■N2クラス : 三上満宏 選手
東北のベテランドライバー・三上満宏選手は、競技歴25年中23年をアルトで戦う"アルト使い"としても名を馳せているドライバーだ。その三上選手は、今回の大会はある決意を持って挑んでいた。
「実は、今回でダートラを引退するんです」と、三上選手。
「遅くに子供に恵まれまして、今、3歳の長男と1歳の次男がいるんです。この子たちが成人する前に、僕は還暦を迎えてしまうことになる。だから、今からこの子たちのためにしっかりとお金を貯めようと思いまして。
もうダートラをやっている場合じゃないなと思って、引退を決意したんです」という三上選手は、現役最後のラストランでN2クラス2位に入賞する活躍をみせた。
「いやもうビックリですよ。というのも、前半で思いっきり失敗して、それで熱くなりすぎちゃって、そのあとはシフトミスの連発だったのです。1速だと思ったら3速だったり、間違って2速に入れちゃったり、もう自分でなにがなんだか分からない状態で走っていて、それで2位ですから。ホントに悔しい。また来年やりたいなって思うくらい悔しいですけど、あきらめますよ。年金をもらえるようになったら、また始めようかなと思っています(笑)」と三上選手。
これまで一貫して全日本をアルトで戦い、地元の切谷内で有終の美を飾りたかったのだろう。
「歴代の中で一番良かったアルトは98SPECのアルトで、実は今も乗っています。思い出深い全日本は、やっぱり初優勝した2008年の切谷内ですね。最後も優勝で締めくくりたかったのですが、さすがにこればっかりはどうしようもないですからね。自分がまだまだ未熟だったということで……」と、最後まで現役に未練が残っている様子だった。
だが、表彰式で思わぬサプライズがあった。
表彰式会場で妻の美喜さんが「そんなに悔しいんだったら、来年もう一年頑張ればいいのに」とひと言。美喜さんの思わぬ発言に歓喜した三上選手は、表彰式で現役引退を撤回。ダートラが大好きな子供たちとともに、来年もその勇姿を見ることができそうだ。
並々ならぬ決意で挑むであろう三上選手、来年の切谷内のN2クラスは、注目の1戦となりそうだ。