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JDC Round 5
開催日
2012年7月22日
開催場所
サーキットパーク切谷内
(青森県)
天 候
曇り のち 晴れ
路 面
ウエット → ドライ
参加台数
110台
(ヨコハマタイヤ装着車 29台)
>> Report (レポート)  >> Result (競技結果)  >> Detail (カテゴリー紹介)
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いよいよ後半戦へと突入した全日本ダートトライアル選手権は、青森県八戸市郊外のサーキットパーク切谷内に舞台を移し、開催された。
シリーズは今大会を加えて残り3戦。シリーズチャンピオンを狙う選手にとっては今後の展開を占う重要な一戦となるだけに、各クラスともランキング上位の選手たちがほぼ顔を揃えた110台がパドックに集結した。

全日本選手権開催が今年で5回目となるサーキットパーク切谷内は、全国でも屈指の超硬質路面のコースだ。路面は年を重ねるごとに改修が加えられ、表面の砂利が掃けると、まるでアスファルトのような硬い路面が顔を出す。
さらに、梅雨あけの時期に開催されることが多いため、ドライ路面ともなれば、ドライバーの視界を奪うほどの猛烈なホコリが舞い上がることもある。そのため、今年もホコリ対策のために決勝日前夜に入念な散水が行われたが、決勝日の気温は肌寒さを感じるほど低く、なかなか路面が乾かずにハーフウエットコンディションからのスタートとなった。
とはいえ晴れた日の切谷内は、超硬質路面となる第2ヒート勝負となるのが定石。どの選手も、第2ヒートに向けて前日の公開練習から路面状況や走行ラインを細かくチェックする姿が見られた。

ところが、Dクラスの谷田川敏幸選手は、事情が違っていた。
土曜日に行われた公開練習の第1ヒートで突然ミッションが壊れてしまい、第2ヒートは走れない状態に。さらにエンジンが不調となってしまうというアクシデントも重なり、この日はパドックでマシン修復に追われることとなってしまったのだ。
迎えた決勝日、エンジンの不調は原因が分かったため解決したが、第1ヒートは修復したミッションのフィーリングが悪く、「何度もシフトミスをしそうになってしまった」と、トップから0.9秒遅れの4番手に終わる。

それでも、「第2ヒートまでの間にメカニックが一所懸命に修復してくれて、ほぼベストコンディションの状態にまで仕上げてくれた」と谷田川選手。そのメカニックの気持ちに応えるべく、超硬質路面となった第2ヒートでADVAN A036を装着して全力で攻め、見事逆転優勝を奪って見せた。Dクラスに移籍して初のオーバーオール優勝だ。

「やっと勝てました。長かった、ここに来るまでホントに長かった」と、待望の優勝を噛みしめるとともに安堵の表情を見せる谷田川選手。
「Dクラスに移籍したことで、マシンの戦闘力がさらに高くなったことは確かですが、エンジンやサスペンションのセッティングでなんとか勝とうという気持ちが強すぎたのだと思う。でも、自分のスタイルはそうじゃない。マシンをねじ伏せて走るのが本来の自分のスタイルだから、そういう意味では今日の第2ヒートは、自分の原点に戻ることができた。ギャラリーを沸かすのではなく、選手(ライバル)を沸かす走りがオレのスタイルだからね」

常勝を重ねていたSC3クラス時代の「谷田川スタイル」をしっかりと取り戻した谷田川選手。シーズン後半、そして来季に向けてのターニングポイントとなる1勝を勝ち取った。

一方、SA2クラスでは荒井信介選手が第2ヒートで逆転優勝を飾り、後半戦に向けてシリーズポイント逆転の望みを繋いだ。第1ヒートは、トップから0.6秒差の2番手に終わった荒井選手は、走り終えたあともギャラリースタンドから入念に路面をチェックし、「難しい……、例年になく今日の路面は難しい」と繰り返していた。

「散水の量が多かったのか、例年になく路面の上に乗っている砂利が重たく感じる。砂利が飛ぶ量も少なく、なかなかベストラインが顔を出してくれない。ここのコースは超硬質路面だけど、全体的には高低差のある中低速コーナーが多いので、それほどスピードは乗ってこない。だからミスをしてしまうと、そのミスを取り返すことができないままで終わってしまうことが多い。路面がグリップしすぎて、失速してしまうことさえあるからね。
逆に砂利が残っていると、ホイールスピンをしてしまいトラクションが抜けてしまうこともある。その見極めが難しい。それでも第2ヒートは、超硬質用のADVAN A036で攻めるけどね」と荒井選手。
第2ヒートはその硬い路面をしっかりと捕らえ、見事な逆転劇を果たした。

