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IRC Round 4
開催日
2012年5月10日〜5月13日
開催場所
コルシカ島 (フランス)
天候/路面
晴れ/ドライ
ターマック(舗装路面)
SS総距離
318.23km (14SS)
総走行距離
1074.21km
参加台数
48台
(ヨコハマタイヤ装着車 2台)
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2006年のトライアルイベントを経て、2007年に本格的にスタートした国際ラリー選手権、IRC(インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ)も6年目に突入した。全13戦で争われる2012年のシーズンはポルトガルのアゾーレス島を舞台とするグラベルイベント「ラリー・アソーレス」で幕を開けており、序盤戦から各クラスで激しいバトルが展開されている。
そしてシリーズは早くも第4戦を迎えており、5月10日〜12日、伝統のターマックイベント「ツール・ド・コルス」が開催。ヨコハマタイヤのADVANラリータイヤを装着する日本人ドライバー、新井敏弘選手もスバルWRX STI・R4でチャレンジした。

同イベントはその名のとおり、地中海に浮かぶリゾートアイランド、フランス領コルシカ島を舞台とするラリーで1956年に初の大会が開催。まさに世界を代表するクラシカルラリーだ。
同イベントは長年に渡ってWRC(FIA世界ラリー選手権)の1戦として定着していたのだが、ここ数年はIRCの名物イベントとなっている。55回目の開催を迎えた2012年の大会はDay1をコルシカ島の最大都市・アジャクシオ、Day2を島中央部のコルティ、Day3は島北部のバスティアで開催するなど島全体を使った伝統的な縦断ルートで開催され、序盤から激しいバトルが展開されていた。

そのなかで順調な立ち上がりを見せていたのが、WRX STI・R4を武器に2011年のIRCでプロダクションカップのチャンピオンに輝いた新井選手だった。
参戦2年目となる新井選手は、昨年までのストールレーシングからトミ・マキネン・レーシングへチーム体制を一新。マシンも同じ5ドアのWRX STI・R4ながら、新たに開発されたトミ・マキネン・レーシング仕様車で事前テストのない状態だったが、新井選手はコンビ2年目を迎えるコ・ドライバー、デール・モスカット選手とともに、9日に行われたシェイクダウンから好タイムを連発している。
その勢いは競技がスタートしてからも健在で、新井選手は10日、アジャクシオ周辺の山岳ステージを舞台にしたDay1でも抜群のスピードを披露していた。

ターマック用ラリータイヤ「ADVAN A006T」のミディアムコンパウンドを選択した新井選手は注目のSS1「Penitencier Coti-Agosta plage (25.89km)」で総合21番手、プロダクションカップでは3番手タイムをマーク。
続くSS2「Gare de Carbuccia-Tavera (16.89km)」では路面の影響もあってタイヤの摩耗が激しく、総合22番手/プロダクションカップ4番手タイムに留まるものの、初日を締めくくるイベント最長ステージのSS3「Sarrola-Plage de Liamone (26.7km)」では総合19番手タイム/プロダクションカップ3番手タイムをマークしており、総合19位、プロダクションカップ3位で初日をフィニッシュした。

このように慣れないマシンと格闘しながらも初日からコンスタントな走りを披露した新井選手だったが、翌11日、コルティ周辺の山岳エリアを舞台にしたDay2では苦戦の展開を強いられた。
新井選手はソフトタイヤを選択するものの、予想より路面温度が高くなっていたことから、この日のオープニングステージ、SS4「Le Fangu-ND de la Serra (27.53km)」で総合18番手/プロダクションカップ4番手タイムと伸び悩む。続くSS5「Erbajolo-Pont d'Altianni1 (24.57km)」でも総合19番手/PC4番手タイムに留まるなどファーストループで出遅れを喫してしまった。
それだけに午後のセカンドループではミディアムタイヤを武器に新井選手の追い上げが期待されていたのだが、予想外のハプニングが発生。前走者のクラッシュの影響により、SS6「Barchetta-La Porta (23.24km)」と最終ステージのSS8「Erbajolo-Pont d'Altianni2 (24.57km)」がキャンセルになってしまい、新井選手は挽回のチャンスを失うことになった。それでも、新井選手はSS7の「Taverna-Pont de Castirla」で総合15番手/プロダクションカップ2番手タイムをマークして爆発的なスプリント能力を披露。脱落者が続出するサバイバル戦となるなか、初日よりポジションを上げて総合13番手/プロダクションカップ2番手でDay2をフィニッシュした。

