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WTCC Round 21&22
開催日
2012年11月2日〜3日
開催場所
上海国際サーキット (中国)
天 候
第1レース : 晴れ
第2レース : 晴れ
路 面
第1レース : ドライ
第2レース : ドライ
決勝周回数
第1レース : 13周
第2レース : 13周
(1周 = 4,603m)
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鈴鹿サーキット・東コースでの日本ラウンドを終えたWTCCは、戦いの場を中国へと移す。昨年、初めて中国大陸へ上陸を果たしたWTCCだが、今年はF1も開催される世界的なメジャーコースである上海国際サーキットが舞台として用意された。
一部をショートカットしたレイアウトを採用したが、それでも全長は4,603mあり、約1.2kmのストレートに代表されるハイスピードな区間と、アップダウンもあるテクニカル区間が織りまぜられたコースは、パッシングポイントも豊富で白熱した戦いが予想された。
レースウィークの始めに恒例となっているコースチェックにおいて、この舞台を徒歩や自転車などで確認したドライバーからも、エキサイティングで走り甲斐のありそうなコースだという好意的なコメントが次々と寄せられた。

金曜日のテストセッション、土曜日のフリープラクティスとタイムスケジュールは進んでいくが、テストセッションはアレックス・マクドワル選手、フリープラクティスの1回目は久しぶりのWTCC参戦となるコリン・タルキントン選手がトップタイムをマーク、ともに駆るのはシボレー・クルーズだ。

日本ラウンドにシボレーのイヴァン・ミューラー選手とロブ・ハフ選手が同点トップで臨み、この上海国際も再び両選手が同点トップで乗り込んでくるという、熾烈なタイトル争いが繰り広げられているWTCC。
しかし、フリープラクティスの2回目では初開催コースを得意とするシボレーのアラン・メニュ選手がリザルトの最上位に名を刻み、逆転チャンピオンの可能性に賭ける並々ならぬ意気込みを感じさせる。

その勢いは予選でも留まることなく、Q1を2番手で通過したメニュ選手はQ2でトップを奪い、日本ラウンドに続いて第1レースのポールポジションを獲得。ミューラー選手がセカンドグリッドで続き、3番手にはYOKOHAMAトロフィー・ランキングリーダーのノルベルト・ミケリス選手がつけた。

決勝第1レース(第21戦)、ローリング方式で切られたスタートは1コーナーへインにメニュ選手、アウトにミューラー選手というかたちでサイド・バイ・サイドのまま進入。さらに早々にミケリス選手をかわしたハフ選手が、メニュ選手の真後ろにつけて、1コーナーから2コーナーにかけての区間でミューラー選手の前に出た。
一方のミューラー選手はミケリス選手との接触から体制を崩して3コーナーでスピンを喫し、右リアの足回りにダメージを受けて早々に戦列を離れてしまうというまさかの幕開けになる。

またオープニングラップの波乱はこれだけに留まらず、YOKOHAMAトロフィーのランキング2番手につけるペペ・オリオラ選手がタルキントン選手のマシンと接触、後退を余儀なくされてしまった。

そして、こうした混乱を巧くかわしてポジションをあげたのは、日本ラウンドの第2レースで総合優勝を飾ったステファノ・ディアステ選手。前を行くメニュ選手やハフ選手とは少し間隔が開いたものの、逆に後ろにいるトム・コロネル選手やガブリエレ・タルクィーニ選手に対しても差をつけるかたちの単独3番手で序盤の周回を重ねていく。

7周目、8番手を走っていたシビックのティアゴ・モンテイロ選手は、それまで後ろからプレッシャーをかけ続けていたセアトのフレディ・バース選手を、巧みにパス。右に細かくまわりこむような第2コーナーを終え、次はやはりタイトな左コーナーとなる第3コーナーへの切り返しで、やや外に大きくふくらんだバース選手のインを奪うと、そのままポジションを入れ替えて7番手に浮上した。

レース後半、中段グループでは激しいポジション争いも見られたが、トップの2台はポジションを確固たるものとして周回を重ねて言った。
最後はポールポジションからスタートしたメニュ選手が、ハフ選手に対して付け入る隙を見せることなくチェッカード・フラッグを受けて連勝を飾った。2位はハフ選手、3位にはディアステ選手という結果に。ディアステ選手は優勝を飾った日本ラウンドに続いて、上海国際でも総合の表彰台を獲得することに成功した。

スタンディング方式のスタートとなる第2レース。ポールポジションはトム・コロネル選手、2番手にはタルクィーニ選手がつける。以下、マクドワル選手、オリオラ選手と2列目はFF(前輪駆動)車のみが並び、3列目の5番手にディアステ選手とタルキントン選手という配列だ。

