2011年、ADVANラリータイヤとスバルWRX STI・R4のコラボレートによる参戦で、日本でも一気に注目を集めたIRC(インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ)。
2007年に発足したばかりの若いラリー・シリーズであるが、ヨーロッパを中心に各地で長年に渡って開催されてきた伝統ある大会を中心としたシリーズ構成と、参戦コストの低さやメディア露出の多さなどから人気を博し、世界にその名を知られるトップ・ドライバーから地元のアマチュアまで、幅広い選手層がチャレンジを続けている。
IRCを戦うマシンの中心となっているのは、S2000規定車両と、グループR規定車両。
前者についてはノンターボの排気量2,000ccエンジンを搭載し、グループN車両に対して改造範囲が広く定められている。さらに、2012年の開幕戦を前にして、1,600ccのターボエンジン搭載車についても、IRCのマニュファクチャラー登録をされていれば直径30ミリのリストリクターを装着することでIRCのポイント対象とされることが決定。参加の幅が拡げられたことで、これからのエントリー増加が見込まれる明るい話題だ。
一方、後者のグループR規定は既存のグループN規定車両に対して、軽量化や冷却性能の向上、足回りの改造範囲を拡大したもの。キットパーツを用いることで、プライベーターでも低いコストで戦闘力を高められるのがポイントであり、既にステージによってはS2000勢の上位に割ってはいる速さを見せているマシンも存在する。
この規定で参戦するのがスバルWRX STI・R4。2011年は新井敏弘選手と奴田原文雄選手がエントリー、新井選手はS2000規定以外の車両を対象とするプロダクションカップのチャンピオンに輝いた。
2012年のシリーズは昨年よりも2大会多い、全13戦のカレンダーが組まれた。主にヨーロッパ圏を転戦、9戦がターマック(舗装路面)での戦いとなる。しかし、少ないながらもグラベル(非舗装路面)が3戦、両方の路面が混在するミックスも1戦の設定があり、中でも最終戦のキプロスは独特な尖った石の路面による過酷なラリーとして知られている。
また、アイルランド、サンマリノ、ルーマニア、ブルガリアとIRC初開催のイベントが4大会含まれており、これらをレギュラー選手陣がどのように攻略していくのかも興味深いところ。
シリーズ13戦の全ては、プロモーターであるユーロスポーツの手によって全世界へとテレビ配信が行われる。日本でも衛星放送のGAORAによって迫力の走りや車載映像、インタビューなどが、テレビを通じてお茶の間へと伝えられる。さらにインターネットでも各大会の公式サイトではトラッキング情報がリアルタイムで表示されたり、RALLY
RADIOを通じて英語に限られはするものの、リアルタイムで現地の様子を知ることも可能だ。