そして、Day3ではこの日のオープニングステージでシフトレバーが折れるものの、新井選手はSS9「Macinaggio-Centuri1 (15.56km)」、SS10「Marinca-Cagnano1 (28.96km)」で総合16番手/プロダクションカップ2番手タイムをマークするなどファーストループから順調な走りを披露する。
続くSS11「Macinaggio-Centuri2 (15.56km)」も総合16番手/プロダクションカップ3番手タイムと順調な走りを披露するものの、SS12「Marinca-Cagnano2 (28.96km)」ではスローパンクチャーを喫し、総合19番手/プロダクションカップ4番手タイムに後退。
それでも、新井選手は最終ループで復調し、SS13「Macinaggio-Centuri3 (15.56km)」とSS14「Marinca-Cagnano3 (28.96km)」で総合13番手/プロダクションカップ2番手タイムと好タイムを連発した。
その結果、新井選手は総合14位で完走を果たすほか、プロダクションカップで2位表彰台を獲得して、プロダクションカップ連覇に向けて順調な出だしを見せた。

なお、新井選手のチームメイトとしてトミ・マキネン・レーシングのスバルWRX STI・R4を駆るヤッコ・ニカラ選手も抜群のパフォーマンスを発揮。今大会が初めてのコルシカで、ターマック戦も自身2度目のチャレンジだったが、終始安定した走りを披露し、総合21番手/プロダクションカップ4番手でDay1をフィニッシュする。

さらにDay2ではミディアムタイヤを装着したこともあって、午前中のループでは新井選手を凌ぐ好タイムを連発。ペースアップを果たし、総合17番手/プロダクションカップ3番手でDay2をフィニッシュした。

しかし、Day3ではオープニングのSS9「Macinaggio-Centuri1 (15.56km)」でミッショントラブルが発生し、同ステージを走りきったところでリタイア。残念な結果にはなってしまったものの、経験の乏しいターマック戦のなか、一日ごとに目ざましいスキルアップを見せつけた。
 
Driver's Voice
新井敏弘 選手
 【今回の成績 : プロダクションカップ 2位 (総合 14位)】
今年からトミ・マキネン・レーシングのクルマで参戦することになったんですけれど、事前にテストが行えなかったのでセットアップも未完成。それにDay3ではSS9でシフトレバーが折れたりとトラブルがありましたからね。足回りやデフのマッピングを含めて細部のセッティングが今後の課題になるでしょう。
ただし、タイヤに関しては昨年のコルシカと比べると格段に良くなっていました。いくつかハプニングがあったけれど、タイヤのグリップは向上しています。今年はグリップ力が大きくアップしているので体力的にはかなり疲れました。もう構造面は問題ないので、あとはゴムを開発してライフを伸ばせばもっと良くなるでしょう。
グラベル(非舗装路)用もタイヤが進化しているので、クルマのセットアップを煮詰めることができれば次のサンマリノは行けると思います。
 
ENGINEER VOICE
今大会は新井選手、ニカラ選手の2台体制だったので、ソフト、ミディアムのドライ2種類とウエット2種類の計220本を持ち込みました。
Day1のSS2では摩耗がやや厳しかったのですが、かなり路面の荒れたステージだったみたいで他のタイヤメーカーも似たような状況でした。Day2の午前中は路面温度が低かったのでソフトコンパウンドを選んだんですけれど、想定よりも早く気温が上がったので厳しい状況でしたし、追い上げを狙った午後も3本中2本がキャンセルだったりとかなり残念な結果でした。Day3のSS12では原因不明のパンクがありましたが、タイヤに関して言えばそれ以外で大きな問題はありませんでした。
新井選手に関してはタイムも上がったし、2位入賞で表彰台を獲得。それにニカラ選手もターマックの経験は少ないけれど、走るたびに速くなっていましたからね。技術的にも収穫が多かったので、タイヤメーカーとしては大成功だったと思います。
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