今回は通常のシリーズ戦とは異なり、予選で使用したタイヤで決勝をl走ることがないので、予選は上位を獲得することだけを目指したタイヤが使われることになるでしょう。スプリントレースなので、予選の順位はいつも以上に重要になってきます。まずはこの週末、シリーズ戦とは一味違った予選から注目していくと面白いでしょう。
そして決勝レースは距離も短く、季節的に気温もあまり上がらないことが考えられますから、ソフト目のコンパウンドを使用することになると思います。レース展開はハイペースなものになると思いますが、タイヤとしてはレース中、性能をしっかり持続させることが大切になります。
ただし、ゴールまでハイペースを維持するためには、ドライバーもプッシュするだけではなく、冷静なタイヤマネージメントをすることが重要になります。ここは「ドライバーの腕の見せ所」といったところでしょうか。
ヨコハマタイヤがシリーズチャンピオンを獲得したGT300クラスですが、このクラスのマシンは昨年以上に車両がパワーアップしていることもあり、ハイペースなスプリントレースではタイヤも過酷な条件の下で戦うことになります。
その点ではシーズン中、ヨコハマタイヤ装着車でタイヤ無交換作戦が多く見られたように、もともとグリップと耐久性が高い次元で両立できていますので、今回準備しているタイヤも同様に、予選・決勝を通じて高いパフォーマンスを示せると考えています。
一方のGT500クラスに関してですが、今回はお寄せいただいた質問にひとつお答えしてみましょう。
GT500のリアタイヤは17インチを装着していますが、対してフロントには18インチを使っているので、なぜリアが17インチなのかという疑問をお持ちの方もいらっしゃるようです。
一般的には扁平率が低くてホイールも大きい方がタイヤのヨレが少なく、モータースポーツには適しているという認識があるかと思います。
では、どうしてリアにあえて17インチを使っているのか?
これは17インチ化によって空気の容量(エアボリューム)が大きくなるため、タイヤの負荷能力が向上するから、単純に言えば耐久性が上がるというのが理由なのです。一般のタイヤで言うところの、ロードインデックスが大きくなるのと同じことなんですね。
さらに、サイドのストロークを持たせることで、しっかりと安定した挙動を得やすくなります。「懐の深いタイヤ」とでも言いましょうか(笑)。
確かに低扁平のほうがモータースポーツのイメージには合うと思います。例えばフロントに求められる「リニアな応答性」などは、低扁平のイメージになるでしょう。しかし、リアについては、まず「しっかりと安定していること」が何より重要となるのです。
■使用するタイヤサイズ
(GT500) 330/710R18、330/710R17
(GT300) 280/650R18、280/680R18、280/710R18、300/650R18、300/680R18、330/680R18、330/710R18、330/710R19