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  ひとつ前にもどる  
JGC Round 7
開催日
2012年8月26日
開催場所
ツインリンクもてぎ・北コース
(栃木県)
天 候
晴れ 時々 曇り
路 面
ドライ
参加台数
135台
(ヨコハマタイヤ装着車 45台)
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すでにSA2クラスの柴田優作選手が今季のチャンピオンを決めている全日本ジムカーナ選手権だが、終盤戦となる第7戦がツインリンクもてぎ北ショートコースにて開催された。
毎年、ツインリンクもてぎ戦は真夏の炎天下での開催になることが多い。今年はやや雲が多く、決勝の行われた日曜日には陽がかげることもあったが、それでも気温は軽く30℃をオーバー。タイヤはもちろんドライバーやマシンも暑さとの戦いとなった。

今年のコースレイアウトは、ハードな闘いにふさわしく決勝タイムが1分30から40秒前後となるロングコースが採用された。昨年は北ショートコース外周の1コーナーに360度ターンが設定されたが、今年はフィニッシュ直前に360度ターンが置かれたことで、外周区間をそのまま使用。
1コーナーを全開でクリアするレイアウトが採用された。
ほぼ外周を2周するレイアウトだったこともあり、中には勢い余ってコースアウトしてしまう車両もいた。度胸とテクニックが求められるハイスピードコーナリングが勝負どころとなる一方で、部分的に設定されたタイトコーナーや各コーナーに置かれたパイロンにタッチしてしまう選手も多く、豪快さと繊細さが要求されるコースだったと言えるだろう。

また、前日の土曜日は午前中にやや短めのコースでウォームアップ走行が行われ、午後には決勝コースを1トライだけ走行できる完熟走行も行われた。そのため、決勝では第1ヒートから限界まで攻める走りができ、それも激しいコーナリングを披露する要因となっていたようだ。

そんな中、今大会でヨコハマタイヤユーザーがチャンピオンを決めるクラスがあった。ここまで、不成立となった北海道スナガワラウンドを挟んで5連勝と、圧倒的な強さを誇っている小林キュウテン選手がタイトルに大手をかけているDクラスだ。小林選手は第1ヒートから2番手に3秒以上の差をつける圧倒的な速さでベストタイムをマークし、トップに立つ。

「サスペンションのセッティングをコースに合わせるために、今まで以上に細かく煮詰め直してきました。例えば、今まで車高を3mm単位で調整していたのですが、今回は1mm単位で変えていくとか、これまでの4分の1くらいの領域でシビアにセッティングしました。ロガーのデータもきっちりとってセッティングに活かしたのも良かったのでしょう」と語る小林選手は、第2ヒートではさらに0.3秒近くのタイムアップを果たし、そのまま一度もトップを譲ることなく優勝。今季6勝目を獲得し、見事な満点チャンピオンを決めた。小林選手のタイトル獲得は、今回で7度目となる。

「タイトル獲得は僕の使命になっているようなものですから、今回も一生懸命頑張りました。今シーズンは前半がやや苦しかったのですが、ヨコハマタイヤも自分のわがままに応えてくれました。次も消化試合だとは思わず、全力で戦いますよ。それが恩返しだと思っていますからね」と、ADVANファンにとっては心強いコメントを残してくれた。残り2戦もぜひ勝って、全勝優勝を達成することを期待しよう。

またN3クラスでは、シリーズリーダーの小林辰朗選手がタイトルに王手をかけているが、今大会では惜しくも3位に終わり、タイトル獲得は次戦以降へとお預けになってしまった。「2本目は突っ込みすぎたところがありましたし、いろいろミスをしてしまいましたね。多くの選手がタイムダウンしていますが、自分自身としてはタイムアップできると思っていました。ただ、セッティングが少し違う方向に向いていたのかもしれません。次はもう一度セッティングも見直してきますので、期待していてください」と語る小林選手。次戦で勝てば文句なしのチャンピオン、ぜひタイトル獲得を期待したい。

一方、N3クラスでは前戦に引き続き関口大悟選手が2位に入賞した。2年連続で2位入賞を果たしたことで、ようやくエキシージの乗り方をマスターしたようで、長いトンネルを抜け出すきっかけとなるトライとなった。「トップとは0.06秒差なので、ちょっと悔しい気持ちもありますが、自分としては2戦連続メダルをゲットできましたし、今回の走りも満足しています」と関口選手。今後の関口選手の活躍に期待だ。