そのほか、PNクラスでは佐藤秀昭選手が今季3回目となる2位表彰台に入り、シリーズチャンピオン奪取に向け、残り2戦に望みをつないだ。
また、N2クラスでは地元の三上満宏選手が2位に入賞、同じくN3クラスでは星盛政選手が2位に入賞、さらには昨年もスポット参戦したラリードライバーの大西康弘選手がSA2クラス3位に入賞と、東北を代表するドライバーが各クラスで活躍。

さらに九州のベテラン・永田誠選手がPNクラス3位に入賞、前戦はマシン不調で不完全燃焼に終わった田口勝彦選手がSC3クラス3位と、各クラスでADVAN勢が活躍を見せてくれた。
 
Driver's Voice
谷田川敏幸 選手
 【今回の成績 : Dクラス 優勝】
本当に価値ある1勝だったと思う。今年はなかなか勝つことができず、クラスが変わったこともあって「エンジンが悪いのか、サスペンションが悪いのか」といろいろ悩んだ時期もあったけれど、一番悪かったのは自分の気持ちの持ち方だったと思います。
もちろん勝負事だから、これからも勝ったり負けたりするのだろうけど、「自分らしく攻めて走ろう」という気持ちで勝てたことが一番大きかった。次も、選手が沸くような走りを目指して頑張ります。
荒井信介 選手
 【今回の成績 : SA2クラス 優勝】
ADVAN A036は、少々砂利が残っていてもしっかり効いてくれるので、今回はそういうキャパシティの広さが勝利に結びついたと思う。
このコースは、時には我慢をしなければならない時もある。抑えるという意味ではなく、例えばもっとリヤを滑らせればラクに攻められるコーナーとかがあるけれど、そこでリヤが出すぎるのをちょっとガマンして、前に進むトラクションに変えてやるとか、そういう走り方も必要になってくる。そういった場面でも、ADVAN A036はコントロールしやすいタイヤだと思う。
佐藤秀昭 選手
 【今回の成績 : PNクラス 2位】
第1ヒートではクラスのほとんどの選手がウエット用のタイヤを履いていたのですが、僕は前後ともADVAN A035を履きました。第2ヒートは、フロントにADVAN A036、リヤにADVAN A035を装着しました。
狭いながらも砂利が掃けているラインがあって、狙いとしては悪くはなかったですが、ギャラリーコーナーを過ぎたところのタイヤバリアに軽くヒットしまって、ゴールまでうまくまとめることができませんでした。
今年からADVANを装着していますが、いろいろな使い方があって、勉強している最中です。次の今庄ではなんとかシリーズトップを捕まえたいですね。
星盛政 選手
 【今回の成績 : N3クラス 2位】
N3クラスが走る頃には、ストレートに少し砂利が残っていましたが、コーナーの砂利がほとんど履けていて、ADVAN A036がすごくグリップしてくれました。
ここはよく"地元"と言われますが、私の家(福島)からは600kmくらい離れています(笑)。丸和の方がかなり近いのですが、東北のドライバーとしては切谷内で表彰台に上がれるということは、かなりうれしいですね。
今年は順調にポイントを稼ぐことができているので、シードゼッケンの上位を狙っていきたいです。残り2戦もがんばります。
川崎修也 選手
 【今回の成績 : N3クラス 4位】
今年はクラス8位がベストリザルトだったので、やっと表彰式に呼ばれることができました。
第2ヒートでADVAN A036を履きましたが、実は初体験だったんです。このタイヤのグリップ感をまだ自分のものにはできていないのですが、それでも後半区間ではうまく感覚を掴むことができ、前半区間の失敗を取り戻すことができました。
次の今庄もADVAN A036の路面になることが予想されるので、次は表彰台を狙っていきたいです。
大西康弘 選手
 【今回の成績 : SA2クラス 3位】
昨年はラリーの練習の目的もあって出場しましたが、今年は"勝ち"に来ました(笑)。
第1ヒートは2番手でまずまずの感じだったけれど、第2ヒートはスタートしてすぐの左ヘアピンでいきなりタイヤがグリップしすぎて、土手とにらめっこして止まってしまった。「オレもまだまだ若いなぁ」って思いましたよ(笑)。
ラリーはミスをしても「次のSS(スペシャルステージ)でがんばろう」と気持ちを切り替えられるけれど、ダートラはミスをしたらそこで終わりだからね。そういう意味でも(優勝した)荒井選手の集中力はすごいね。
悔しいから、来年も走ろうかなと思っています(笑)。
岡島和也 選手
 【今回の成績 : SA2クラス 4位】
第1ヒートはADVAN A035を履いたのですが、リヤの安定感がありましたね。でも、ひょっとしたら第1ヒートからADVAN A036でいけたかもしれないです。ADVAN A036を装着した第2ヒートは、しっかりしたグリップ感がありました。
一部、砂が残っていて滑る区間がありましたが、どうせ滑るのであれば、最初から思い切り攻めていけという気持ちが良かったのかもしれません。
次はさらに上を目指していきたいです。
田口勝彦 選手
 【今回の成績 : SC3クラス 3位】
自分としては走りが全然ダメだったけれど、とにかくも2本ともちゃんと走ることができたので、やっとスタートできたという感じですね。昨日の練習走行でも、エンジンが不調になっちゃったからね。
ADVAN A036というタイヤは今回が初めだったのですが、グリップがすごいね。毎回インにつきすぎちゃって、もうどうしたらいいんだよ!と格闘していました(笑)。
実はサスペンションも超硬質ダートには合わせていないセットだったので、その中では上々の結果だと思います。まだまだ始まったばかり。これからですよ。
 
