日本で開催されているレースカテゴリーの中で、最も長い歴史を有しているのが全日本F3選手権。産声をあげたのは1979年(JAFの全日本選手権となったのは1981年)、いまから実に30年以上も昔の話である。
なぜF3が、これほど長く続いているのか。その理由を解くキーワードは、「世界基準」と「明確なポジショニング」である。
「世界基準」とはその言葉通り、F3が国際的に統一された規則の下で開催されているということ。日本のみならずヨーロッパ各国などでもシリーズが存在する。さらにアジアで最も伝統あるマカオ・グランプリでは1983年からF3が開催されるようになり、各国のシリーズで好成績をおさめた猛者たちが集う“世界一決定戦”とも言える一戦になっている。
つまり、国際的なドライバーやチームの交流が盛んに行える下地がF3では整っているということであり、1990年代初頭にはマカオ・グランプリの翌週に富士スピードウェイで世界的な交流戦が催されるなど、活性化の大きな理由となっている。
さらに「明確なポジショニング」とは、F1を頂点としたレース界のピラミッドにおいて上から3番目という位置づけが守られ続けていることである。F1という世界を転戦するトップカテゴリー、その次位は各国や地域内で開催されるF3000などとなる。そして3番手に位置するのがF3であり、更なるステップアップを目指す若手ドライバーの登竜門というポジショニングにあるカテゴリーだ。
この登竜門が世界基準で催されているがゆえに、世界中のF3ドライバーが切磋琢磨して頂点を目指すために腕を磨いており、全日本選手権においても1979年の初代チャンピオンに輝いた鈴木利男選手にはじまり、F1のステアリングを握った片山右京選手など、その後ステップアップを果たして広く名を知られることとなったドライバーが栄冠を手中におさめてきている。
2012年の全日本F3選手権は国内6大会に加え、6月には初の海外進出として中国の珠海国際サーキットでの開催に向けても調整が進められている。
レースフォーマットは規則では1大会において1レース制、2レース制、3レース制、または1大会2ヒート制のいずれかで実施することが出来ると定められている。それぞれの距離は1大会1レース制の場合で90〜100km、2レース制では1日目の第1レースが65km、2日目の第2レースは90〜100km、3レース制の場合は1日目の第1レースが65km、2日目の第2レースと第3レースが90〜100kmとすることになっている。
なお、ドライバーの参加資格は国内A級ライセンス以上を所持していることであり、国際格式競技の場合は国際B級以上の所持が条件となる。さらに、FIAスーパーライセンスの所持者、2010年から2011年のGP2、フォーミュラ・ニッポン、フォーミュラ・ルノー3.5において年間8位までの成績をおさめた選手は参加できないとされており、この規則からも若手育成カテゴリーであることがうかがえる。