そして前戦ですでにタイトルを決めているSA2クラス柴田優作選手は、今回も優勝を奪う強さを見せた。「もてぎは得意なコースですし、自分自身でも一番勝率の高いコースです。それだけに、前戦でチャンピオンを決めましたが、今回も負けられない大会でした。
ただ、決勝コースは外周を逆走するセクションがあって、そこは今まで走った経験がなかったのですが、マシンの調子も絶好調ということもあって、土曜日の練習からセッティングを変えずに走ることができたのが良かったのかもしれません」と、好調さをアピール。今回はハイスピード主体のコースレイアウトだったが、部分的に細かいコーナーが控えていたため、あえてリヤが動きやすいセッティングとしたことが功を奏したようだ。

N1クラスは、開幕戦で優勝を奪ったものの、第2戦以降は勝ちに恵まれていなかった2011年チャンピオンの平田裕三選手が、第1ヒートのタイムで逃げ切り久々の優勝を飾った。「もてぎとは相性がいいので、セッティングさえ合えばいけると思っていました。路面温度もADVAN A050にぴったりでしたし、自信を持ってスタートすることができました」と平田選手。今回の優勝で、しっかりとポイントリーダーの座を守った。

SA1クラスでは、ポイントリーダーの斉藤邦夫選手が、第1ヒートは2番手のポジションでスタートする。「1本目は路面コンディションが良くなかったので、2本目の方がタイムアップすると確信してました。だから、1本目は2番手タイムだからといって、特に焦りはなかったですよ」と、ベテランらしい読みで落ち着いて第2ヒートをトライ。「2本目はADVAN A050がすごく路面にマッチした」と語るように、しっかりとベストタイムを更新し、見事な逆転優勝を遂げた。

毎戦ハイレベルな戦いが繰り広げられているSA3クラスは、天満清選手が第1ヒートで2位以下に1秒以上の大差をつけてベストタイムをマークした。「今回は順調に戦えましたね。事前のテストでマシントラブルが発生してしまい、それを修復してきたので、フレッシュな状態で走れたのが良かったと思います。それに、ADVAN A050ともてぎはいつも相性がいいので、今回も安心して攻めることができました」と天満選手。シリーズポイントも3位から2位へと浮上し、タイトル争いは終盤戦に向けてさらに激化する結果となった。
 
Driver's Voice
柴田優作 選手
 【今回の成績 : SA2クラス 優勝】
タイヤは新品のADVAN A050のG/Sコンパウンドでスタートしました。今回はロングコースでしたが、最後までしっかりとグリップ力を発揮し、自分の走りを支えてくれました。特に外周の2周目は、ライバルに差をつけることができたんじゃないかと思います。後半もしっかりと効いてくれるので、ゴールまで安心してアクセルを踏むことができました。
ただ、自分の場合は2本目にタイムアップすることができて優勝しましたが、本当は1本目からからしっかりとタイムを残せるような走りをしなければならないですね。そのあたりが今日の反省点だと思います。残り2戦も出場する予定なので、残りもしっかり勝って今シーズンを締めくくりたいと思います。
小林キュウテン 選手
 【今回の成績 : Dクラス 優勝】
今回は気温が高くて、2本目にタイムダウンするドライバーが多かったのですが、自分の場合は2本目でもきっちりタイムを上げることができました。ターンセクションにタイヤのラバーが乗っていて、外周区間も滑りやすい状況だったのですが、路面温度が52?53℃くらいだったので、タイヤウォーマーでタイヤの温度を一度100℃まで上げてから65℃程度に下がった状態でスタートしたところ、最後までしっかりグリップしてくれました。
このコースは、自分の中でセッティングのベンチマークとしている鈴鹿南コースに似ているんです。そのため、いつもテストをしている鈴鹿と同じセッティングで走れたのも、良い結果に結びついたと思います。今年は出場したラウンドで全勝しているので、まわりから見たらラクそうに思えるかもしれないですけど、実際には第3戦の名阪ラウンドまでかなり辛い戦いでした。いつも1/1000秒台の争いでしたからね。自分が得意としている第5戦の鈴鹿で突き放すことができたのが、今年のターニングポイントだったと思います。
新井大輔 選手
 【今回の成績 : N1クラス 優勝】
今回は、本番までにタイヤテストを行う時間が多くとれたこともあり、ベストセッティングで挑むことができました。タイヤはADVAN A050のG/Sコンパウンドで走りました。
1本目はスタート時刻が早かったこともあって路面温度が上がり切らなかったのですが、その状況でもしっかりフィニッシュまでグリップしてくれましたね。今回の優勝で2勝目ですが、シリーズでもトップを守ることができましたし、このままなんとかタイトル獲得まで突っ走りたいですね。
斉藤邦夫 選手
 【今回の成績 : SA1クラス 優勝】
今回はADVAN A050のG/Sコンパウンドを4輪に装着してスタートしました。特に今回は2本目の路面とのマッチングが良かったですね。1本目は2番手でしたが、ライバルたちもこの条件の中では辛いと思っていましたし、2本目に逆転できると思い不安なく走ることができました。
2本目は、競技車が走行することで路面のゴミや砂などが綺麗に取り払われて路面グリップが上がることも多く、今回もそれと同じ条件になれば、タイムが出ると確信していました。実際そのとおりになりましたし、1本目のタイムが悪くてもあえてセッティングは変えずに2本目にトライしたのも良かったですね。あと1勝すればタイトルが決まるので、ぜひ次の九州ラウンドで優勝して決めたいですね。
天満清 選手
 【今回の成績 : SA3クラス 優勝】
タイヤはADVAN A050のG/Sコンパウンドを装着しました。路面温度とのマッチングも良くて、しっかりグリップしてくれましたね。特にこのコースは毎年タイヤとの相性がいいんです。ドライバーとしてもここ2〜3年で好きになったコースのひとつですし、今回はまったく問題なく順調に戦うことができました。2本目は攻めすぎてしまい1コーナーでドリフト状態になって1秒以上タイムダウンしてしまったんですが、土曜日からの路面状況を考えるときっと2本目にタイムアップするのは難しいと考えていたので、1本目にしっかりとタイムを出しておこうと思っていました。
終わってみればそのとおりになりましたし、まさに作戦どおりに終えることができました。シリーズ争いでは、残り2戦を連勝しなければならない状況ですが、最後まで諦めずに攻めていこうと思っています。
 