いつものように停車状態からのスタートでは駆動輪である後輪にトラクションをかけやすい、FRのBMW勢に注目が集まる第2レース。レッドシグナルが消灯すると5番手のディアステ選手、さらに一列後方の8番手からスタートしたミケリス選手、二人のBMWがマシンをセンターに振る。両者はクロスするようなかたちになり、ディアステ選手はイン側にラインを移した。
1コーナーへはコロネル選手が先頭、真後ろにディアステ選手の順で飛び込む。さらにミケリス選手も続こうとしたが、マクドワル選手が1コーナー進入で先行、ミケリス選手はやや行き場を失うようなかたちでコースオフを喫してしまった。

スタートから3コーナーあたりまでは混乱状態となったが、クラッシュなどが発生することは無くオープニングラップは続行。1周を終えての順位はコロネル選手がトップ、これにディアステ選手が続いてBMW勢がワン・ツー体制。しかし、3番手にメニュ選手、4番手にはミューラー選手、そして5番手にはハフ選手と、シボレーのマニュファクチャラー勢が着々と牙を剥こうとしている状態だった。

2周目にはメニュ選手がディアステ選手をパス、3周目にはミューラー選手とハフ選手も続いた。一気にシボレー勢はコロネル選手に詰め寄ってプレッシャーをかけ、遂に5周目の3コーナーでメニュ選手がコロネル選手の前に出る。もちろん、ミューラー選手とハフ選手もコロネル選手をかわして、シボレーの3台によるトップ隊列が完成する。

ここまでは日本ラウンドでも見られた光景だったが、パッシングポイントが多い上海国際だけにチームメイト同士の激しいポジション争いがレース後半の見どころとなる。選手権タイトル獲得の可能性が残されているのは、隊列を形成しているシボレーの3選手のみなのだから。

しかし、そのポジション争いは意外な形になった。8周目の1コーナー、ブレーキングしたメニュ選手に対してインを奪おうとしたミューラー選手が追突、メニュ選手は大きく体制を崩した。ミューラー選手もペースダウン、この隙にハフ選手がトップの座を奪ったのである。

レースはハフ選手がトップでチェッカーを受け、ミューラー選手、メニュ選手と続いてフィニッシュ。しかし、ミューラー選手の接触行為は審議にかけられ、結果的にミューラー選手には決勝結果に30秒を加算するペナルティが科せられて、13位へと大きく後退。
上海国際ラウンドを終えてランキングは大きく変動することとなり、トップは390点のハフ選手、2番手には355点でメニュ選手が浮上。ミューラー選手は349点と、ハフ選手と41点差の3番手になった。

なお、YOKOHAMAトロフィーはディアステ選手が連勝。こちらのランキングはトップが138点のミケリス選手、2位は126点のオリオラ選手、3位は123点でディアステ選手と、順位は変わらないものの点差は一気に縮まる結果となった。
 
Driver's Voice
アラン・メニュ 選手
 【今回の成績 : 第21戦 優勝/第22戦 2位】
第1レースはスムーズにいきました。私のマシンはコンディションも完璧で、好いスタートを切ることが出来ました。あとは、後ろにいるハフ選手に対してのマージンを保つこと、それからフロントタイヤを労ることを心がけて走りました。
第1レースで取り返したポイントを第2レースで全て失う結果となってしまったのは残念です。私がチャンピオンを獲得するという希望は、今日のこのレースで潰えてしまったように思います。
ロブ・ハフ 選手
 【今回の成績 : 第21戦 2位/第22戦 優勝】
私にとって素晴らしい週末になりました。予選は4番手でガッカリしましたが、決勝での私のマシンは本当に素晴らしかった!
選手権ランキングのリーダーとしてマカオに行けることは、とても満足なことだと感じています。マカオのコースは、(クルーズで戦ってきた)この4年間、とても相性がよかったように思います。このストリートコースは色々なハプニングも起こりますが、私たちのマシンはとても得意としています。ですから、私はとてもワクワクしています!
 
FEATURED DRIVER
■ロブ(ロバート)・ハフ 選手 (Chevrolet)

単独シリーズリーダーに立ったロブ(ロバート)・ハフ選手は、2005年のWTCC発足初年度からシボレー一筋にステアリングを握り続けてきたドライバーだ。

常に3人体制で参戦を続けてきたシボレー、ラセッティから現在のクルーズにマシンが替わっても、その体制に変化は無かった。そんな中でチームの中では最も若手として成長を続けてきたハフ選手。31歳となった今年は、アグレッシブなドライビングに高度なテクニックも織りまぜた、巧みなレース展開が光っている。

シリーズ後半にきて尻上がりに調子を上げており、上海国際ラウンドを終えて大きなリードを築いて最終戦に臨む運びとなったハフ選手。上海でのレース後、ランキング2番手となったアラン・メニュ選手からは敗北宣言とも取れるコメントも飛び出したが、シボレーのマニュファクチャラー参戦最後の年に、悲願の王座獲得に向けたマカオでの走りに注目が集まる。
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