも違う速さのクルマで相手の走りなど学ぶことができたので、この経験を今後に活かしたいと思います」と中山選手。

これからは可能性を秘めた若手、そして阪口選手や坂本選手のようにSUPER GTへのレギュラー参戦はしていないものの、実力も経験も豊富なドライバーを第3ドライバーとして起用するケースが増えそうだ。
 
ENGINEER VOICE
藤代秀一
今回の鈴鹿1000kmに向けては、時間的な制約で前回のSUGOには一部分しか活かせなかったものに加えて、鈴鹿テストで見つかったものをすべて投入してきました。ラップタイムを上げつつ、レースラップの安定性も高めることを狙ったものです。

GT500、GT300ともに新しいものを用意したわけですが、「D'station ADVAN GT-R」についてはトラブルが出てしまい残念な結果となりましたが、GT500では「WedsSport ADVAN SC430」が頑張って6位入賞を果たしてくれましたし、GT300でも「GSR 初音ミク BMW」や「OKINAWA-IMP SLS」、「LEON SLS」といったFIA勢が表彰台を争う好レースを見せてくれました。

もちろんまだまだ課題は残っていますが、少なくとも鈴鹿テストで見つかっていた構造やゴムなど、新しいものの有用性や効果は確認出来たと思います。

「WedsSport ADVAN SC430」は、暑い最中にレースラップではライバルに対してほぼ互角の走りを見せてくれましたので、開発の方向性も間違っていないと確認できました。今後、課題を克服しながら、さらにその方向で押し進めて行ければと思います。「D'station ADVAN GT-R」も富士では今回以上にいい走りをしてくれるでしょう。
シリーズ後半に向けては、大会ごとに事前に実車テストが出来るようなスケジュールですので、GT500もGT300も、前半戦のような足踏みなく終盤に向けてステップアップして行けるはずです。
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