FEATURED DRIVER
■SA1クラス:大原 史行 選手

昨年からSA1クラスに参戦しているのが、シビックを操る大原史行選手だ。
ジムカーナ歴が18年というベテランだが、現在は東京の浅草に住みながらJMRC千葉ジムカーナ部会の副部会長を務め、千葉県ではジムカーナのメッカとして知られている浅間台スポーツランドでアナウンスを担当していることでもおなじみのドライバーだ。

「本業は普通のサラリーマンですよ(笑)。最初は叔父がラリーのナビゲーターをやっていて、僕が何かモータースポーツをやりたいと言ったら手軽に始められるジムカーナを薦めてくれたんです」。大原選手は、一昨年まで関東ジムカーナ選手権にDC2インテグラで出場し、SA2クラスのシリーズ2位を獲得している。しかし、インテグラで全日本のSA2クラスに参加するのはかなり厳しいと感じ、昨年からEK9シビックに乗り換え、全日本戦以外にも東北の地方選手権にも出場している。 「地方選手権では昨年の最高位が6位で、シリーズポイントもSA1クラス6位でしたけど、ADVAN A050を使うようになってから成績を残せるようになりました」と、大原選手。自分の走りにもマッチしているという。

「ジムカーナは色々な肩書きの人が集まりますが、会場ではそんなことを関係なく付き合えるじゃないですか。ガチで勝負もできますしね。そういうのが楽しいですね」  ジムカーナはたった2本のタイムアタックで成績を出さなければいけないのが難しいし面白いという大原選手。
JMRC千葉のジムカーナ部会副部長を務めたり、アナウンスを担当しているというのも、ジムカーナを盛り上げたいという一心でやっていることだ。そんな大原選手が、今後も楽しくジムカーナを続けられるよう、さらなる活性化に期待したい。
 
TECHNICAL INFORMATION
本来は、路面のミューが高いことで知られているツインリンクもてぎ北ショートコースが、第7戦の舞台となった。

各選手が走り始める金曜日はやや細かい砂が浮いていたため路面のミューが低かったが、その後は安定して本来の高ミュー路面となった。
決勝当日は猛暑となったが、気温や湿度は想定の範囲内で、そういう意味ではしっかりと作戦どおりに戦うことができた。今回のヨコハマタイヤユーザーは全員がADVAN A050のG/Sコンパウンドを選択していて、第1ヒートから予想どおりの好結果を生むこととなった。

第2ヒートは路面温度がピーク時から10℃ほど低下したが、ワイドレンジの温度特性を持つADVAN A050のG/Sコンパウンドの性能を十分に発揮することができた。特にタイヤの温度が上昇してくる後半セクションでヨコハマタイヤ勢が大きなアドバンテージを奪うという結果になった。どの選手も良好なタイヤマネージメントを行っており、ヨコハマタイヤを確実に使い切ったと言えるだろう。
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