■例年になく第3ドライバーが活躍
実力充分の"助っ人"たちが GT300の1000kmを盛り上げた
今回は1000km、6時間にも及ぶ長丁場とあって第3ドライバーの登録が許されており、GT300では実に14チームも第3ドライバーを登録。そのうち11チームがヨコハマタイヤ勢だった。
いつもは若手ドライバーに対するご褒美だったり、ジェントルマンドライバーが起用されるなどで決勝は走らないケースも多かったが、今回は「助っ人」として積極的に起用されるケースが目立っていた。
まず予選で気を吐いたのが、「Exe Aston Martin」の阪口良平選手。Q1に挑んで5番手を獲得。Q1突破を果たせたからこそ、続いてQ2に挑んだ安岡秀徒選手が3番手という結果を残せたのだ。
さらにQ2にまで挑んだのが「NAC攻殻機動隊ARISE DRポルシェ」の坂本祐也選手。これまたチーム最上位となる予選10番手という結果をおさめている。
決勝では、何と言っても予選17番手から2番手まで躍進を果たした「GSR初音ミクBMW」のヨルグ・ミュラー選手(写真)だろう。惜しくも決勝後の再車検で失格となってしまったが、その冴えた走りには片岡龍也選手からも大絶賛が。
「いいドライバーですよ。速いし、安定しているし。コミュニケーションもうまく、僕らに合わせてくれる部分もあったし、そういう意味では助っ人というより、ずっといるレギュラードライバーみたいな感じでした。普通、助っ人を入れると変に難しかったりするんですが、プラスにしかならなかったですね」と語っていたほど。
ミュラー選手自身も納得の仕事ができたようで、
「これまでツーリングカーレースやGTレースで、ヨコハマタイヤの経験は豊富なつもりだったけれど、今週末履いたヨコハマタイヤのパフォーマンスには驚いたよ。グリップレベルは高く、それでいてラップタイムもとても安定していたんだ。ドライバーみんなが同じようなパフォーマンスレベルだったから、僕にとっても良い刺激になったよ」と語っている。
繰り上がって2位を得た「OKINAWA-IMP SLS」も、一昨年までF3を戦っていた蒲生尚弥選手を起用。土屋武士選手が「まず蒲生に感謝したい」と会見の冒頭で語ったほどで、「チャンスをいただいたからにはミスもできないので、すごく頑張ったつもりです」と蒲生選手も満足そう。
ちなみにマシンをドライブしたのは土曜日のフリー走行から。ぶっつけ本番ながら見せた高い適応力は、蒲生選手の評価も上げることになった。
残念だったのは、全日本F3選手権のチャンピオンを決めたばかりの中山雄一選手が「Panasonic
apr PRIUS GT」をドライブしたが、トラブルの連続でその力走が結果に結びつかなかったこと。
「エアコンがトラブっていたこともあって、GTがこんなに熱いっていうのを初めて知りました。それでも違う速さのクルマで相手の走りなど学ぶことができたので、この経験を今後に活かしたいと思います」と中山選手。
これからは可能性を秘めた若手、そして阪口選手や坂本選手のようにSUPER GTへのレギュラー参戦はしていないものの、実力も経験も豊富なドライバーを第3ドライバーとして起用するケースが増えそうだ。