前年に開催されたプレ・シーズンを経て、1991年に発足したN1耐久ラウンドシリーズ。量産市販車をベースに限られた改造範囲の中で造られるN1車両によって全国を転戦するシリーズは、アフターマーケットパーツ市場との連携を強めて市販エアロパーツなどの解禁により、その名称もスーパー耐久シリーズと改めて今日に至っている。
発足から20年を超える歴史を有するシリーズは、一貫して“参加型レース”というスタンスを守り続けている。主催者側と参加者側が蜜に連携して、時代にあわせた規則の制定や改正を行ってきたことが、これほどの長い歴史を有するに至った最大の理由だろう。
そんなスーパー耐久は、昨年から新たにFIA GT3車両のクラスを創設。今年は名称をGT3クラスと改め、昨年までST-1クラスに参戦していたチームがメルセデス・ベンツSLS
AMGを投入することとなった。
一方では2010年に発足したST-5クラスが、一気に参加台数を増やす傾向を見せている。コンパクトカーが競い合うこのクラスは、安価な参戦コストによる手軽さから注目を集めており、今年は年間エントリーだけで9台を集めるに至った。
レースフォーマットは2人、もしくは3人のドライバーで1台のマシンをリレーする方式。決勝レースについて今年は全戦が3〜4時間の時間レースとなるが、WTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)のサポートレースとなる鈴鹿戦だけは、1時間×2レース制という変則的な内容となる。
ユニークな点は、予選方式では合算タイム制が導入されていること。AおよびBドライバーとして登録された2人が、それぞれに予選アタックを行い、互いのベストタイムを合計した内容で予選順位が決して決勝レースのスターティンググリッドに反映される仕組みだ。
また、決勝では2回以上のドライバー交代を伴うピットストップが義務づけられている。この規則によりチーム間の戦略の相違は少なくなり耐久レースならではの醍醐味が削られた面もあるが、参加型レースとして出場選手に多くの乗車機会を与えることを主旨として制定されている規則である。