FEATURED DRIVER
■N2クラス : 三上満宏 選手

東北のベテランドライバー・三上満宏選手は、競技歴25年中23年をアルトで戦う"アルト使い"としても名を馳せているドライバーだ。その三上選手は、今回の大会はある決意を持って挑んでいた。

「実は、今回でダートラを引退するんです」と、三上選手。
「遅くに子供に恵まれまして、今、3歳の長男と1歳の次男がいるんです。この子たちが成人する前に、僕は還暦を迎えてしまうことになる。だから、今からこの子たちのためにしっかりとお金を貯めようと思いまして。
もうダートラをやっている場合じゃないなと思って、引退を決意したんです」という三上選手は、現役最後のラストランでN2クラス2位に入賞する活躍をみせた。

「いやもうビックリですよ。というのも、前半で思いっきり失敗して、それで熱くなりすぎちゃって、そのあとはシフトミスの連発だったのです。1速だと思ったら3速だったり、間違って2速に入れちゃったり、もう自分でなにがなんだか分からない状態で走っていて、それで2位ですから。ホントに悔しい。また来年やりたいなって思うくらい悔しいですけど、あきらめますよ。年金をもらえるようになったら、また始めようかなと思っています(笑)」と三上選手。

これまで一貫して全日本をアルトで戦い、地元の切谷内で有終の美を飾りたかったのだろう。
「歴代の中で一番良かったアルトは98SPECのアルトで、実は今も乗っています。思い出深い全日本は、やっぱり初優勝した2008年の切谷内ですね。最後も優勝で締めくくりたかったのですが、さすがにこればっかりはどうしようもないですからね。自分がまだまだ未熟だったということで……」と、最後まで現役に未練が残っている様子だった。

だが、表彰式で思わぬサプライズがあった。
表彰式会場で妻の美喜さんが「そんなに悔しいんだったら、来年もう一年頑張ればいいのに」とひと言。美喜さんの思わぬ発言に歓喜した三上選手は、表彰式で現役引退を撤回。ダートラが大好きな子供たちとともに、来年もその勇姿を見ることができそうだ。
並々ならぬ決意で挑むであろう三上選手、来年の切谷内のN2クラスは、注目の1戦となりそうだ。
 
TECHNICAL INFORMATION
サーキットパーク切谷内の路面は、全国でも有数の超硬質路面としてもおなじみのコースだ。その中で、ADVAN A036とのマッチングも良く、高い成果をあげることができた。
切谷内特有の路面は、選手も毎年研究していて、特に第2ヒートは各クラスともADVAN A36を投入するタイミングが良かったと言える。今年の路面は、場所によっては例年よりも路面に砂利が残っていて、コース1周の中でADVAN A036が合う部分と合わない部分があったが、トータル的に見るとやはりADVAN A036が有利な路面が多く存在していた。
また、砂利が残っている路面に対してもアドバンテージが高い特性を遺憾なく発揮することができたとも言える。
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